押井守のサブぃカルチャー70年「YouTubeの巻 その26」 【2023年3月号 押井守 連載第61回】
今回は前回に引き続き『六丸の工房』について語って頂きました。映画はもちろんのこと、真面目なTVドキュメンタリーや国際会議などに言葉巧みなアフレコをつけ、人気を博しているこちらのチャンネル、押井さんが高評価の理由とは? 詳しく伺いました。
取材・構成/渡辺麻紀
撮影/ツダヒロキ
<新刊情報>
加筆&楽しい挿絵をプラスして待望の書籍化!
『押井守のサブぃカルチャー70年』が発売中!
当連載がついに書籍化しました。昭和の白黒テレビから令和のYouTubeまで、押井守がエンタメ人生70年を語りつくす1冊。カバーイラスト・挿絵は『A KITE』(1998年)などを手掛けた梅津泰臣さんが担当し、巻末では押井×梅津対談も収録。ぜひお手に取ってみてください。
笑いというのは一生懸命やらないとダメ! だからこそ『六丸の工房』を尊重しているんです
――前回は、『六丸の工房』というチャンネルについて語って頂きました。いつものように話がそれてしまったので、今回はその続きをお願いします。ちなみに『六丸の工房』は映画やニュース、報道の真面目な映像に笑えるアフレコをしているチャンネルです。登場人物が多数いても、すべての人をひとりが吹き替えているのがポイント。しかも、その役者やキャラクターの声優さんの声まで真似て。素人とは思えない上手さですよね。
素材の選び方も考えていて、その映像とアフレコのネタのギャップで笑わせてくれる。トム・クルーズとジャック・ニコルソンが出ていた軍事法廷ものって……。
――もしかしてそれは『ア・フュー・グッドメン』(92)ですか?
そうそう。それはロリコンビデオを購入しちゃったニコルソンが裁判にかけられるという展開になっていた。何度も言うけど、それをクソ真面目にやっているからこそ面白いんですよ。
おそらく、脚本は自分で書いているんじゃない? なぜって「趣味」という感じが強く出ているから。さすがにひとりだけではやっていないとは思うけど。イラストは作品によってタッチを変えているので、おそらくプロに依頼している。ネタ探しも大変そうなのでスタッフに頼んでいるんじゃないかな。週に二回くらいの頻度でアップしているから、ひとりでこのクオリティを続けるのは無理だと思う。
まあ、ほかのチャンネル同様、実際のところはよく判らないんだけどね。
――あのクオリティを週二回なんて、押井さんや私には絶対にできませんよね。
麻紀さん、まさかユーチューバーになろうとか考えたの? 一瞬でも?
――老後資金のために(笑)、一瞬だけ。一瞬で終わりましたが。
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