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『2gether』第12話レビュー:伝説の「おでん女」に匹敵するライバルの登場でSarawatとTineに最大のピンチ到来!

世界中を涙と胸キュンの沼に落とし込んだタイ発のドラマ「2gether」。最終話までの全話レビュー連載です! 書き手は、ご自身もタイドラマ沼に落ちた、ライターの横川良明氏。プロの書き手として冷静と情熱の間を彷徨いながら、横川氏が「2gether」と共に毎週金曜を駆け抜けます!

文/横川良明

よこがわ・よしあき●演劇とテレビドラマを得意とするライター。初のインタビュー本『役者たちの現在地』(KADOKAWA)が発売中! 電子書籍『俳優の原点』(ライブドアニュース編集部)も発売中。


<前回までのレビューはこちらから>

のっけから余談ですが、最近気づいたら寝落ちしています。で、たいてい朝目覚めたときにスマホを見るとTwitterが開きっぱなしになっていて、検索窓に「Bright Win」って打ってある。

「Bright Win」――それは打つだけで幸せになれる魔法の言葉。へとへとになって疲れた夜も、「Bright Win」と打つだけで脳がどろっどろに溶けそうな情報が温泉のように湧いて出てくる。そんな尽きることのないタイムラインを延々スクロールしている時間が、1日で最も幸せなひとときです。

そんなBright&Winですが、去る10月15日は『2gether』の制作発表から1年という記念すべき日でした。

Winくんも1年前に抱いた想いをまるで昨日のことのようにいきいきと語っています。ちなみに、当然のことながら何と書いているかはさっぱりわかりません。いつもGoogle先生、微妙な翻訳をありがとう。

そんな興奮気味のWinくんにBrightくんからリプが。「また今週の土曜に会えるだろう」と彼氏ヅラをしてくれています。ヒューッ! こんなやりとりを拝めるなんてTwitterは人類最大の発明。

1年前の制作発表の写真を見ると、ふたりの顔つきがずいぶん幼く感じられます。この1年でタイを代表するスターに成長したふたり。改めて夢をありがとうとお礼をお伝えしたいです。

そんなふたりは今週、ミスユニバースタイランド2020に出席。

Brightくんはショーン・メンデスの『LOST IN JAPAN』をギターで弾き語り。歌詞を読んで、日本人で本当良かったと心の底から思いました。

WinくんはHONNEの『Day1』というナンバーを披露しました。これも歌詞を調べたら、Brightくんと出会ってからのWinくんの心を歌っているようで、選曲の良さよ……!

そしてふたりでジョン・レジェンドの『All Of Me』をデュエット。わいもタイの美女に生まれて、ふたりにエスコートされながらステージを闊歩する人生を歩みたかった……。

そんな高望みにも程がある夢を抱えたところで、第12話のレビューを始めます。このレビューでは物語の内容にガンガンふれていきますので、ネタバレを避けたい方はすみやかに避難してください。


不安と嫉妬に傷つくTineの涙に、Tineモンペが大爆誕!

<第12話 あらすじ>
軽音部にSarawat(Vachirawit Chiva-aree/通称Bright)の高校時代の友人・Pam(Sarocha Burintr/通称Gigie)がやってくる。音楽学部に入学するためにSarawatにギターのコーチを頼みたいのだと言う。ただの友達とは思えないふたりの雰囲気に、Tine(Metawin OPAS-iamkajorn/通称Win)はPamがSarawatの初恋の相手ではないかと疑念を抱く。
一方、オフィスで残業をしていたType(Jirakit Kuariyakul/通称Toptap)だが、明日までに提出しなければならない入力作業が停電によってすべて消えてしまう。そこへ現れたMan(Chinnarat Siriphongchawalit/通称Mike)が手伝いを申し出、ふたりは徹夜で作業に取り組む。屈託のないManのキャラクターに少しずつ心を許しはじめていたTypeだったが、そんなふたりの関係を一変させる出来事が起きてしまい……。


この12話のポイントは、観終わった瞬間、誰もがTineのモンペになること。

誰やー! うちのTineをこんなに泣かせたやつはー! 全員まとめて教育委員会に訴えるぞー!! と頼まれてもいないのに職員室に駆け込みそうになります。

波乱の火種となっているのは、Sarawatの高校時代の同級生・Pam。このPamとやら、ただの同級生ではありません。どうやらSarawatが心ひそかに想いを寄せていた初恋の人なんだそうです。

初恋の人。聞くだけで心穏やかではいられないこのフレーズ。当事者のTineはもう完全に嫉妬の鬼です。

突如現れるなり、音楽学部に入りたいからSarawatにギターの指導をしてほしいとあつかましすぎるお願いをするPam。ヤマハに行け。

そんなふたりのやりとりを壁にもたれて腕組み状態で見つめているTine。もうポージングが完全にバンドマンの彼氏のライブに来た彼女のそれ。さてはキャーキャー言っている女子ファンたちを後方から「ふーん」ってスカした態度でマウントとってるタイプやな。

しかし、正直者のTineはそれからというもの嫉妬まる出し。Pamのインスタに張りついて、怪しいところがないかチェックしまくります。Sarawatの気配を感じたら、さっと別の画面に切り替えるTine。オカンに隠れてパソコンでエロ動画を見ている中学生みたいなことをします。

そんな Tine の心を知ってか知らずか、のんきにTineご愛用の美肌サプリを拝借するSarawat。なんでも「練習がハードだから見た目にも気にしろ」とバンドメンバーから言われたそう。しかし、そんな他愛のないやりとりに「そんなに忙しいのに、Pamにはギターを教えるのか?」と嫌味全開のTine。姑か。天然愛され系男子は、付き合ったらめちゃくちゃ面倒くさいタイプのようです。

しかし、決してTineが悪いわけではありません。好きになったら嫉妬をしてしまうのは人間ならごく自然なこと。何気なく軽音部の練習場所に立ち寄ると、そこにはSarawatとPamが。自分にギターを教えてくれたベンチで、同じようにPamにギターを教えているSarawatを見て、思わずTineは立ち去ってしまいます。


世界でいちばん憎々しいのは、恋のライバルの「来ちゃった」です


すっかり元気をなくしてしまったTineはストレスのあまり胃を壊してしまいます。どんどん弱っていく姿がもう可哀相で仕方ないのですが、Tineが着ているタンクトップがエロすぎて会話が頭に入ってきません。なんでそんな袖口あいてんの? 腋というより、ほとんど横乳が見えてるで。

あれだけTineのおっぱいにご執心なSarawatからしたら、こんなん横におったらメガシャキ状態のはずですが、どうしたことかTineが一緒に動画を撮ろうと誘っているのに、Sarawatは早々にお休み。Tineはひとり嫉妬と寂しさを募らせながら、眠れぬ夜を過ごします。

が、Tineのためならいつでもどこでも駆けつけるのが白馬の王子・Sarawat。胃痛が悪化し、学校を休んだTineを心配し、練習をサボって家に帰ってきます。

その場でPamに対する疑念をぶつけるTine。Sarawatは Pamのことを初恋の人だと認めた上で、だけどいま自分が愛しているのはTineだと誠実に説明します。どんなこともそうですが、ひとりでウジウジ考えていても悪い妄想が膨らむだけ。必要なのは会話です。Sarawatの愛情たっぷりの言葉にすっかり自信を取り戻したTineは、Sarawatのリハーサルについていきます。

ところが、そこで待ち構えていたのがPam。レッスンは明日なのに、いきなり「来ちゃった」と平成初期のトレンディドラマみたいな台詞で、Sarawatに練習を見てほしいとおねだりします。いやいや、来ちゃったじゃねえよ。これでおでんを持っていたら、今日から確実にさとみと呼ぶところでした。

自信を取り戻したTineは、「彼女と話せよ」と寛大なところを見せますが、やっぱり不安が抑えきれなくて部室を出ると、目の前には抱き合っているSarawatとPamが。

チャカチャチャーン! もう完全に頭の中で『ラブストーリーは突然に』が流れてる。あのおでん女以来のイラつきをPamにぶつけてしまいそうです。

いや、わかるのです。恋は誰だって真剣勝負。ある人からは敵役に見えても、当事者からすれば、ただ自分の想いに必死なだけ。Pamだって本気でSarawatが好きなのです。だから、決して憎まれる筋合いなどないことを。

だが、さすがに分が悪い。そんな最終回の1話前にのこのこ出てきたPamに感情移入しろと言われても無理な話。おいおいと嗚咽するTineを見て、リアルタイム放送時、Tineのモンペたちは心に決めたのでした。今すぐGMMTVに不幸の手紙を送ろうと…!!(落ち着いてください。不幸の手紙はダメ、絶対 by編集部)


捨てられた子犬のようなManの姿に、Manモンペも大暴走!


そんな悲しみのどん底に陥った12話ですが、一方でラブコメとして最高級の盛り上がりを見せたのが、ManとType。ふたりきりで徹夜で作業をするという、これまた月9で300回くらい見たシチュエーションで一気に距離を縮めます。

ところが、そんなふたりの間にも邪魔者が。Typeの送別会に駆けつけたManに対し、インターン先の社長が嫌がらせのような発言を連発。地位も経済力も持った社長と、まだ何一つ将来の決まっていない学生のMan。確かにその差は天と地ほどもあります。他の人たちはみんな赤ワインなのに、Manのグラスに注がれているのはコーラ。お前は住む世界が違うのだと言わんばかりの扱いに、Manのプライドは激しく傷つけられます。

TypeはTypeでふたりの間に流れる不穏な空気に針のむしろ状態。これが竹内まりやなら「けんかをやめて〜♪」と歌ってる。

それでもTypeのそばにいられればManはじゅうぶん幸せでした。が、Typeを送ろうとするManの前に、またもやいけすかない社長が横入り。「君が決めろ。快適なのがいいなら俺と一緒に。庶民的で汗臭い生活を体験したいならこいつと一緒に」とManの神経を逆撫でするような挑発をぶっこんできます。

あ〜〜〜、『2gether』のことずっと悪人のいない世界って言ってたけど、いたわ〜〜〜、この社長はむちゃくちゃいけすかねえ!!! Pamはまだわかります。いかにおでん女といえど、彼女もまたひとりの恋する女性。だが、この社長は許さねえ。

しかし、Typeは社長と帰ることを選び、Manはまるで捨てられた子犬のようにひとり夜道に取り残されるのでした。ついさっきまでめちゃくちゃいい感じだったのに、まさかの鬱展開に急転直下。これが険しき恋の道というやつなのでしょうか…。

はたしてSarawatとTineは絆を取り戻せるのか。そして、Manの想いはTypeに届くのか。すべての答えは、最終回までお預け!

ちなみにもうひと組のサブカップルだったはずのPhukong(Thanatsaran Samthonglai/通称Frank)ですが、今回の出番はMil(Sattabut Laedeke/通称Drake)からもらった腕時計を見て終了。最終回の1話前にして登場シーンは28秒というめちゃくちゃ雑な扱いを受けていますが、このMil&Phukongの結末も含めて、どうぞ最後までお楽しみに!

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