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構造デザインの講義【トピック4:鉄・鋼による構造とデザイン】第5講:鉄の魔術師・エッフェル
エッフェルが、鉄の魔術師といわれる理由
東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です
トピック4:古代の石と木による構造
第1講:経験から科学へ
第2講:鉄鋼材料の登場と実践
第3講:鉄骨の繊細さとデザイン
第4講:長大スパンの構造とデザイン
第5講:鉄の魔術師、エッフェル(ココ)
第6講:長大スパンの構造の発展
エッフェル
エッフェルの名を聞くと、パリのエッフェル塔を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
A・ギュスターブ・エッフェルは、橋梁のエンジニアとして、安全な構造体を追求し、多くの橋を世に排出してきました。
その集大成として、パリのエッフェル塔や自由の女神の建造につながっていきます。
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エッフェル塔の豪奢な装飾表現につながる鉄骨のラチスによる繊細な表現
アーチ脚部を広げることで、風への抵抗機構を確保している
(写真:Pixabay, https://pixabay.com/ja/)
当時、鉄鋼材料の登場により、世界中で、これまでに類を見ない速度で、建造物の超スパン化や高層化が進みました。
しかし、橋については、様々な原因で落橋の報告がありました。
それは、鉄鋼材料の材料強度の過信、部材の不適切な配置と骨組の構成、疲労破壊や外力・荷重の見誤りと科学技術としての未成熟などによって招かれたと考えられています。
特に、風荷重は、現代でも取り扱いは容易ではありません。
そのような中、エッフェルは、風に対する備えと対策に、常に万全を期していました。
1867年に計画されたエッフェルによるルザー高架橋では、高さ59mの橋脚は大きく広げられ、風への抵抗機構を設けています。
また、ギャラビの高架橋やドナ・マリア・ピア橋など、橋桁やアーチは鉄骨による細い部材でトラス構造やラチス構造とし、風を通過させて応力や変形が生じないように工夫されました。
構造的な工夫は、意匠面にも配慮され、繊細な表現となり、エッフェルが鉄の魔術師と呼ばれていることを実感します。
エッフェル塔
今日では世界中から愛されているエッフェル塔は、フランス革命100周年を記念した、1889年のパリ万国博覧会のメインを飾った建造物です。
当時、より性能・品質の良い鋼材が平炉で製鋼され、鉄橋などにも使用されていましたが、エッフェル塔は錬鉄が使用されました。
風への対策として、受圧の工夫と構造・力学の工夫がみられます。
細身の鉄骨部材を組み合わせてトラスやラチスとし、風を通過させるとともに、アーチや骨組のメガ・ストラクチャーとして構造を構成しています。
エッフェル塔の脚部は大きく広げられ、地上からそびえ立つ片持ち柱の脚部の曲げに抵抗します。
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これらの構造的工夫は、装飾的であり、豪奢な意匠となって表現されています。
パリの貴婦人とも呼ばれるデザインは、構造の工夫から生まれています。
構造美とは何なのか、ということを、考えさせられます。
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自由の女神
ニューヨーク、マンハッタンのリバティ島のシンボル、自由の女神は、エッフェルによる建造物です。
女神を表現したフォルムは、骨組構造によって安定して建設されています。
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