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5年前の自分からの手紙

自分宛に、5年前の自分から手紙が届いた。

2019年、プロ初年度は卒論の発表会が重なってJリーグの新人研修に参加できなかった。だから次年度の2020年、1つ下の学年の子たちに混じって研修を受けた。その時ロアッソ熊本はまだ J3にいて研修中肩身が狭かったことだけはネガティブな思い出として今でも忘れられない。

それ以外はすっかり忘れていたのだけど、その研修で「5年後の自分へ」という手紙を書く講義があったらしい。封筒を開けると思っていたより斜に構えず本音で書いていて驚いた。

5年後の自分へ
5年後の自分は今、何をしているでしょうか。Jリーグでまだ闘い続けているでしょうか。それとも、企業などに就職しているでしょうか。
5年前の僕はロアッソで1年目を闘い、23試合出場1ゴールと微妙な成績で、2年目こそは活躍して、まずは J2昇格を、と意気込んでいます。
新人研修の中で、村井チェアマンから「自分自身を経営する」ことがサッカープレーヤーとして、社会人として重要な要素だという話がありました。ディテールにこだわって今の生活ができているかどうかもう1度反省する機会になればと思います。
また、Jリーガー(プロサッカー選手)として闘い抜くには、「傾聴力」と「主張力」を持ち合わせることが大事だとの話もありました。何の職業についているにせよ、2つのことを意識することが大事だと思います。
J3・大卒で進んだ選手は3年以内にほとんどがいなくなるそうです。Jリーグのピッチでまだボールを蹴っていることを期待しています。

2020.1.31 @御殿場・時之栖
ふと思うけど、日本人は何かにつけて未来の自分へ手紙を送りたがる、タイムカプセル然り

「J3・大卒で進んだ選手は3年以内にほとんどがいなくなるそうです」、我ながらなんて辛辣な手紙のむすびをするんや。ひとまずは5年前の自分の期待に応えられていて安心した。2回昇格したJ2からは悉く落ちてしまってJ3だけれど。でも同じ96年生まれで辞めていった選手も、辞めざるを得なかった友人もたくさん知っているので、改めてこのJリーグにいることの貴さを感じている。

当時チェアマンだった村井さんの言葉は今でも覚えている。だけどディテールに拘って日々を過ごせているかどうかはいま一度自分に問うてみたい。どうだろうか。

プロ初年度よりは確実にサッカーに誠実に向き合えている感覚はある。プロ3年目に怪我をしてシーズンを棒に振ってそれ以降はTR前の準備も確実に増えたし、藤枝では新しい取り組みや筋トレも再開して大きな怪我も無かった。だから拘ろうとはしていたと思う。

でもサッカー界は結果が全てなので、今季またJ3のカテゴリーに所属しているということはディテールへのこだわりを結果に結びつけられていないともとれる。自己満足になっている可能性はあって反省点でもあるので改めてこのタイミングで考えさせてくれてありがとうの気持ちではある。こだわりを結果に結びつけて今年こそはJ3優勝&J2昇格を果たしたいな。頑張ろう。

主張力と傾聴力。これに関してはたくさん失敗した。今はとにかくバランスを意識している。若いときは主張はあまりせず他人の意見やアドバイスはたくさん取り入れようとしすぎてパンクした。年齢が上がり現場で慣れが出てくると口答えまがいな主張をチームメイトに押し付けていて傾聴が全くできなくなっていた。

どこかのタイミングで、人によってサッカー観やプレー感があまりにも違うこと、それは決して相容れないことに気づけた。それからは歳下であれどれだけ生意気な態度や主張、どんな理不尽的な要求であれ 2・3回ぐらいはそのまま飲み込むようにしている。それに全て従うわけではなくて自分で
考えてみるために一旦持ち帰って、自分のプレーで改善できそうなところは
次の日から反映させていく。

自分が他人のプレーに要求があるときは、ピッチ外は「どう思いますか?/どう思う?」と押し付けない、過度な主張にならないように気をつけている。もちろんピッチ上はそんな余裕がないので強く言ってしまうことがある。でもピッチ上のコミュニケーションまで気を遣えるぐらいの余裕がなければこれから先ベテランとしてこの世界には残り続けられない気もするので、ここは今後の課題としていく。

もう5年後、2030年の自分へ

2030年の自分へ
33歳になってしまった自分は今何をしていますか?Jリーグでまだ闘い続けているでしょうか?それとも続けられるクラブが無くなってサッカーを辞めていますか?
5年前の僕はSC相模原でプレーしています。シーズン前で身体がバッキバキです。でも昨季でサッカー選手を辞めざるを得なかった人たちのことを思うとそんなことも言ってられないので今季も最後まで走り抜きます。
来年のこともわからないこんな世の中で、正直2030年の自分になんて言うことはほとんど無いんだけど、ボロボロになりながらもサッカーの世界にしがみついてくれていたら僕は結構嬉しいです。
「田舎の平凡な家庭に生まれた身体能力の低い人間が、運で掴んだJリーグという舞台で頭を使って考え続けながら" 気持ち" でどこまで闘えるのか」、これが僕のミッション かつ 僕を通した大きな実験だったはずです。もし一生懸命やってダメだったならいいんです。もし今後、同じ境遇の同じような雰囲気の大学4年生から相談されたときに「君は辞めておいた方がいいよ」と一言伝えてあげてください。でも踏ん張っていてほしい、まだ戦っていてほしい。今の僕からはそれだけです。期待はしていないけど楽しみにはしています。

2025.2.3 @神奈川・相模原
もうちょい髪型とかどうにかならんかったんかな〜

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