
【映画『実りゆく』公開記念】なんと!タイタンの現役マネージャーが映画監督デビュー!マネージャー兼映画監督の素顔に迫る
その日、我々TV Bros.取材班は、タイタン(爆笑問題の所属事務所)の会議室にいた。
メンバーは担当編集T氏、田子カメラマン、ライターのわたし。もはやお馴染みとなった爆笑問題取材メンバーである。
しかし、この日の取材対象は爆笑問題ではない。元田中裕二のマネージャーである八木順一朗氏だ。なにゆえ、マネージャーを取材せねばならぬのか……。
驚くなかれ、八木マネージャーが、映画監督としてデビューしたのだ。
八木順一朗映画監督デビュー作
“りんご”と“笑い”の青春映画
映画『実りゆく』
監督・脚本/八木順一朗 出演/竹内一希 田中要次 田中永真 橋本小雪 鉢嶺杏奈 島田秀平 小野真弓 三浦貴大 爆笑問題 山本學
●長野県のりんご農園に跡取りとして生まれた実は、母の死後、父親と二人で農園を切り盛りしつつ、お笑いライブに出演して夢であるお笑い芸人への道を模索していた。父親の思いに背きながらも、父親を笑顔にしたいと願う実は、人生をかけたステージに臨む。
(2020年/日本/87分)
新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給/彩プロ
(C)「実りゆく」製作委員会
※主演・竹内一希のコラムはこちら
八木マネージャーの映画には、爆笑問題も特別出演している。事務所の看板タレントに恥をかかせてはいけない。爆笑問題のため、八木監督は万全を期した。余裕を持ってふたりに台本を渡したのだ。
が! 撮影当日に発覚したのは、ふたりとも台本を読んでいないという事実。クランクイン初日の出来事だった。慌てふためく撮影スタッフ。果たして、八木監督はいかにしてこの難局を乗り越え、どんなシーンが撮影されたのか。
そしてなにより、何故、タイタンのマネージャーが映画監督になったのか。裏話につぐ裏話。青春映画「実りゆく」の製作秘話にせまる!
取材・文/ハギワラマサヒト 撮影/田子芙蓉
八木監督が語るタイタン入社の秘話
──監督のプロフィールに、「幼少の頃に見た怪獣映画の影響で映画監督を志すようになった」と。と言えば、やはりあのゴ……。
(食い気味に)ゴジラです! 3歳のときにゴジラを見て映画大好き少年になりました。今でもフィギュアは絶対に買います。実家にゴジラ部屋もあります!
──中学2年生で初めて映画を撮ったそうですが、それはどんな内容?
良い子を演じていたら、いつしか心がなくなってしまった少女の物語です。そこから、本当の心を取り戻すまでを描いています
──中学2年生にしてテーマが深い。
深くないです。2分の作品ですから(笑)、ハチャメチャです。次に作ったのは戦争映画で戦闘シーンを爆竹で表現しました。これも2分。『スター・ウォーズ』に憧れてSF映画を撮ったこともあります。ライトセーバーらしきものを持って、中学生が畑で戦っているという(笑)。
──映画が好きで日藝(日本大学藝術学部)の映画学科に入学したそうですが、不思議なのは芸能事務所であるタイタンに入社した経緯です。プロフィールにこう書いてあります。“日藝映画学科監督コースに進学。大学の卒業制作で監督した映画を機に、現在の勤務先、タイタンに入社した”と。卒業映画を機に、映画関連の会社に入社するのならわかるのですが……。
ですよね(笑)。これは話すと長いですが、いいですか?
──ぜひ!
八木監督が日藝の卒業制作で監督したのは、お笑い芸人が浅草で奮闘する物語だそうだ。全面的な浅草ロケを敢行。そこに登場するのが、伝説のネタ職人のおじいちゃん。過去の有名な漫才師や、伝説の芸人のネタを書いていたという。このネタ職人の部屋には、ところ狭しと有名芸人の写真が貼ってあった。このシーンを撮影するため八木監督は、各芸能事務所に写真の貸し出しを申し出た……。
僕は学生時代からお笑いが大好きでした。中でも大好きなのが、爆笑問題。それでもちろんタイタンに電話をして爆笑問題の写真を借りたんです。そのとき太田光代社長と電話で話す機会があって。
──覚えている会話はありますか?
「あなた日藝なのね、ちゃんと卒業しなさいよ」と、言われました(笑)。それで完成した映画と履歴書を送って、「この映画を気に入ってくれたらタイタンに採用してください」と。そこから社長に面接してもらい4月に入社しました。僕、最初は「アバンテーベ」に入社する予定だったんですよ。
少々説明が必要だ。この記事を執筆しているわたしは元々キリングセンスというコンビでタイタンに所属していた。コンビは解散したが、わたしは今もタイタンに籍を置きながらライターとして活動中だ。そして、この「アバンテーベ」はタイタンの関連会社で、例えば、タイタンシネマライブなどの配信を運営している。八木監督は、タイタンではなく、このアバンテーベへ入社する予定だったのだ。
──なるほど! アバンテーベは映像系の仕事をしているし、社長はクリエイターとして採用したわけだ。
ところが、ちょうど田中さんのマネージャーがタイタンを辞めてしまって。急遽、タイタンに入社することになって田中さん担当になりました。
──それにしても、進路として映画制作そのものを選ばなかったのはなぜ?
いつか必ず、太田さんは映画を撮ると思いました。そのとき、一番大好きな人が映画を撮るとき、一番近くでサポートをしたいと思いました。太田さんの近くにいたいと。それでタイタンを選んだんです。
──これは即採用だよ。タイタンの鏡だね。
(照れ臭そうに)そんなことないですよ(笑)。
本番直前…爆笑問題が台本を読んでない!?
──この映画では爆笑問題の二人も本人役として出演しています。田中さんのマネージャーだった存在から、ここでは映画監督です。なにか感じたことは?
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