第35回 ボールとバットを使ったオリジナル殺人競技を「野球!」と言いきるマンガ作品、大好き!!
お待たせしました今月の無のコラム!
他人に「何か面白いマンガを教えてくれ」と言われたときに必ず挙げるマンガの一つに、久正人先生の『エリア51』という最高のハードボイルド作品があるのですが、久先生の最新作『ミラーマン2D』に収録されている第16話が完全に『エリア51』序盤に多く見られるような、一話完結の涙腺崩壊作品に仕上がっているので本当に大必読。15話までである程度の世界観を説明し終わったという前提で描かれた「作者自身が描く最高の二次創作」というか、大人になってもマンガが好きな人たち全員にキマるものとなっています。
漫画/久正人 原作/円谷プロダクション『ミラーマン2D(3)』(ヒーローズ)※コミプレで連載中
そして同日に発売された『カムヤライド』で、みんな大好き野球回が!!
過去にこのコラムでも何度か書いていますが、とにかく俺は「野球!」(って言いながら野球じゃない回)が大好き! 要するに、野球マンガじゃない作品でいきなり「野球回!」って言って『アストロ球団』(原作/遠崎史朗 作画/中島徳博)とか『愛星団徒』(松田一輝)、あとは『COBRA』(寺沢武一)のラグボール編みたいな、ボールとバットを使った殺人競技が始まったときだけに活性化する脳の部位があるという話ですが、『カムヤライド』8巻にて、イザナギ・イザナミの黄泉の国の逸話を元にした5VS5の未知の競技「殖す葬る(ブエスボウル)」が始まり、野球の起源が古事記/日本書紀にあったことが明らかになり、最終的に大乱戦となるので是非読みましょう。
久正人 『カムヤライド(8)』(リイド社)※コミック乱ツインズで連載中
また、タイミングを同じくして『東京決闘環状戦』10巻のラストでも「東京ドームの地下での野球回!」がスタート!
こちら、ゲームが始まるのが次巻からになるので紹介は後日にしますが、「ボールとバットを使った1対1での戦いで、何打席で相手を破壊できるのか」を賭けるという最高の「野球回!」。
そもそも「裏〇〇」とか「地下〇〇」と名が付けば多少の人死には許されるのは日本マンガ界の暗黙の了解だし、しかも今回は東京ドームの地下でしょ。東京ドームの地下というのも「何やってもいい場所」に決まっているので、これは相当いい「野球回!」になると期待できます。
ご存知の通りバットというものは人間を殴るものであり、そういう意味では『闇金ウシジマくん』の過去編も「野球回!」と言えるかもしれません。人間を叩くことに特化したような道具の使用が認められている球技のすぐ隣にある悪意、それが我々を喜ばせる一番大切なものなのかもしれません。
次回、『東京決闘環状戦』の11巻は6月発売とのことなので、7月のこのコラムでは改めて『カムヤライド』『東京決闘環状戦』『忍者と極道』の3作が、「令和を代表する3大野球回マンガだ!」ということを書きたいと思います。
野球の話ばかりしてしまいましたが、河野別荘地 『足が早いイワシと私』と太田基之『オオタ式』が先月発売された短編集の中では特にお気に入りです。『オオタ式』は、河童の皿に炭酸水をぶっかけて覚醒させる話が最高で、小学生の頃に友達のおじいちゃんから聞いた「タイでは、ゾウに覚〇い剤を打って不眠不休で用水路の工事をさせるんや」という話を思い出しました。
7月のコラムは野球回! お楽しみに!(本当に書くかどうかは不明)
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