男目線で「ムーミン」を読んだ話
女性から見た理想の男性はスナフキン。だって、自由に放浪していて、心に響くいい言葉を残してくれる。
私、ミィに似てるってよく言われるんだよねー。
女性と喋るとムーミンが好きだ。と言われることがあるのは北欧雑貨屋でムーミンの商品を扱っているからだろう。好きで来てくれているのだからそりゃ聞くことがある。
男性でムーミンの話ができるひとを探してみたことがあったが、内容まで知っている人はほとんどいなかった。ムーミンが好きだ。と言うひとに会ったのはこの15年で2ー3人だった気がする。
自分自身そもそもムーミンに興味はなかった。店でムーミンを扱おう。と決めたときに、内容知らずに扱うのおかしいよね。と思って小説を読み始めた。東京へ向かう電車の往復でちょうど1冊。出張にちょうどいいボリュームだったことが全10話読み終えるのにちょうどよかった。
ムーミンから得たことは
○第二次世界大戦敗戦国フィンランドの、荒廃から復興への希望。そして作者自身の人生からくる絶望感と未来への微かな希望。
○古典的ヨーロッパの父親像
○挿絵やふとした描写から得られるフィンランドのライフスタイル
○哲学的な作者の意図なのか、子供向けといわれる作品中に散りばめられた、大人が子供に説明しにくい性や差別、いじめの問題。
結論。いやまじ最高。
講談社から出ている文庫本で読む限り、日本語のリズムが独特すぎて読みこなすのに苦労するし、著者くらいでは1度読んでも???となるし、これ設定どういうこと?サイズ感おかしくない?とかつっこみどころたくさんあるし、そもそも話の順序がよくわからん。とかいろいろありますが、エキスは濃い。
以前BSテレビの「駅ピアノ」を見ていたら、ニョロニョロのモデルで、かつてジプシーと呼ばれたロマの男性がピアノを弾いていたが、本当にニョロニョロにそっくりでのけぞったことがある。
皆に注目されたくて話しかける代わりにいたずらをする(いきすぎて殺人未遂くらいやってのける)スティンキーというキャラクターには男子として何かわかる気がする。
モランを誰もが嫌いすぎて、誰も話しかけなくなった結果、そもそもどうしてモランの事が嫌いなのかわからなくなる本末転倒なところも、昔そんなことあったな。と中学あたりの自分を思い出す。
ムーミンやその周りにいるキャラクターたちは作者やその周りにいる人々の話なのだろう。と腑落ちする。ムーミンが好きになってくると、あいつはどのキャラクターに似ているとか、自分は誰に共感するとか、そんなゲームを始めてみたくなる。
豊かさとはなんなのか、幸福とかなんなのか。こんな時代というか事態だから見直したい作品であろうと思う。
ムーミンが好きだ。という人に聞くと、キャラクターが好きでムーミンも好きになったという話は聞かない。
代わりに、北欧が好きでムーミンも。とか、北欧雑貨が好きでムーミンも好きになったという話はよく聞く。中にはメタルが好きでムーミンも。なんて人もいた。きっといろいろ変遷があるのだろう。
いつかおじさんばかり3ー4人登壇してムーミンのことを語るのを観客が温かい目で見守る。みたいなイベントをやりたいと、いまは心に留めておこうとおもいます。
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