押井守のサブぃカルチャー70年「サンダーバードの巻」【2021年8月号 押井守 連載第25回】
押井さんが不条理ドラマの面白さを学んだという『プリズナー№6』と同時期に観ていた海外ドラマ『謎の円盤UFO』。今回は同作を手掛けたジェリー・アンダーソンの代表作『サンダーバード』が実は先駆けになったと思われる手法などを紐解きます。
取材・構成/渡辺麻紀
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得てして名シーンや名演出は制約が生むもの
――前回は、押井さんが不条理ドラマの面白さを学んだという『プリズナー№6』(1967~1968年)のお話をお伺いしました。同時期にご覧になっていたドラマが『謎の円盤UFO』(1970年)だったということなので、今回はそのお話をお願したいと思います。『~UFO』と言えばジェリー・アンダーソンです。『サンダーバード』(1965年)等で、今でも人気の高い英国のクリエーター&プロデューサーですね。
麻紀さんはジェリー・アンダーソンの作品は何を観ていたの?
――『サンダーバード』です。オンエアがNHKだったので、私の田舎でも観られました。大好きでしたね。とりわけ2号機のファンで、いろんなグッズをもってます(笑)。でも、『~UFO』等は観てないんです。
私は結構、観てると思うけど……(リストを見ながら)『宇宙船XL-5』(1962年)は観ている。『海底大戦争 スティングレイ』(1964年)も観てる。『サンダーバード』に『キャプテン・スカーレット』(1967年)は当然……というか、これが一番好きだよね。『ジョー90』(1968年)、『決死圏SOS宇宙船』(1968年)も観たんじゃないかな。『ロンドン指令X』(1969年)はよく知らないけど、『~UFO』『プロテクター電光石火』(1972年)、そして『スペース1999』(1975年)……このリストの作品はほとんど観てる。
――それは素晴らしい!
アンダーソン自身はおそらく、実写のほうに興味があったように思うけど、世間の評判的にはスーパーマリオネットの人ですよ。スーパーマリオネットでひとつの時代を築いたおっさんであることには間違いないから。
『サンダーバード』がなかったら、バンダイだってどうなっていたか怪しいよね。
――バンダイが『サンダーバード』のオモチャの権利を持っていたんですか?
そうです。その手の番組はオモチャありきだから。オモチャが先で、そのあとに番組が付いてくる。
――押井さんは『サンダーバード』、好きじゃないんですよね? マリオネットだから?
というより、武装してないから。彼らは国際救助隊であって戦わない。ただ助けるだけ。宇宙軍とか国連軍ならいいけど、インターナショナル・レスキューだからね。
――そこ!?
そうです。言うまでもなく私は、子供の頃から軍オタでしたから。戦争大好き、軍事大好きなんだから当然ですよ。それに、何となくあか抜けないって感じじゃない?
――それってマリオネットだから? 4頭身くらいでバランスは悪いですよね?
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