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コミック百合姫2023年1月号

暦の上ではディセンバ〜

12月になると口ずさみたくなる。『あまちゃん』の劇中歌、という認識で合っているだろうか。放映当時は中学1年生で、朝ドラは8時からやっていたからリアルタイムで視聴したことは多くない。ドラマ自体あまり好きではなく、母に何故かと問われたので「なんかイタイから」と答えたところ、そういう悲しい人にはなって欲しくないみたいなことを言われた記憶がある。13歳の感性が僕にそう言わせたのであって、今はドラマ作品についてそういった目を向けてはいない。

それはそれとして、この世界には百合姫暦というものがある。ある、と言って良いか分からないけれど。百合姫は大体が現実のカレンダーより2ヶ月早く刊行されるため、2022年11月の中旬には2023年の1月号が読者の手に渡っていた。百合姫暦的には我々は既に年越しをしている。

さて、現実はようやく12月になったわけだが、今年からはこのコミック百合姫のレビューを毎月書いていきたい。

僕が当雑誌の購読を始めたのは2年前、2021年の号からである。出たのが2020年の11月で、実家にいた。けーしん先生のイラストと、伴名練先生の連載小説による表紙が話題となった。

今年は一色先生の装画で、けーしん先生のものがどちらかと言えばかわいい系統であるのに対し、今年度のイラストはカッコイイ系だったと思う。丁度、2020年度版のろるあ先生のものとサンドウィッチになる形で。ろるあ先生の個展に行ったことはまた別途、今年の振り返り記事で書きたい。

かっこいいですね。とある号のキャッチコピーが若干燃えてた気がするけど今日は触れません。

どうしてレビューをしようかなと思ったかなのですが、単刀直入に言うと僕は百合姫を毎月しっかり読めていないからというのがあります。

小学校時代にコロコロコミックを買っていた時も、好きだったのは『でんじゃらすじーさん』と『ケシカスくん』あとは『ドラベース』あたりで、そのほかの大部分を占める作品はたまーにパラパラ見るくらいだった。ので、もったいないから単行本買えよと親に言われてコミックス派になった経緯があり、ぶっちゃけ今年は百合姫作品に関してもその過渡期といった感じだった。

僕が今年コミック百合姫で必ず読んだのは

『ゆるゆり』と『大室家』
他に読むやつが結構シリアスな回であるときはここでひたすらニコニコします。

雨水汐先生の2作品
『欠け月』完結の報は結構ショッキングでした。

『踊り場にスカートが鳴る』
隔月掲載なので載ってる月は特に楽しみです。

それから犬井あゆ先生の『今日もひとつ屋根の下』
こちらも連載が終わりました。ひたすら口角アップ枠でもありました。

『今日はカノジョがいないから』
隔月ではないけど割と載ってたり載ってなかったりする。先生曰く遅筆だからとのこと。

ぶっちゃけこの辺りしか読んでないんですよね…。
しかも読んでるものも、本誌で追ってるからということでコミックスを買わなくなってしまった。褒められたことじゃないけど、結構フィナンシャリーにタフだったりする。雑誌と単行本の刊行タイミングが1日違いくらいで近いというのもあって、より財布の紐を固くしてしまうというか。

なので正直、23年は単行本派に戻ろうかなと考えていた。でも、もし表紙が魅力的だったらそういわけにもいかないだろうとも思った。

そして11月11日18時、デザイン発表を迎える…。

これは…!

買うしか

ないでしょ!

ですね。また異なるテイストで来ました。スケッチブックのような手触りの紙(あえて言うと黒ずみやすいという欠点はある)に、めばち先生による装画。「虹だ!」という反応が多かったけれど、自分は今年スタァライトされた人間なのでそちらを真っ先に想起。右上に短文が載っていますが、これは続き物になるのでしょうか。

はい来年も購読していきます。であるからには今年度の反省を踏まえて、しっかり掲載作品しっかり読んでいこう。その辺は本来自由なんだけど、やっぱりオール百合の雑誌は現状唯一無二の存在であって、その中で多種多様な百合を見せてくれる機会を完璧に享受しないのは勿体ないと感じた。

百合にハマったのは2020年の頭。半年後に本誌を書い始めるまでは気になる作品を単行本で読んでいました。その結果としてなんとなくパラパラで済ますものがめちゃくちゃ増えてしまっているので、今月からさあ全作レビューするぞ!と言っても無理があるという状況なんですね。

なので今回は新連載を含め、自分が今すぐに感想を述べられるものにフォーカスして書きたいと思います。その他は、来月号が出るまでに追いつきたいな!手元に全話あるのは確かなので。

前置きが長すぎますね。

それでは。

この世で一番素敵な終わり方

「人は死に折り合いをつけるため墓を建てる」の言葉から始まり、めくった先には見開きで大きな扉絵。墓穴に寄り添って眠る2人の少女と、取り囲む百合の花。なんだかすごく静謐かつ壮大そうな物語だ…となりつつ次のページではコミカルな可愛いタッチになっているのでおそらく緩急も強そうだなという最初の印象。
が1話全体の印象でもあるかな。父から受け継いだ葬儀屋「有情」を営むフオと、共に過ごすシオン。物騒な世界観で2人はどうなっていくのか。

愛したぶんだけ愛してほしいっ!

扉絵の「ヤリ捨ての件 問い詰めちゃうぞ♥」がもう面白い。そして「第〇話」の部分は作品によって色々だけど、本作は「通知」ということで、今回は「通知2」。ここもまた面白い。これから話が続くにつれて通知もどんどん多くなっていくという仕様。

つかさが吸っている銘柄はJPSでしょうか。漫画であまり見たことがない気がする。
とにかく好きになってもどうしようもない相手という感じですね…

「するか、露出」そうはならんやろ。

陰キャギャルでもイキがりたい

こちらも新連載。かしわぎつきこ先生の個展が夏の終わり頃にあって、行けなかったのが残念だな〜と思いました。

ワンセットで一蘭の2人が織り成す日常系。深く考えずにフフっと出来る枠になるでしょうか。

平良深姉妹はどっちもヤんでる

新連載。「どっちも」というところがポイントですね。思えば姉妹百合って今百合姫で連載ありませんでしたね。

奈落の花園

東京から来ためありが、友達とトラブって森の方へ迷い込んでしまい、そこで不思議な少女コリンと出会う第1話。

この、都会から田舎に来てすんげー高飛車な女の子が天然なクラスメイトとの関わりのうちに少し変わっていくゲキエモな百合をとあるアンソロで読んだので、それを少し思い出したり。コリンはそのクラスメイトとは結構違うと思いますけどね。

そして改めて1ページ目に戻るとこれは一体どういうことなんやと。一筋縄ではいかなそうな展開が続きそうですね。

嘘つき姫

小説。百合文芸小説コンテストの大賞作品とのこと。こちらを読み始めるのに時間が掛かり、結果本稿を書く頃には2月号が出てしまうということになったわけですが、いざ読み始めるとどんどん引き込まれる。ページをめくる手が止まらないという感じ。読了後には涙を抑えられませんでした。

少し話が逸れますが、今年は百合小説を過去になく沢山読みました。夏に開いた『ハーモニー』に始まり、秋は『殺伐百合アンソロジー』など。この殺伐百合という概念?ジャンル?との出会いはすごく大きな意味を自分の中にもたらした感があります。

殺伐百合ビギナーなのでアレですが、この分野の定義として、例えば「アンタなんか大っ嫌いよ!」という関係性だけでなく、作品舞台が殺伐としていることも含まれるという知見は目から鱗だったと思います。これによって殺伐百合は結構いっぱいあるんじゃないか?というか、作品を読んでて「これも殺伐百合だよなあ」と思うことが増えた。

きっとこれに救われたという人も多いんじゃないかな。特に書く側。それまでのジャンルイメージ的には「ふさわしくない」とされていたような要素があっても、殺伐百合というものが認められる限りそれは確かに百合になる。みたいな。まあ殺伐百合アンソロの鼎談に実際そんなようなことが載ってたんですが、いくつか読んでいくうちに、確かにそうだろうなあ…という実感を読み手ながら強くしたというか。百合の裾野をもっと広げていく可能性を感じています。

はい、『嘘つき姫』も舞台と主人公2人の関係性を思うと殺伐百合なんじゃないかな〜と思うのですが、今のところツイタ上で言及は見られず。

そしてこの作品は来年2月上旬に河出文庫から出版される百合小説のアンソロジーに収録されるということで、また楽しみが1つ増えましたね。

夏とレモンとオーバーレイ

全8話、この号の掲載で完結。単行本買います。「あたしがこの家をずっと夏にする」にグッときました。本作は原作が百合文芸小説コンテストということで、その形式でも読んでみたい。

ゆるゆり

生徒会回。櫻子は表情豊かで可愛いですね。

大室家

みらここすき。

女ともだちと結婚してみた

お互いにサプライズを用意する瑠璃子さんとくるみさん。サプライズって変にすれ違いのもとになったりしそうで若干こわいんですが、この2人にその心配は無用でした。

そういえば先日大学で、友達との結婚はどうか?という旨のディスカッションがありました。

僕としては、見知った相手と過ごすことは安心感があって良いだろうなあと言う感じですが、グループ内でははっきりとした結論は出ず。「友達のままならずっと友達なのに、結婚してしまったら離婚の可能性があるのが怖い」という意見もあり、もし他に好きな相手ができた日にはまた友達に戻ろうという約束をしていた本作の2人のことを思い出すなど。

小春と湊

2022年百合TLに突如現れた気鋭カップル、という感じでしたね。こはみな。ろんだる。おふたりとも漫画描けるなんてすげぇ…と思っていたら商業誌デビュー。今後も応援していきます。

コラム

雑誌を読む上での楽しみは結構ここにあると思っています。

ムロマキ先生の新連載。小学生の時に描いていたのがBLだったというコマに添えられたイラストが、なんというかすごく懐かしい組み合わせだなあと笑いました。ジャnとエレnですよね。アニメ1期の頃はギスギスケンカップルみたいな感じで人気だったのでしょうか。

お次はデザインの百合姫。こちらも今回からスタート。百合姫の表紙デザインを振り返るというもの。こういう、自分が知らなかった頃のジャンルにおける流れみたいなのを読むのすごく好きです。

最後は、こじらせろ百合妄想

みなさん『漂流団地』観ました?自分の周りではほぼ話してる人がいなかったんですが、これは百合的にも結構良かったですよ。なんせこのコラムが取り上げるくらいです。

もともと自分は観に行く予定は無かったんですが、9月の半ば、地元の友人からのLINEをきっかけに劇場へ。それは、ブルーレイを買ってきてほしいという頼みでした。

なんでも、劇場で鑑賞した人だけが購入できるそうなのですが、我々の地元では上映が無いということで。まあ最後に映画館行ったのSHIROBAKO(2020)だし、久しぶりに鑑賞というものをするかーみたいな感じで行きました。

団地で取り壊しを待つアパートに入り込んだ子供たち、そのアパートがどういうわけか漂流してしまい…というまあタイトル通りのことが起こります。自分も実家が団地だけど、一軒家だからということもあり、ステレオタイプな団地ノスタルジー!みたいなものを刺激されることは正直なかった。

内容はぶっちゃけ、1回では咀嚼しきれないことも個人的には多かったです。今回はコラムに関連した話をしますが、なんといっても突然の百合に驚き。この、全くそれを期待も予感もしていなかった場所で唐突に巡り会う百合って皆さんお好きでしょう?それなら是非見て頂きたいです。

しかしコラムではそこからフロリダの話までされていて、すごいなあこれがライターかみたいなことを思いました。そういえば文フリでナナオク先生のブースにお邪魔したので、その時に少しでもお話しすれば良かった。

おわり
めちゃくちゃ時間が掛かりました。こんな感じで毎月書いていきたいです。

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