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歩けるけど車椅子を1ヶ月借りてみた話  WHILL C2 30日間チャレンジ(1週目)

以前から、未来のモビリティとして可能性を感じていたWHILLが1ヶ月だけでもレンタルしてくれると知ったので、30日間チャレンジをしてみました。

車椅子は脚を怪我したときに乗るもの、免許を返納したら。歩行困難な人に向けての道具。電動となったら、障がいのある人向けの特殊な乗り物。普段意識する対象にもないが、考えろと言われたら無理してこんな答えが出てくるくらいの道具。

以前自動車メーカーのエンジニアが会社辞めて車いすの会社作ったと噂で聞いた。(後から調べたらディテールが違っていたようです。)乗り物好きとして興味あるところだったが、領域的に接点を感じていなかった。知ったタイミングが丁度工業系デザイナーがカッコイイ車椅子をデザインするトレンド?に疑問を感じていた時だったから半分ナナメに見ていた。

妻が妻になる前にお父さんを車いすで介護していると聞いた。おじいちゃんが免許を返納するつもりだと聞いた。父の足腰が弱くなっていくのが見える。自分を取り巻く状況が少しずつ変わってきたことを感じる。コロナ禍、快適な自宅で過ごす時間が増えた。外出機会が相対的に減った実感から、移動への渇望が生まれた。動けないってもどかしい。

地元新聞に、近所のカーディーラーがWHILLの販売始めます。と載っていたのを見つけて、頭のなかでいろいろつながった。

快適だがつまらない日々の中で近距離の移動を豊かにする方法とはなにか。室内や歩道を走れる移動体として車椅子に健常者さえも必要だから乗る、便利だから乗るって意識になるの?

パーソナルモビリティとしてWHILL C2を試してみるチャンスである。

設定している問題意識

〇健常者が乗ることについて、発見や問題がないか
〇免許返上するおじいちゃんに向けて勧められるか
〇パーソナルモビリティと電動車椅子の境界線
 (健常者と障がい者の境界線)はあるのか

日々気づいたことを箇条書きにして残しておく。

1日目。納車
●レンタルだとお金も気持ちも軽いことを知る。
●分解できるので車載するときに部品ごとに一人で上げ下げできる。それによって構造への理解も深まる。
●家の中ではラウンジチェアになる。

2日目。はじめての外出
●自宅前の段差が気になる。自宅からでる心のハードルは意外とここ。
●普段気づかない道路のちょっとした段差が気になる→すぐ慣れる。
●走行性能テストしたくなる→一人で外出するのに不安がない性能を確認するとすぐ慣れる。
●横断歩道で緊張する。渡り切れるか?時速6キロは意外と速い。
●アーケードの商店街はスムーズで商店街が圧縮されたよう。
●トラムの軌道敷横断に緊張するも不安なしに越える。絶賛。
●パン屋さんに入ってみる。目線の高さの違いを実感。他のお客さんにジロジロみられる。店内の通路幅は確保されていて不満がない。店の外に置いて入店するのが正解か、そのまま進入するのが正解か考える。
●隣を歩く子(年長)と同じ目線でおしゃべりできる。子の気づきに同じ目線で共感できる。
●お世話しましょうか?の声掛けをもらい返答に困る。「実験です。」と答えてみるがどう答えると正解?
●知り合いに会う。「怪我でもしたんですか?!」してません。乗ってみる?と立ち上がって交代。驚かれる。

3日目 屋内で試す(飲食店想定)
●座面高を測ってみる。55㎝は普通の椅子+10㎝。モビリティである以上は段差を超えるクリアランス分高い。
●天板72㎝のテーブルと合わせるとアームがテーブルの下をくぐる。優秀。テーブル自体はカフェテーブル的な使い方。飲み物置くならOK。雑誌を置くとPCを置くと少し低い。食べるときはあと最低5㎝はほしい。テーブル自体昇降?それともお膳?
●90㎝のカウンターを合わせる。書けない。飲みにくい。頬杖ついても落ち着かない。足元にスロープしか手はなさそう。
●90㎝の通路を通る。幅ギリギリでも不安がない。まっすぐ走る安心感。90㎝の直行した角を曲がると操作が突然難しい。家具をぶつけられないようにするには家具の角を落とすか?

4日目 オープンテラスに向かう
●出かける際の気おくれ感は小さくなった。
●コーヒー飲みに行こう。と外出する目的があると出かける励みになる。
●スターバックスへ向かう。相手を尊重した接客をしてくれるであろう信頼感で店選びをしてしまう。さて、店内に入って頼めばいいが、歩けるのだから店の前に駐車?そのまま入店?どっちが正解?
●結局入口扉が全開の新店ドーナツ屋さんへ。センスのいい店内、センスのいい若い店員、さりげない車椅子への気配り。そんな雰囲気に挑戦するような態度で並ぶ客に行く手を遮られる。なるほど。これが差別か。
●スーパーへ。冷蔵庫の冷気がすべてお腹へ。寒い。棚の商品は普段気にする高さ(ゴールデンライン)の2段下。ゴールデンラインじゃなくてレインボーラインと呼ぶか。足元の陳列はいよいよ目に入らない。ここは倉庫でいいんじゃないか?
●道端で知り合いに会う。どうしたの?という一瞬の複雑な表情が見逃せない。乗ってみる?と交代するも乗り物には興味なし。趣旨説明は控えることにする。
●わざわざ道路の段差にチャレンジ。どこまでできるのかチャレンジするというのは片手落ちでヒマを持て余しているときに自分がやりがちな悪戯。ちゃんと応えてくれるWHILLは優秀。走行性能の良さが安心を約束してくれるのだと感心。歩行困難な人を介助する人の労力をほぼゼロにする。
●パーソナルモビリティが街に増えると駐車問題が発生するのだろうか?店内にモビリティが入り込むことと、店が外に開かれることとで特に飲食店の店内という概念が変わるのではないか。店内の動線は?スーパーのカゴは膝に抱えて回るのか?
●陳列方法が気になる。レインボーラインとゴールデンラインの問題があって、売り場の高さと深さに工夫が必要になりそう。操作に忙しくて店内物量の5%くらいしか見れていない印象もあり、情報量をどう担保するか問題。

5日目 雨降ったから外出やめ
近所の大型施設に運ぼうと車載しようかと思うが、乗るのと違い、運ぶときに50㎏は重い。明日にしよう。と考える。
●近所を歩くのに最適な乗り物。トラムに載せてどこへ行く?遠方にでかけるモチベーション持てない。片道1㎞超える移動はe-bikeが楽しい。いずれにしても車載は面倒。

6日目 施設館内を巡る
●バリアフリー効いてる館内は初めて乗った人にも簡単に走行可。アクティビティになりそう。ゲーム性がある。複数人で試す際はコントローラーの消毒が必要か?
●クルマ談義に近い。性能評価になりがち。実用化されていない機能・性能、車のフォルムに至るまでないものねだりしてしまう。もっとこうなればいいのに。は今あるものを少し否定的にしてしまう。MaaS化、自動運転化は最適解のひとつ。パーソナルモビリティを使用する人の側のリテラシー問題がある。
●将来自分の店にこのモビリティが侵入してくる日のために。慎重に運転しても多少家具や什器にぶつかる。様々な人が利用する未来、歩いての入店を促すか?通路幅を広げてもぶつかることにかわりはない。Rのついた什器にするか?

7日目 商品お届けしてみる
300m先へカゴ1杯分の商品を配達。この後のスケジュールがあって小走りで走りたい気持ち。時速6㎞がもどかしい。引き戸は苦手な扉。小雨に不安感はなく、今日はちょっとお出かけしたいときに街を眺めながら走るのにちょうどいい存在。
●他の人が見て羨ましい!と思わせる行動をするといい?日本一の滝見たさに徒歩で20分くらいダラダラ舗装路を上り続ける称名滝への歩道は夏場には酷。車から降ろして颯爽と走ると気持ちよいのではないだろうか?今度試してみよう。


まずは1週間手元にモビリティを置いた感想でした。乗ってみるとWHILLがもたらしてくれる価値に驚かされる。今の自分の生活に欠けているところを埋めてくれるのか、将来のモビリティのあり方はどんなものか。自分たちが今の居住地で便利に移動するにはどんな方法がベストなのか?気づけば妻と議論する機会も増えた。乗れば周りの人々の反応にも遭う。

これから先は新しいタイプのモビリティを楽しむ方法も考えてみたい。

コロナで接触機会を減らす生活をしている中で父や祖父に実際試してもらう機会はあるだろうか?

トラムに乗ってみるのも経験だ。

そういえば確実に車に乗る機会が減った。

やりたいことはまだまだたくさん。気づきはまた書き留めていきたい。

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