【9月号特別企画コラム】『あざといは、お好きですか?』
「あざとい女」のイメージが、ここ数年でネガティブからポジティブになってきた。でも「あざとい」って何? ゆるーい考察なので、気楽に読んでください。
昭和の時代「あざとい女」と言ったら、「付き合いたくない危険な女」「ずる賢い女」というイメージで、割と不名誉でネガティブな言葉だった。ところが平成、令和と世は移り、「あざとい」という言葉が「ちょっとずるいけど、そこがカワイイ」「なかなかの策士だけど、気になる人」という感じでポジティブというほどでもないけど、あまり不名誉なイメージではなくなってきたような…。いいんだか悪いんだかよく分からないけど、とにかく今は「あざとい」に「かわいい」が加わった「あざとかわいい」が女子の魅力のひとつになっているみたい。そこで、ちょっとだけ「あざとい」について考えてみることにしました。かるーい内容なので、移動の合間やテレビの合間にでもスマホで読み流してください。
構成・文/浅井加枝子
「あざとい」の意味を調べてみる。
とりあえず、自分のiPhoneでSiriを呼び出してみた。相談をすると、割と提案型で説教を垂れてくるので、普段はあまり呼び出さないけど。
――Hey! Siri!(←ここがもうイヤ)あざとい女ってどう思う?
「私にはどう答えていいのか分かりません。何かほかにお手伝いできることはありますか?」
すまん。質問が曖昧だったね。じゃあ、
――あざといってどういう意味?
「“あざとい”に関する検索結果をお知らせします」
わざわざSiriに聞かなくても、あとで検索するつもりだったが。
――あざとい女って誰かなあ。
「“あざとい芸能人は誰”“田中みな実”」
割とストレートな回答が得られたね。確かに「あざとい」をポジティブにしてくれたのは、フリーアナウンサーの田中みな実さんだと思う。初期は男性から「あざとい」と言われていたのが、最近は女性から「あざとくてかわいくて素敵!」な感じで親しまれているような気がする。最近よく聞く「あざとかわいい」の代表という感じだろうか。
そしてアイドルグループグループ『日向坂46』のアルバム『ひなたざか』にも『アザトカワイイ』(SMR/発売中)という曲が。カワイイ!
さてその「あざとい」を辞書で引くと「あざとい:抜け目のない、ずる賢いさま。小利口である。ほかを出し抜いてでも自分を優位にする人」。Oh、なかなか周りから思われたくないワードが並ぶね。しかも「あざとい人」というワードで調べると、「相手の好みに合わせて自分を作り、相手の方から好きにさせる人」だと! 確かに世代に関係なく、こういう女子はいる。そこで、職業がら普段から女子相手が多い、ヘアメイクさん、美容師、ネイリストの方に「あざとい女子あるある」を聞いてみた。
「あざとい女子」あるある
●男子の前だと声の高さが変わる(いるいる)。
●自分のことを「かわいくない」と言う(「そんなことないよ、かわいいよ」と言ってもらい待ち)。
●たいして面白くない話にも、かわいい声でよく笑う(明るくて気立てがいいというセンを狙っているらしい)。
●SNSには手料理の写真(本当に手料理か審議中)。
●SNSに「すっぴん! ハズカシー!」と言って自撮り写真を載せる(絶対に薄化粧)。
●さり気ないボディタッチが多い(指先程度で触るそうです)。
●「えー、すごーい!」を連発(そんなにすごくない)。
私の周りにもたまにそんな女子がいたけど、かわいければOKと思っていた私は男子だったのだろうか。ほかに「飲み会では、空いたお皿を隅に寄せ、グラスが空くとすぐついでくれる」「料理をよそってくれる」「飲み屋を出るとき、靴を履くのが遅い」など。靴を履くのが遅いのはどうでもいいけど、前のふたつは便利だぞ! 飲み会にひとりは欲しい人材だ。ついでに「スナックあざとい女」とかあったら、繁盛しそう。
「あざとい」がポジティブになってきたと思っていたのに、まだまだ世の女性からは「ずる賢い」要素が高いと思われていることに驚いた。でも、「あざとい」を漢字で書くと「小聡明」。これはちょっと素敵。頭が良さそう。実際、「あるある」を見ても分かるけど、相手の心を読んで自分を作るわけで、頭が良くないと「あざとい」はできないぞ。
さて、「あざとい」ものは人間だけではない。私がもっとも「あざといヤツ」と感じるのはネコ!
ネコはあざとい。
ネコはいろんなポーズをとる。そして飼い主のことをたまにジッと見る。
寝そべって見る。
クッションの間から覗くように見る。
眠そうな顔を見せる。
たまに興味無さそうに目線をはずす。
モデル/千葉県・カイくん
ネコ好きにはたまらん「あざとい」プレイです。ネコは狙ってやっているのか? ということでペットショップの店長さんに聞いてみると
「ネコが狙っているかどうかは分かりませんが、ペットショップにいる子ネコは、たまにあざといなって思うことがあります。お客様が来ないときは寝ているのに、お客さんがガラスの向こうから見ているのが分かると、急に毛布を引っ張って遊んだり、水を飲んだりする子がいます。もちろん人の気配がしたから、思い出したように動き始めたんでしょうが、そんな子ネコの姿に悶絶しているお客様を奥から見ると『お、あざとさ成功だね!』と微笑んでしまいます。ちなみに、あざとくない子ネコもいて、そういう子はケージに馴染みまくってずっと寝ているせいか、売れるのが遅いですね。育ってきちゃうと、こちらとしても少々あせります」
がんばれ、あざとくない子ネコ!
ちなみに、このコラムのバナーがネコなのは「ネコ好きが思わずクリックするのではないか」という、私の浅はかな策略です。あざとい!
さて、それでは人間に話を戻して、じゃあ“かわいい”の代表であるアイドルのみなさんは「あざとい」をどう捉えているのか。SNSなどでグッとくる“あざとい”写真をあげ、ファンを喜ばせてくれるアイドル、SKE48の佐藤佳穂さんにお話を聞いてみた。
SKE48・チームE 佐藤佳穂さんインタビュー
アイドルにとって「あざとい」は良い意味のスキル。
――佐藤さんがSNSであげている写真が、ファンの間で“あざとい”って評判になっていますけど、あれはもちろん狙ってですよね?
「半分狙って、半分ナチュラルです(笑)。半分と言うより、今はナチュラルになったっていうのかな? 私は、アイドルになるまで自分を“あざとい”タイプとは意識していなかったんですよ。悪知恵が働くタイプかなっていうふうには思っていました。相手の好みをさり気なく探り出して、それに合わせて自分のスキルの出し方を変える知恵もアリだなと思って、そうしているつもりだったんです。でもアイドルですから、特定のひとりに対してそんなことできないですよね。私はファンの方全員を好きですし。でももっとファンの方に私のことを好きになってもらいたい、そして特にファンではなかった人から『さとかほ(佐藤佳穂)、ちょっといいね』と思ってもらいたい、そんな気持ちで自撮りした写真をSNSにあげていたら、ファンの方から『さとかほ、あざとい』って言われるようになって、あ、これがあざといってことかと自覚し始めたんです。まあ。アイドルにならなければ、“好きになって欲しい”という写真なんてSNSにあげないですけどね(笑)。でも以前は、そんな女性を “媚びる女”って世間が呼んでいたと思うんですよ。ただ、“媚びる”とも“ぶりっこ”とも違うんですよね、“あざとい”は」
――確かにどちらでもないですね。気持ちを隠さず、もっとストレートに積極的に“好きになって欲しい”思いが入っていますよね。でも押し付けない感じ。ところで佐藤さん流の“あざとい写真の撮り方”を教えてください。
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