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猫のつまらない話 最終回【能町みね子 連載】

半年ぶりにして最終回!

第2位の発表以来焦らしに焦らされている小町の肝冷やしランキング。いよいよ、ようやく、やっと、栄えある肝冷やし1位の発表です!

前の話なんてもうすっかり忘れちゃったよ〜! という人は、コチラのバックナンバーをどうぞ。

文&題字イラスト/能町みね子 写真/サムソン高橋

のっけからこの文章を書く上での悩みを晒してしまうが、窓の構造を文字だけで説明するのがすごく苦手だ。

いきなり窓の話とはなんでしょう。

この連載は猫刑法第1条、「猫を逃がしちゃった罪」について話していたはずだった。でもその前に窓について話させてほしい。

いくら博学な物書きでも、窓まわりの細かい部分についた名前を知っている人はそういないだろう。芥川賞を取ったところで窓の構造はうまく表現できないだろう。窓の全面を覆うようにはめられた、鉄材で唐草模様みたいな柄が形作られた枠みたいなやつ、あれはなんて言うのが正しいんだ。窓の外側に張り出すように付けられた、植木鉢が置けるほどじゃないけどタオルくらいは掛けられる、窓の下側部分だけの金属製の檻みたいなやつはなんて呼ぶんだ。正しい呼び名があったところで、そのまま書いて読者に伝わるのかそれは。分かんないことだらけだ、窓。

前者については、実は連載の前のほうですでに触れました。そのときは「飾り格子」と書いたけど、どうも「面格子」と呼ぶほうが正しそう。アラベスク風の柄の面格子、と呼ぶべきかな。

後者については必死で調べた。どうやら、「窓手すり」と呼ぶっぽい。

……なんだその伝わりづらい名前は!「窓手すり」と聞いて「あーアレね」と思う人、エクステリア関係企業就業者以外にいるのか?「窓手すり」って名づけたやつ、出てこい!

はー。窓についての怒りを一旦出せてよかった。
ということで、今回はですね、私が犯した「猫逃がしちゃった罪」の中でも第1位である、「小町が自宅の窓の内側の面格子のスキマを突破し、外の窓手すりの上を楽しんじゃった事件」について語りたい。
ほらー、窓について説明しといてよかったでしょ。伝わりづらいのよこの話!

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