めも。銀河

波に揺られる。
声の揺らぎに、音の揺らぎに、河のせせらぎに、揺られる。
普段だったら、酔ってしまうけれど、心地よさのまま、河を下っていく。
桃太郎の桃は、きっとこんな感じ。

手をたたく、音がする。
まるで赤子を呼ぶようだ、と思う。
はいはいを覚えたての赤子が、音を頼りにすすみだす。私の中の水がはねて、惹かれるように、音の方へ、泳ぎだした。
その先には、河がある。そうした音に寄せられた、水が集まり、はねて、うねり、泳ぐ。

銀河は、河なのだ、とすごく今更ながら腑におちる。
自分の中の水が、境界線を失って、指先から溶け出す。
河を泳ぎながら、河を構成する一滴になる。
水の中にいることが、すでに誰かと手を繋ぐ、ことと同義である気がする。
河が合流するように、意識が溶けあって、潜っていると思ったら実は自分にもつながっているような感覚にくらくらして、でも嬉しくて、同じ河の中で、それぞれの宇宙を、旅している。
不確かで肥大化して、その実ひとつかもしれない宇宙が、肌から入って、また、私になり、通りすぎて、君になる。

波の音が大きくなったら、もう、海がみえて、さらに大きい宇宙にもぐって、いく。
ヘンテコ模様の鳥が、鳴いている。

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