読書日記
「汝、星のごとく」
本屋大賞にも選ばれた作品ですが、ようやく読む気になりました。
我が家には本屋大賞を受賞されたころからこの本はあったのですが、何しろ、凪良ゆうさんの作品は「流浪の月」でかなり重ためのパンチを食らって以来、惹かれるけど畏れ多い。そんなイメージです。
上手いたとえではありませんが、かさぶたがはがされる感じ。
読後の率直な感想
穏やかな海のようです。
物語の主人公2人の家庭環境や置かれている状況から物語の終結にかけて、荒波が何度も打ち寄せ、翻弄された後の穏やかさ。
そんなこともあったね、と胸の内に折り畳んでしまって日常を営む、そういう穏やかさでしょうか。
やはり今回も重ためのボディーブローをいただきましたが、読後は意外にも爽快感で満たされています。
親に寄りかかられるこども
私にとって苦しかったのは、主人公が親に依存されていることでしようか。そのため自分の人生を選べない、またはどこか影を落とすことになってしまっている、そんな状況や関係。
無力な未成年の子供からのその呪縛は、成人してからも続くものです。
「あなたのため」という呪いのような台詞で、主人公にありえない負担をかける親の描写が、救いのなさを感じずにはいられませんでした。
本質を見ない、キーワードだけが独り歩きする偏見
「流浪の月」を読んだときには、これが一番きついというか、堪えた要素でした。そして今回もそういう場面があるんですが。
なんていうのでしょう? 主人公が取り巻く状況が「流浪の月」に比べて、読者である私にとって救いがあるからか、そこまで胸が苦しくなるような感じにはなりませんでした。
しかし、結果として人生が狂わされた登場人物もいて、そこから生まれる悲劇がつらいかった。同時にその悲劇があって、救われたのかなぁ…と、どうやって感想に落としどころを付けたらいいんだろうと今でも少し考えてしまってます。
「捨てる、あるいは選ぶ」
捨てることと選ぶことは同格なんだな、とある意味納得する台詞でした。
人のキャパシティは限られているのに、いろんな事情が重なれば重なり、なおも頑張り続けないといけない状況のなかで、これは必要な決断なのかもしれません。それをせずして頑張り続けると、破綻しますよね。確かに。
まとめると
読んでよかった…凪良ゆうさんの作品はこういう綺麗ごとでない人間の内側が描かれているのが、私にとって魅力です。ある意味自虐なんですが。
続きの「星を編む」もこれから読もうと思います。
なんか読後の興奮冷めやらずで文章がまとまりませんが、これで失礼します。
(15/100)