ブロス卒業後はトルネード婆々! 清水ミチコ、大放談!【無料記事】
1974〜77年までテレビ朝日(当時はNETテレビ)で放送されていた『がんばれ!!ロボコン』。ロボットスクールに通っているロボコンが、ガンツ先生に鍛え上げられ一人前のロボットへと成長していく特撮ドラマです。
そんなロボコンに“令和”を付け加えた『がんばれいわ!!ロボコン』がこの度、20年ぶりの映画として7/31(金)から公開されます。
作中で鍵を握るのは「トルネード婆々」。いつも車椅子に座ってスマホをいじり、介護ロボット・ロビンと暮らしている謎の老女なのですが、今回その大役に抜擢されたのは、女優として幅広い活躍を見せている清水ミチコさん。テレビブロス読者の皆さんにはおなじみのミッちゃんです。
小池百合子大豊作のせいなのでしょうか。どこか嬉しそうな様子のミッちゃんに、この映画のこと、そして長年連載を続けたテレビブロスのことを聞いてみました。
取材・文/らっこ 撮影/ツダヒロキ
占い師の予言が的中した今回の役
——このトルネード婆々って何者なんですか(笑)?
半笑いで聞くのやめてもらえますか(笑)。介護ロボットと一緒に暮らす90歳のおばあちゃんなんですけど、髪型も竜巻状だし、トルネード拳っていう技を使えるんですよ。
——年齢を感じさせないすごい設定ですね。さすがババアだけあって。
さすがババアとはなんだコラ(笑)。でも90歳の役なので、監督に「シワはどうしましょうか?」と聞いたら、「そのままでいいです」と言われてムッときましたね〜。心の中で、顔には出さず(微笑)。
——ひどい(笑)。
あと、最初はスタッフの皆さんも優しくて「トルネードさん」って呼んでくれてたのに、2階の休憩所で休んでいたら、下の階でスタッフたちが「おい、ババア呼んでこい!」「ババア、今2階です!」って言ってるのが聞こえてきたんですよ。ちょっと今のなんなの!? って思いましたね。略すのはやめろと(笑)。
——最初、この役のオファーが来たとき、清水さんはどう思われましたか?
ドラマの『ドクターX』(テレビ朝日系)に出演したことがきっかけで、脚本家の中園ミホさんと仲良くさせてもらっているんですけど、中園さんにすごい強力な占い師を紹介してもらったんですね。そしたら「とにかく今年は、びっくりするような役が多いです」と言われて、早速トルネード婆々のオファーが来たので、当たった〜! って驚きました。
——しかも「今年は多い」ということは、まだそれが年内は続くと?
そうかもしれない。オープニングがこれ(笑)。
——撮影に新型コロナウィルスの影響はありましたか?
一旦コロナで撮影が伸びたんですけど、それでもギリギリ間に合うスケジュールを組んで予定通りの公開になりました。6月に自粛が明けて、すぐに3日間で撮り逃げました。
——清水さんにとっては初の特撮作品出演だったそうですが。
特撮とはいえ、細部に人間の手が宿っているなと感じましたね。
——細部に人間の手が。
そう、いいこと言いましたね。大文字でお願いします。令和のロボコンだから、もっとすごいものを駆使してるのかなと思ったら、結構手作り感をあえて残してるんですよ。例えば、私が被ってるカツラなんかも、メイクさんが2週間もかけて作った手作り。それに全体を通して、CGを多用してすごいだろこれ! みたいな感じではなく、もっとほのぼのした感じで、ロボコンの一番大事な部分を表現している感じでした。
——テレビドラマとしてオンエアされていた当時、清水さんもロボコンを観ていましたか?
観ていました。弟が観てたからね。今観てもいい話ですよね…。それなのに撮影中にメイク室でメイクしてたら、子役たちがヒソヒソ声で「私、ちょっと家のローンがあるから…」とか言ってて、現代社会の闇を垣間見たんですよ。
——え、本当ですか?
それを聞いて私は、親のローンのために笑顔で働いていて、なんてかわいそうな子供たちなんだ! って思ったんです。親も親だ! と。それで子供たちがいなくなってから、メイクさんに「さっきの話、あれなんだったの?」って聞いたら、『あつまれ どうぶつの森』の話だったんです(笑)。あのゲーム、動物と触れ合うのかと思ったらローンがあるんだね。ジェネレーションギャップだったわ〜。
ブロスの紙はよく吸うから炎上しない
——さて、テレビブロスが定期刊行ではなくなったことについてですが…。
まあ33年も続いたってのは、本当は大健闘なんだろうけど残念ですよ〜。やっぱり私なんかだと、こうやって雑誌を開いて紙で知りたいんですよね。テレビ番組はどれ観ようかとか、印をつけながらね。でも、もうみんなネットでいいんでしょうね。
——清水さんは、1992年から連載を始めた最長連載者でした。2週に1度原稿を書くという生活が30年近く続いたわけですが、改めて振り返ってみていかがですか?
ブロスで強気なことを書いても、紙だと全然叩かれないんですよね。ネットで書いたら炎上するようなことでも。だから人って電子文字だと怒るのかな。多分、電子文字ってのは脳みそをイラッとさせる何かの成分があるんでしょうね。
——電磁波がいけないんですかね。
ババアのワードに合わせるんじゃないよ(笑)。
——でもおっしゃる通り、紙ってなんか丸く収めてくれますよね。
そう、なんか吸収してくれるんだよね、天ぷら油を吸うみたいに(笑)。特にブロスは紙質がわら半紙みたいで吸収に向いてますね。ツルツルした紙だと吸わないから炎上しやすい。そう私は信じてます(笑)。そしてブロスといえば、イベントも楽しかったですよね。出演者も豪華だったし。
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——一番最後のイベントは、渋谷WWWでやった創刊25周年のイベントで清水さんにもご出演いただきました。
うんうん。(忌野)清志郎さんもそれより前のイベントに出ていましたよね。浅草キッドとかも楽屋が一緒で。それも渋谷でしたね。
——それは2000年前後にやっていた、『ブロスナイト』っていうイベントですね。
でも新型コロナウィルスのせいで、イベントがやりにくい時代になってしまったなあ。まさかこうなるとは…。新型コロナでブロスが休刊になったとすら思ってる人も多いかも…たまたまタイミングが重なっただけの便乗詐欺なんだけど(笑)。
——クラウドファンディングでもやればよかったもしれませんね。「新型コロナから助けてください」って。
詐欺がどんどんひどくなる(笑)。でもやってもよかったかもね。
——まあ、そんな世の流行から外れた様もブロスっぽいですね。
あと、ブロスは何といっても安かった。最初は150円とかですもんね。それでちっともヨイショしない文章をあんなに載せられていたのは、本当によくやっていたと思います。変な表紙の撮影もやったなあ〜。『フルハウス』でしたっけ?
——『フルハウス』『ALF』『ER』『フレンズ』という1980〜1990年代の名作アメリカドラマの顔マネを、まさに“フルハウス”という感じでドーンとやっていただきました。
大変でしたけど、楽しかったな〜。
▲TV Bros.2015年10月10日号の表紙
——いや〜、改めて他にどんなびっくりするような役が今年は舞い込んでくるのか、清水さんから当分目が離せませんね。
私の目が離れてるからね。うるさいわ(笑)。
<プロフィール>
清水ミチコ(しみず・みちこ)●岐阜県出身。ラジオ番組の構成作家などを経て、1987年に『冗談画報』(フジテレビ)でテレビデビュー。その後、『笑っていいとも』『夢で逢えたら』(ともにフジテレビ)などでブレーク。ナレーター、女優、歌手、エッセイストなど、幅広く活動中。毎年の日本武道館単独公演も恒例となっている。
<映画情報>
『がんばれいわ!!ロボコン ウララ~!恋する汁なしタンタンメン!!の巻』
原作/石ノ森章太郎 監督/石田秀範 脚本/浦沢義雄 声の出演/斎藤千和 江原正士 鈴村健一 出演/土屋希乃 小浦一優(芋洗坂係長) 高橋ユウ 屋鋪琥三郎 清水ミチコほか
●1974〜77年や2000年に放送された特撮ドラマ『ロボコン』シリーズが令和の時代に映画化。中華屋「全中華」にお手伝いロボット・ロボコンが現れ、店の業務を手伝うも、ドジを連発してしまう。見かねた店主の息子・ヒロシはロボコンとトルネード婆々のもとに出前に出かけるが…。
(C)石森プロ・東映
2020年7月31日(金)全国公開