第34回 パワーインフレ最高! 「0の数が違いすぎること」というのはいくつになっても楽しいものです。
どれだけ物語のパワーバランスが崩壊しようとも! 俺は単純に「異常に強い奴を倒したあとにもッと強い奴が出てくる」のが大好き!
ということで! 近年発売された書籍の中でトップクラスにかっこいいタイトル『宇宙最強物質決定戦』を君は読んだか!?
この本、マンガじゃないんですが間違いなく、毎月このコラムで紹介されているようなマンガが好きな人は「他にこの本も読んでいます」案件なので圧倒的大推薦です。
宇宙の天体の持つエネルギーを、大きさ・重さ・電気・速さなどの誰でもすごさが分かる要素でランキングして「1位の奴は2位の奴よりどのくらいすごいのか?」を『ドラゴンボール』『刃牙』など「アホみたいに強いものが好きな人に、これ以上なく伝わる」作品を引用しつつ大解説。星vs星ではなく、銀河vs銀河の規模に戦いがスケールアップした際は『キングダム』の概念も投入。
作中の挿絵は、誇張の気持ちよさでマンガ界のトップを走る一人であるジェントルメン中村が担当し、我々物質世界の存在では認知することも難しいようなダークマター・ダークエネルギーの最終決戦の場面でもマンガ好きならストレスなく飲み込める擬人化に成功。本一冊に詰め込める密度が中性子星をはるかに超え、作中に出てくる0の多さもジンバブエドル級の最高の一冊となっています。
僅差の勝利もいいけれど、やはり「0の数が違いすぎること」というのはいくつになっても楽しいものです。
あと、『笑顔の世界』の逆表紙詐欺、最高!
中身はいわゆる「ちゃおホラー」のような女子小学生にも好まれそうな絵柄なのに、なんでこのカバーアートにしたんやという判断は、英断としか言いようがない。読みやすい絵柄で、人間が人間を飼ったり食べたりするお話がたくさん詰まっていますので続刊大期待。
カバーアートで笑ってる神々が「ザ・不敬!」の宗教サスペンス『スマイリー』4巻も良かったので併せて楽しんでください。
服部未定 『スマイリー(4)』(日本文芸社)※週刊漫画ゴラクで連載中
そして『くずりのジャム』、人類必携です。
「テレビのリモコンのスイッチを押したら横のストーブの電源が入る」ような世界の混信を受け取り続ける男が話す、「能登半島の海女が海底でアワビを岩からはがした瞬間に、寺の坊主の背中に何かをはがしたような傷と痛みが走った」みたいなエピソード、親戚のおばさんが聞かせてくれるオリジナル要素が強すぎて暴走する名作童話、お人形ハウスの家庭崩壊と愛憎劇など、違和感が違和感のまま進んで放り出されるような短編が堪能できる一冊。こういう「評価する言葉がまだ世界に少ない」タイプの本、無限に読んでいきたい。
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