タイのBLにドボン! ステイホーム期間の俳優のヒゲ問題…2020イケメン戦国時代の覇権を制するのは誰?【無料記事】
日常生活は少しずつ元に戻りつつあるけれど、多くの演劇やライブへ足を運ぶ機会が激減し、エンタメ業界で活躍するイケメンの皆様のリアルな姿を見ることが少なくなり、さみしい思いをしている方も多いのでは。しかし、さまざまなツールを駆使すれば、このご時世ならではの楽しみ方もできるんです! 今回はテレビブロス本誌でも活躍中の、エンタメ業界に詳しいライターのおふたりに、注目のコンテンツや昨今のイケメン事情を語り尽くしていただきました。
文/吉田可奈
よしだ・かな●エンタメ系フリーライター。著者本『うちの子、へん?』『シングルマザー、家を買う』(ともに扶桑社)が発売中。音楽、映画、声優、舞台、アイドル、オタク事が得意。
よこがわ・よしあき●演劇とテレビドラマを得意とするライター。初のインタビュー本『役者たちの現在地』(KADOKAWA)が発売中! 電子書籍『俳優の原点』(ライブドアニュース編集部)も発売中。
――今日はエンタメ業界に精通する、イケメン事情に詳しいおふたりに、思う存分、各界のイケメンについて語り尽くしていただきたくZOOMにて召集させていただきました! (ちなみに文中に出てくる人物名は親しみと敬意を込めて敬称略で表記させていただきます)。
吉田可奈&横川良明 なにそれ最高の企画!
――おふたりはステイホーム期間に、タイBL(編集部注:タイで放送されている&されていたBLを扱ったドラマ)にハマっていたんですよね。
横川 ドハマりでしたね。僕は“タイBL”というよりも『2gether the series』(編集部注:タイ国内放送終了後にすぐ、英語字幕付きの最新話がオフィシャルYouTubeチャンネルに上がり、さらにそれを和訳したものがアップされるので、タイ国内とほぼ時差がない状態で追うことができた)を延々と観ていただけなんですけど(笑)。
吉田 ずっとリピートしてるって言ってましたよね。
横川 そうなんです。ほかのタイドラマもおもしろいよって勧められるんですけど、他の作品の1話をちょっと再生しては、初めて付き合った人が忘れられないような感覚で、どうしても『2gether the series』に戻ってきちゃうんですよ!
吉田 (笑)。
――残念ながらタイBLは未視聴なのですが、なぜそんなにタイBLは魅力的なんですか?
横川 僕にとっては顔! 圧倒的に顔です! 日本人がどストライクなお顔なんですよ。主役のTine(メータウィン・オーパッイアムカジョーン)は、かわいくて……。
吉田 SixTONESの髙地優吾と、King&Princeの平野紫耀をミックスしたようなルックスをしていて(個人の感想です)。
横川 さらにその相手役であるSarawat(ワチラウィット・チワアリー)が美の暴力で殴ってくるような圧倒的な造形美の持ち主なんですよ(個人の感想です)。
吉田 そんなふたりがキャッキャしているところが素晴らしい……。『2gether the series』には過激なシーンも無く、キスが精いっぱいで、朝チュンすらない。月9というよりも、月曜8時にテレビ朝日でやってたドラマのような甘酸っぱさ! 基本、学園モノだし。
横川 わかる~。『イタズラなKiss』の入江君(1996年放送の柏原崇バージョン)を愛でているような感覚でSarawatを見ているんです。
吉田 さらにドラマの内容も、各話に伏線が張ってあって。ちゃんとその伏線を回収してくれるから、必ず1話から観直したくなるんだよね。
横川 そのせいで僕は11話まで観ると、必ず最初に戻っちゃうから永遠に他の作品へと進まないんです(笑)。
――幸せすぎるループ(笑)。横川さんはSarawat推しなんですか?
横川 最初はそうなんですけど、TineがSarawatに振り回されていくうちに、嫉妬する姿なども見せてくれるようになって……。それを観ていたら「Tine! かわいいな!」ってなるんですよ。
吉田 前に横川さんが、『りぼん』とか『マーガレット』で見かけるような、お揃いのものを失くすとか、分かりやすくすれ違うような展開がいいって言ってたけど、本当にかわいらしい16歳くらいのピュアな恋愛を見ているような気持ちで見守れますよね。
横川 「これ、『天使なんかじゃない』で同じシーン観た!」みたいな(笑)。
――聞き手の自分含めてアラフォー揃いなので読者の皆さんを置いてけぼりにしていないかちょっと心配になってきました(笑)。世間では、タイBLと同じくらい韓国ドラマの『愛の不時着』や『梨泰院クラス』も流行っていますが、ステイホーム期間でタイへ行く人と、韓国へ行く人、2パターンに分かれているような感覚がありましたね。
横川 もちろん、タイBLにも韓国ドラマみたいなドラマティックさがあるし、もっと鬱展開なドラマもあるみたいなんですけど、勝手な推測として、この時期に韓国ドラマにハマった人は、みんなで感想を言い合ったりしてワイワイ楽しみたい感じの人が多そう。一方、僕も含めてタイBL沼へ飛びこんだ人は、どちらかといえば1人ひっそり楽しんだり、思いの丈をアツく長文で語りたがるような……。
吉田 それは否定できない(笑)。
――しかし『2gether the series』のふたりは本当に美しいですよね。タイのイケメンって言われて、正直イメージがパッと思い浮かばなかったのですが、ご尊顔を拝見したときは衝撃でした。
吉田 でもさ、それって日本人以外の人が、吉沢亮を見せられたら、あまりの美しさにびっくりするのと同じ感覚じゃない?
横川 そうそう。我々はタイのトップクラスのイケメンを日本にいながらにして見せてもらってる!
吉田 ……ありがたいね。(と、手を合わせる)。
――ここまで広まったのも、やっぱりオタクの皆様たちのステマシート(編集部注:オタクの皆様が自分のハマりものを布教するために自主的に作成するデータを指す)が活躍しているんですかね? 私も吉田さんから何度もステマシートが送られて来ましたけど……。吉田さんなんて、ハマり始めたら最後、いつの間にかタイBLの連載もしてますし。
吉田 私も知り合いから回ってきたステマシートからタイBLの沼に落ちたので、そういう人、結構いると思っていて。私は『2gether the series』を初めて観たときになんか分からないけどハッと来て、気付いたら全話制覇してタイ語を翻訳しながらグッズを買い、次の瞬間にはお付き合いのある編集さんに連載の企画書を提出してました。
横川 その行動力、まじですごいです(笑)。僕も吉田さんがつぶやいていたので気になって観たらドボンですもん。タイBLについては色々な方がnoteでもかなり語られているし、そういう草の根活動がすごく効いてると思う。
――今年の春先から”タイBLがヤバい”というのは耳にしていましたが、ちょうどステイホーム期間で爆発したのかもしれないですね。
吉田 そうですね。実は昔から『SOTUS』などの人気作は、日本でファンミーティングをしていたりもあって、一定層のファンはいたんですよ。しかも、何がうれしいって、タイの俳優さんたちは、自分達がカップリングで支持されていることをすごく理解していて、ドラマが終了した後も仲睦まじいSNSをアップしたり、バラエティ番組に出てお互いのことを存分に話してくれるんですよ! とにかくサービス精神がすごい。
横川 それは日本ではあまり見かけない文化ですよね。
吉田 『Tharn Type』というドラマで主演した2人なんて、ファンミーティングで結婚式を挙げているからね。ほら、これが公式の動画だから!
――んん?
吉田 いやそうなるよね。でも事実なんだよ! ちゃんとそれが動画で見られるんだもん。そりゃあリアルで付き合ってるんじゃないかなんて噂だって出るよね!? だって自分たちで火を起こしてるんだもん! 煙立ちまくりだよ!
横川 とにかく公式からの供給が多いんですよね。あー最高!
――日本でも近年『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)や『ポルノグラファー』(フジテレビ系)など、男性同士のラブを扱ったドラマや映画が多く作られていますよね。『腐女子、うっかりゲイに告る』(NHK)や『黒い画集〜証言〜』(NHK BSプレミアム)では谷原章介が金子大地や朝香航大と男性同士でのラブシーンを演じていましたし、今年公開される作品にも、古川雄輝と竜星涼が出演する『リスタートはただいまのあとで』(9月4日公開予定)や白洲迅と楽駆が出演するドラマ『Life 線上の僕ら』(6月19日からRakuten TV&ビデオマーケットにて先行配信)などもありますし、今後も増えていくのかなと。
横川 たしかに。先日、仕事の関係で、映画『窮鼠はチーズの夢を見る』(近日公開)を試写で見たんですけど、大倉忠義と成田凌が想像以上に体当たりで演じていたのには驚きました。
――原作未読だったので、びっくりしてヒッ!(息を飲む音)となりました。とても美しかったです。
横川 あの作品を観賞するときは、いつも以上にソーシャルディスタンスをちゃんと保った方が良いかも(笑)。
――ドキドキしながら息を飲む音とか隣の人に聴こえちゃいそうですもんね。さて、盛り上がって参りましたが、そろそろ別の話題へいきましょうか。
吉田&横川 すみません(笑)。
――今年の日本のイケメン事情としては、佐藤健の1人勝ち感がすごかったですよね。ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)のタイミングで、佐藤健のLINEや電話(編集部注:SUGARという双方向配信サービスを使い佐藤本人が、登録した人に電話をかけて実際に通話できる)がバズったりして、新しいプロモーションの、ひとつの形を提示しました。YouTubeもスタートさせましたしね。
吉田 あのLINEには本当にたくさんの人が登録してたから、全ての女子に”佐藤健の彼女現象”が起きて大変で! ドラマの放送日に、彼氏感あふれるメッセージが来るのもたまらなかったし。もちろん私も、『恋つづ』が終わってからも登録し続けてます!
横川 してるんだ(笑)。
ーーもともと、佐藤健は演技派としても定評がありましたが2018年に『半分、青い。』(NHK)、『義母と娘のブルース』(TBS系)で知名度を盤石にしつつ、2018〜19年で『ハード・コア』(監督 山下敦)や『ひとよ』(監督 白石和彌)などのインディペンデントな映画を経ての2020年『恋つづ』で、さらに評価が上がった感じがありますよね。だからこそ今年公開予定だった『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』(監督 大友啓史)が公開延期になってしまったのは寂しいですけど、来年の楽しみがひとつ増えたのかなと。あとは、志尊淳がステイホーム期間に『志尊の自粛部屋』と銘打って連日インスタライブをして、そこから楽曲が生まれたり、オリジナルTシャツを作り、そこで得た収益の一部である1000万円を医療機関に寄付したというニュースも熱かった……!
横川 あれは素晴らしいことだと思う。本当に尊敬すべきことだし! でも、その一方で、(事務所などの方針や、さまざまな事情で)SNSを使った活動ができない俳優のことも考えてしまうんですよね。佐藤健みたいに実力も人気もある人がSNSをフル活用したファンサービスをするようになったら、もう若手俳優は太刀打ちができないんですよ。
吉田 そっか、そういう考え方もあるか。その中でも横浜流星や吉沢亮は、あまり頻繁にSNSを更新していないけど、ヒゲが伸びたという生理現象がトピックとしてニュースに取り上げられていたのはさすがだったよね。
――あの一連のイケメン俳優たちのヒゲ事変、どうでした!?
吉田 私はキレイでかわいいお姿の方が好きなので……(小声)。
横川 僕はヒゲの濃さ=胸毛の濃さでもあるから、あ、そういうことなのかと思いましたけどね(笑)。それこそ胸毛で言えば中村倫也の胸毛を初めて見たときは、薄い顔とのギャップにめちゃくちゃテンションが上がりました(笑)。
吉田 あとは、彼氏感のある動画も話題になったよね。それこそ中村倫也の自宅動画とか、JO1のジャム作り動画もそう。他にも杉野遥亮の手書きリプ返祭りとか、山田裕貴の大量のリプ返しとか、インスタライブでも毎日のように誰かがコラボ配信をやっていたり、おうちにいるからこその姿を見せてくれたりするのがうれしかった。
横川 そう考えると、やっぱりSNSは大事ですよね。
吉田 またタイに戻るけど、タイの俳優はめちゃくちゃSNSを使うしね。俳優同士も毎日絡んでるし、ファンにもリプ返してるし!
横川 そうですね~。
吉田 あと、佐藤健の話で思ったんだけど、“イケメン俳優”が自分のイケメンとしての価値をちゃんと受け入れて、それを強みとして自覚したときのパワーはすごいよね。
横川 わかる~!!!! やっぱり、当事者としては”イケメン俳優”というカテゴリーに入れられることに抵抗を感じるとは思うんですよ。
吉田 ルックスだけで評価されてるように感じちゃうだろうし、そう呼ばれることに抵抗があるのは分かるんだけど、誰がどう見てもイケメンだから、それを認めて受け入れている姿勢がすごく気持ちいいし、その上で、お芝居が上手くなってく姿を見せ続けてくれるのは本当に最高だと思う。その最たる例が吉沢亮だと思うのよ。あれほどのルックスを持つ人が謙遜せずに「僕、イケメンなんで」って潔く認めたことで、より彼のことが好きになったもん。
――なんてったって大河ドラマ(2021年放送予定のNHK大河ドラマ『青天を衝け』)も控えてますしね。めちゃくちゃ個人的な願望としては、連ドラの主役で王道のラブストーリーを演じる姿も見たかったな〜と。
吉田 わかる~!
横川 朝ドラの天陽くん(編集部注:NHK連続テレビ小説『なつぞら』で吉沢亮が演じた山田天陽)で知った人も多いと思うけど、どちらかといえばここ数年は深夜ドラマで影のある役やダークな役をしてるイメージがあって。もちろん『キングダム』(監督 佐藤信介)をはじめ、映画ではたくさん活躍しているけど、GP帯のドラマでメインキャスト級の役ってそこまで多くはない。彼のお芝居を実はちゃんと観たことがない人もいるんじゃないかな?
――たしかに、『なつぞら』(NHK)で全国区になったけど、一般層の人たちにどのくらい浸透しているのかと考えると、私たちエンタメ業界でお仕事をしている人たちとはまた感覚が違うんですよね。
吉田 だからこそ、『花ざかりの君たちへ』シリーズ(フジテレビ系)のような、各事務所が推しているイケメンをこぞって出すような青春学園ドラマを今やってほしい!
一同 わかる~!
――『3年A組ー今から皆さんは、人質ですー』(日本テレビ系)のような社会派作品も良いんだけど、『ヤンキー君とメガネちゃん』(TBS系)みたいな作品を地上波で夜9時くらいから観たいですよね。
横川 そういう意味では、3年に1度でいいから夏に『WATER BOYS』(フジテレビ系)をやるべきなんです(大声)!!!
――まさにそれ。『水球ヤンキース』(フジテレビ系)とか!
吉田 LDH制作の『HiGH & LOW』(日本テレビ系)シリーズに事務所の垣根を超えてスターダストやBOYS AND MENのメンバーが出ていたけど、そんな風にジャニーズをはじめ、色々な事務所のイケメンが勢揃いした青春モノのドラマが観たい! そう思ってるのは私だけじゃないはず。
横川 もうさ、「月曜ドラマ・イン」みたいな、月曜8時のドラマを復活させるべき! 『闇のパープル・アイ』(テレビ朝日系)とか!
吉田 安室奈美恵が出ていた『いちご白書』(テレビ朝日系)とかね!
――FODオリジナルでやっている『花にけだもの』や『グッドモーニング・コール』のような、若手イケメンが出演する青春ドラマを中高生が気軽に見られるようになったらいいなって勝手に思ってます。
吉田 分かる。課金が必要な配信ドラマは、ドンピシャ世代の中高生にはハードルが高いかもしれない。
横川 最近だと『いとしのニーナ』とかね。
――あれこそ中高生に観て欲しいなって思っちゃいます。『いとしのニーナ』には横川さん推しの岡田健史が出てますよね。個人的には『中学聖日記』(TBS系)がつい最近まで再放送していたこともあって、あの黒岩くんが! みたいな親目線で観てしまいました。
横川 僕はもう、岡田健史に関しては評価が甘くなっちゃうので、ただただ存在してくれてありがとうくらいしか言えません!
吉田 あはは。その気持ち、めちゃくちゃ分かる。
横川 でも、彼は1作ごとにどんどん進化しているんですよね。そういう成長していく姿を見守れる楽しさを味わえるのは、デビュー作からメジャー級の作品に出ている岡田健史の強みかも。あとは、伊藤健太郎や吉沢亮もそうだけど、地上波のドラマではなくて、深夜ドラマや配信系ドラマで経験値を積んで、映画の主演をたくさん経験した後に、地上波ドラマで主演という形が、若手俳優が歩む最近の王道ルートなのかもしれないですよね。だって、岡田健史はいつか絶対に朝ドラのヒロインの相手役やるでしょ?
一同 やる! 絶対にやる!
ーー和服も似合いそうなので、時代モノでもOKですしね。話は尽きませんが、今回はここらへんで。次回は、これからさらに活躍しそうなネクストブレイク候補について語り尽くしていただきたいと思います!
吉田 じゃあそれまで私はタイに帰りますね……。
横川 僕もお供します……。
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