サンショウウオ・はじめに 〜採集の流儀〜
カメノハシです。
このnoteでは、サンショウウオの飼育日記を綴る予定です。
サンショウウオがどのような姿をしていて、何を食べて、どう成長していくのか、といったことは、これから書いていく飼育日記で自然と明らかになると思います。
しかしながら、飼育の出来事をメインで書いていくゆえ、
サンショウウオがどのような場所に生息しているか、絶滅の危険はないか、社会的にどういう扱いを受けているか、そもそも育てられるのか、といった情報は書く機会が滅多に無いと思います。
そういうわけで、この記事にはそういった飼育外のことをまとめます。
サンショウウオの飼育は難しい!
一番にお伝えしたいことですが、サンショウウオの飼育はおそらくかなりの手間がかかります。これはこれから書いていく飼育日記を追っていけばわかるかと思います。
飼育日記である以上、飼育しているサンショウウオのカワイイ姿を見せることになると思いますが、かわいいからといって誰でも飼育できるわけではありません。むしろ、飼育できる状況を作れる人は少数派でしょう。生半可な知識で挑むと全滅あるいはほとんど生き残らないはずです。
私自身、それが怖くて今まで飼うのを我慢していたところでもあります。
しかし我慢ができなくなり、意を決してワインセラーその他もろもろの飼育道具を購入しました。
国産サンショウウオはどうやって手に入れる?
国産サンショウウオは基本的に個体数が少なく、どの種類も準絶滅危惧~絶滅危惧IA類に指定されています。
軽々しく乱獲すればその場所のサンショウウオはたちまちいなくなるため、どこで、どれくらいの大きさのサンショウウオを捕まえるかといったところを慎重に考える必要があります。
ショップ・ネットオークションで卵塊や買うのもおすすめしません。そこで売られているものも自然から採集してきたものなので、結局上で述べたように間接的に乱獲に加担してしまうことになるからです。場所さえ知っていれば卵塊や幼生は簡単に採れるので、売った人はさらに金を儲けようとしてさらに乱獲を行うでしょう。
したがって野生のものを、野生の集団に影響を与えない程度に採る…というのが理想となります。
国産をあきらめて外国産サンショウウオ類を飼うのもありだと思います。私自身そうしようと考えていたこともありますが、マーブルサラマンダーやツーラインサラマンダーなんかは国産サンショウウオに雰囲気が似ていてかわいいです。
成体を採るのは良くない?
成体(成熟した大人の個体)を採るのはまったくオススメしません。
成体をとることは様々なデメリットがあります。成体は長く厳しい競争を生き残ってやっと繁殖能力を得たいわゆるエリート中のエリートです。それを持ち帰ってしまうと野生での繁殖ができなくなってしまいます。
サンショウウオの寿命は20年と非常に長いため、5歳の個体を採ってしまえばその後最大15年に渡る繁殖の機会を失ってしまうことになります。その後生まれるはずだった数百の幼生がいなくなります。その幼生たちがさらに大人になって繁殖する可能性もあったでしょう。
もし成体を持ち帰り、卵を生んだとします。
しかし、その後の幼生飼育はうまくいくでしょうか。幼生を上陸させた経験が豊富であれば高確率でうまくいくかもしれません。しかし、成体しか飼育したことがないのであれば、幼生の飼育方法がわからないままに数百の幼生を飼育することになります。
さらに言うと、採集した成体は年齢がわかりません。
3歳くらいかもしれませんし、15歳くらいかもしれません。
そのため、飼育しているけど年齢がよくわからない、死んでしまったても寿命なのか病気なのかよくわからない、といったように、サンショウウオのことがよくわからないままになってしまいます。
では、どれくらいの成長段階を採るのがオススメ?
ズバリ、初期の幼生をわずかな数採集するのがオススメです。
サンショウウオの幼生の多くは小さいうちに共食いや別の生き物に食べられて死んでしまう為、上陸まで生きられる個体はわずかです。
つまり、初期の幼生は採集せずともいずれ死ぬ可能性が高いわけです。初期の幼生採集であれば、親や卵嚢を採集するよりも野生集団への影響をかなり低めに抑えられると思います。
最近、購入したらしい卵嚢から孵化したサンショウウオが大量死した報告をインスタで見かけて悲しくなりましたが、この方法であれば少なくとも大量死することはありません。
また、幼生から飼育することで幼生の飼育ノウハウを学ぶことができます。それにより、繁殖に成功したときもまた幼生を適切に飼育することができます。
要点まとめ
・飼育は難しいので飼育環境(部屋、道具、長期間飼育する覚悟など)を入念に準備して臨もう。飼育しないのも愛
・飼育するのであれば初期幼生を数匹採集する程度にとどめ、乱獲に加担する行為(ショップでの購入、成体捕獲、大量捕獲)は控えよう
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