【詩の森】677　戦争

戦争
 
資本主義経済は
「もっともっと」で回っている
売上目標は常に前年を上回り
更なる利益を求めて企業は鎬を削る
そしてどうしたものか
経済成長には切りがないのだ
 
この国の道徳教育は
「よりよい社会」を作るためだと
指導要領に書かれている
しかしその具体像は示されてはいない
そして困ったことに
「よりよい」にも切りがない
 
人の身長はいつかは止まるのに
経済だけは成長一本槍だ
経済規模が大きくなって喜ぶのは
おそらく資本家たちだろう
配当としてその数パーセントを
確実にピンハネできるからだ
 
この国にとっての平和憲法は
「よりよい社会」への
道しるべではなかったようだ
この国の民主主義は
強行採決という度重なる暴挙によって
むしろ踏み躙られてきたのである
 
新自由主義という強欲資本主義は
やがて国家主権を脅かしていくだろう
ＴＰＰにはＩＳＤＳ・ラチェット条項という
投資家保護の仕組みが組み込まれている
それは企業が国家と対等かその上位に
立つことを意味しないだろうか
 
資本主義とはつまるところ
絶対権力を得るための手段なのかもしれない
それを民主国家が奉じることに
矛盾はないのだろうか
何故なら絶対権力は
人々を隷属させずには置かないからだ
 
資本家は権力と結びつき
やがては権力そのものになるだろう
権力は更に強大な権力を求め
争うことを止めないだろう
終に世界単一政府ができるまで
戦争は今後も仕掛けられていくだろう
 
2024.7.15