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うどんのはなし

私はおいしいものが好きだ。できれば毎日おいしいものを食べたい。安くても高くても簡単でも複雑でも、おいしければそれで幸せだ。


先日私は夏風邪を引いていた。

その間、レトルトやお粥などであまりおいしいものを食べていなかった。

だからかわからないけど、急に出汁の効いたうどんが食べたくなった。

丁寧に作られた、つやつやのうどんにあいたくなった。


風邪も治って動けるようになった日の夕方。あぁ今日はうどんにしようと思った。

急に思い立ったのであまり時間はかけず、ありもので作ろう。

まずは昆布を一枚手に取り、焼酎で拭き、
干し椎茸と日本酒と水と一緒に鍋の中へ。

すぐに作ってもよかったが、少しでももどしたほうが今日はいい。
そんなことを考えながら、出していた食器をしまい、ネギや生姜を刻んだ。

30分ほどたったころ鍋を火にかける。昆布と鰹節で出汁を取るということは知っていたが、以前昆布を煮込んでしまった。昆布のヌメリが鍋全体に広がり美味しくないものができてしまった。
そんなことを思い出しながら沸騰しないように鍋を見つめる。

最初は静かだった鍋もぷつぷつと気泡を上げはじめている。そんな変化を見ながら鍋をまた火にかける。
ぶくぶくと勢いがついてきたところで、火を止め無事に昆布を出す。

そこに前にあまったパックの鰹節を入れ、また火にかける。

丁寧に出汁は取りたいが、いかんせん私はめんどくさがり屋だ。だから料理にもどうしてもそれが出る。

まぁ、私にしたら丁寧だらいいだろうと思いながらゆらゆら揺れる鰹節を見つめる。

火にかけている間に、なんだかおいしそうだから具材も入れてみようと思った。
今日はネギと生姜がたっぷりのったきつねうどんにしようと思っていた。

ネギと生姜がたくさん刻んだから食感の違いもあったら美味しそう。それぞれ適当に鍋に突っ込む。生でも食べたいからそれはとっておく。
ついでに病み上がりだから、ほうれん草を後で入れようとざっくり刻む。

煮立ってきたら、味見をして「うむ」と思う。顆粒ではない出汁の味だ。

それを崩さないように、醤油や日本酒、塩などを入れる。
私には調味料に小さなこだわりがある。うまいものしか使わないというこだわり。
料理酒は使わない。必ず日本酒を入れる。これだけでかなり味が違うと思う。これは実家の母の教えだ。
塩は今、五島列島の塩を使っている。五島列島の塩はなんだか丸い。形がではなく味がなんだか尖っていなくて素直な感じなのだ。

そんな調味料を入れながら整えていく。それに追加して今日のメインのアゲも入れた。スーパーで味付けされたものを買ったので、それも汁まで入れる。
味見して出してを繰り返して、気づいたら「うまい」と誰にいうでもなく呟いていた。

うどんの汁ができた。
次はうどんを茹でる準備をする。鍋をもう一つ準備して沸騰させる。今日は冷凍うどんを使う。冷凍うどんのほうがコシがある感じがして好きだ。
沸騰したお湯に入れてほぐす。

ざるに切らないとな。ちょっとだけめんどうだなぁ。でもここまで丁寧に作ったしなと思い、ざるを手に取る。

茹で上がったら、ざるに移し、お湯を切る。
ザッザッザッ。

ある程度切ったらうどんを器に盛る。ほうれん草と一緒に温め直しておいた汁を上からかけ、生のネギと生姜をのせる。


夫を呼び、合掌する。

ずずーずー。汁と一緒に食べたうどんは、うまい。

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