あか・青・黄のハワイ特番について
2000年6月24日(土)の19時から20時54分までのゴールデンタイム枠で放送された『天国か!? 地獄か!? あか・青・黄 大激突バトル in ハワイ』はオールハワイロケ、当時のハロプロメンバーがほぼ参加しているというファンにとっては堪らない内容となっている。番組制作費は約1億円ほどかかったという。
はじめに
番組が放送された2000年6月はモーニング娘。が『ASAYAN』から離れ、つんくファミリー(ハロー!プロジェクト)を一般層に広くアピールしようと模索していた時期だった。モーニング娘。の人気に便乗して少しでも認知度を上げようとしていたのだろう。
参加メンバー
番組放送時に在籍していたハロー!プロジェクトのメンバーがほぼ出演しているが、カントリー娘。、三佳千夏、前田有紀は不参加である。
チームは2000年のシャッフルユニットの黄色5、青色7、あか組4をベースに振り分けられ、モーニング娘。の4期メンバーとメロン記念日を加えた番組限定のスペシャルユニットとしてスーパー黄色7、スーパー青色9、スーパーあか組7が結成された。
完全ダマシ企画としてハワイに連行
「極上のサマーホリデー」と題した今回の番組はもちろん嘘。マリンスポーツし放題、美味しいもの食べ放題、買い物し放題と書かれた架空の日程表は、現在の『有吉の夏休み』を彷彿とさせるが、そんな上手い話を一向に信じようともしないモーニング娘。のリーダー・中澤裕子は「絶対に嘘」「オフじゃあるまいし…」と当時の過密スケジュールを伺える発言を繰り返し、矢口真里も「(こんな楽なスケジュールだと)この番組ツブれるよ」と同調した。
ここで気になったのは、ハワイへ向かう飛行機でのメンバーの過ごし方。モーニング娘。がファーストクラス(ビジネスクラス?)でゆったりと過ごしているのに対し、他のメンバーは当然ながらエコノミークラスとハロプロ内で格差がはっきりと映し出されていた。モーニング娘。に加入して半年足らずでファーストクラスに乗れる運命って一体………。
ハワイ到着後も中澤は「これから起こることを考えると憂鬱」と完全に引きずったままで矢口に至っては「(ダミーの日程表を作ったことに対して)こんな遠回しのやり方汚いです!」とモーニング娘。のベテランメンバーを中心に猛抗議していたが、いざ今回の企画の趣旨が発表されると、即座に戦闘モードへと切り替わるあたりはプロだなと感心させられた。
後藤・吉澤のおバカ発言と加護の涙
番組の企画は以下の通り
ビーチ綱引きクイズ
ビーチココナッツ早取りクイズ
グッドモーニングクイズ(モー娘。寝起きクイズ)
ポリネシアンダンスバトル
ハワイアン料理バトル
ポカポカドボン対決
人間カーリング対決
初日は負けたら泥まみれになる「ビーチ綱引きクイズ」、チーム全員で2人3脚を行う「ビーチココナッツ早取りクイズ」が行われた。後者のクイズ企画では「アメリカの歴代大統領を答えよ」という出題に対して、後藤真希は「レキダイって何ですか?」と司会者に逆質問。吉澤ひとみも「ソビエト」と答えるなど珍発言を連発したスーパーあか組7だった。
初日のディナーは罰ゲームも兼ねて行われ、1位のスーパー青色9(50ポイント)と2位のスーパーあか組7(45ポイント)は豪華なディナーが用意されたことに対して最下位のスーパー黄色7(40ポイント)はパン1個だけという寂しい食事になった(もちろんバラエティ上のお約束)。安倍なつみの「ハワイのご飯楽しみにしていたのにね…。」の一言でハロプロ最年少だった加護亜依が悔し涙ぽろり。バラエティが作り出す雰囲気って本当怖い。
矢口の壊れっぷりが印象的だった2日目
フラの先生の踊りを真似して上手に踊れるまで居残りさせられる地獄の「ポリネシアンダンスバトル」は凄かった。最初こそ和やかな雰囲気で行われていたが、人数が減っていくと精神的に壊れていくメンバーが続出。中でも矢口は「いや〜だ〜」「本当に怖いよ〜」「本当にお願い〜!」と絶叫を繰り返し、平家みちよと共に残りの2人にまで絞り込まれると、極限状態にまで追い込まれ、その場に座り込んでしまうほど大号泣してしまう放送事故(?)が発生した。たかがバラエティのゲーム企画なのに、何故あそこまで追い詰められてしまったのだろう………。
接戦の末、矢口に敗れた平家は罰ゲームとしてチーム全体で数時間後に控える本場のポリネシアンダンスショーに出演することになった。安倍・保田・加護が順調に振り付けを習得していく中、慣れないダンスに苦戦する平家にスポットが当たり、1人で練習する姿が映し出された。バトルには負けてしまったものの、結果的に番組で大きく扱われてバラエティとしては正解だったと思う。
矢口VS後藤による因縁の戦いに注目
最終日は「ハワイアン料理バトル」から始まる。他のチームが使う食材を盗んだりとやりたい放題ではあったが、これまでのバトルと比べて和やかな雰囲気で行われた。この企画ではスーパー黄色7の勝利。料理のクオリティーというより、安倍と加護の愛嬌で乗り切ったという感じだった。恐るべしアイドルスマイル。
今回のハイライトである先輩・後輩関係なしの「ポカポカドボン対決」は棒状のものでポカポカ殴り合い、負けた方は海に落下するシンプルな戦いだが、矢口真里(モー娘。2期)と後藤真希(モー娘。3期)の戦いが非常に面白かった。当時の矢口は後藤に対するライバル心が強かった。矢口ら2期メンバーは地味な髪型とメイクを強いられ、「サマーナイトタウン」ではコーラスのみという脇役扱いだったのに対して、いきなり金髪で現れた後藤は「LOVEマシーン」でいきなりのセンターおよびソロパートを獲得するといった高待遇を受けていた。そういったことがあったことからシャッフルユニットが行われた際には「後藤真希が気になる」などと他の誰よりも闘争心が強かったと勝手ながらに推測している。
結果は後藤が先に棒を落としたにもかかわらず、矢口はあえなく海へと落下する。後輩の後藤に敗れて相当悔しかったのか「も〜〜嫌だ〜〜」と言いながら周りが引いてしまうほど座り込んで再び大号泣してしまった。負けん気の強さが映し出された瞬間だった。
結果 = CDセールス順
最終対決は台車の上に乗って端っこに止まれば高得点を獲得することができる「人間カーリング対決」。赤チームの後藤が楽々と高得点をゲットしたことに対し、他のチームはポイントが減点したり、端に行きすぎて海に落下したりと散々な結果に。
総合優勝はスーパーあか組7、次いでスーパー黄色7、スーパー青色9とCDのセールス順と同様の結果となった。青チームの飯田圭織は対決前に「なめんじゃねーぞ!」と一喝していたが、高得点のはるか手前のマイナスポイントに止まった際には、その絶望感で自ら海中に身を投げ、ぶっ壊れていたのが面白かった。
優勝賞金100万円を獲得したスーパーあか組7は、アラモアナ・ショッピングセンターで束の間の買い物を楽しんだ。その様子はあまり映し出されなかったが、きっと観光に来ていた日本人に囲まれて大変だったと思う。
“裏ハワイ”と呼ばれる未公開テイクも?
このハワイ特番、放送直後に未放映素材がネットの掲示板に流出した「裏ハワイ」と呼ばれるものがあり、モーニング娘。が番組の打ち上げで1人ずつ挨拶する場面において矢口が「今日、矢口はとても迷惑をおかけしました(笑)」「泣きわめき周りをいや〜なムードにさせたんじゃないかと思いますが…」と語っている。きっとスタッフが心配してしまうほどの空気になってしまったのだろう。他にも安倍が「日本ではスタジオ(での収録)ばかりだったので、景色のいいところで思いっきり笑ったり叫んだりして楽しかったです」と語ったり、後藤は「日本で自由に(変装など)何も付けないで遊べるところに連れて行ってください!」などと過密スケジュールを伺わさせる発言をしていて興味深かった。自由時間はほとんどなかったと思うが、帽子やサングラスといった変装をすることなく束の間の時間を楽しめたのだろう。
あとがき
全体を通して思ったのが矢口真里のバラエティ対応のすごさ。これに尽きる。
モーニング娘。以外のメンバーはほとんど目立ってはいなかったが、唯一のハイライトを挙げるとするならば、ココナッツ娘。のダニエルが優勝賞金の100万円にがっついて「100万円!100万円!100万円!」と連呼したことだろうか。デビュー当時からパワフルだった彼女は残念ながら放送から1年後に卒業してしまったが、元気に過ごしているのだろうか。
また再びハロー!プロジェクトの勢力が強くなったら、このような企画を実現してほしいと思う。
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