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構造デザインの講義【トピック6:用途と構造のデザイン】第2講:大スパンの構造とデザイン(2)
ミレニアム・ブリッジ、イナコスの橋
東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です
トピック6:用途と構造のデザイン
第2講:歩道橋(大スパン)の構造とデザイン(ココ)
~ミレニアム・ブリッジ、イナコスの橋~
第3講:展望空間(高層)の構造とデザイン
第4講:展望空間(高層)の構造とデザイン
第6講:アトリウム(大空間)の構造とデザイン
ミレニアム・ブリッジ
2000年を記念したロンドンのミレニアム・プロジェクト。
ミレニアム・ブリッジは、テムズ川に架かり、ロンドン市民の足元を支える重要な歩行者専用橋として整備されました。
全長325m、幅約4mの歩道橋は、扁平な吊り橋構造としては、他に類を見ない、極めて独創的で、挑戦的な構造デザインです。
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(写真:Pixabay, https://pixabay.com/ja/)
桁の床版の横に飛び出した腕木は、支柱を結ぶケーブルに吊られています。
いわゆる、吊床式に近い構造システムです。
橋から周囲の大聖堂や街並みを眺められるよう、構造を極力低くするために考案された構造です。
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橋桁の腕木を介してケーブルで吊り、浮遊感のある構造システムである。
不安定な構造として、建築界のスキャンダルにもなったが、現在では、TMD(Tuned Mass Damper)により、安全に歩行することができる。
しかし、2002年6月の開通後、人々の歩行とともに橋は左右に大きく揺れ、閉鎖されることとなりました。
その後、横揺れに対して粘性ダンパー、上下動に対してTMD(Tuned Mass Damper)が設置され、無事に再開されることとなりました。
イナコスの橋
大分県別府市内のイナコスの橋は、構造原理を極限まで追求し、シンプルかつスレンダーでありながら、極めて洗練された構造デザインです。
イナコスの橋の設計では、
1.唯一無二の橋、
2.吊橋の原理、
3.橋を渡りながら、何かを考えたくなる、
という条件が提示されました。
イナコスの橋は、サスペン・アーチによる構造システムです。
橋に作用する曲げに対し、橋桁の床版は圧縮に抵抗し、ストラッド先端から伸びるテンション材が引張力を負担します。
圧縮を負担する床版は、姉妹都市の中国・烟台市の花崗岩が採用されました。
圧縮強度は、コンクリートの3倍あり、床版の仕上げと構造材を兼ねています。
石のブロックとして密に並べ、プレストレス・ケーブルによって緊結して、巨大な1枚岩の構造材となります。
一切の無駄を省き、構造と意匠を最大限引き出した構造システムです。
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