世界と私と占いと
私にとって占いっていうのは、辛い時の支えであり趣味である。占われるのも好きだし、占うのも好きだ。
しかし占いの使い方っていうのは、何も言われた通りにする事だけじゃないって事を、占いとあまり関わってこなかった人に伝えたい。
数年前、正社員で働いていた頃私はひたすら死にたかった。
正確には消えたかった。生まれたことを無しにしたかった。死ぬのは怖いし、死んだら大切に育ててくれた家族が悲しむ。会社も騒ぐだろうし、大好きな上司達に申し訳なくて死ぬ事は出来なかった。
そんな時、友人が占いに行って、かなり当てられたという話を聞いた。
当日楽しい事をしなければすぐにでも死にたくなる精神状態だった私は、次の日にその占い師の元へと向かった。
占ってもらったのは性格診断、今の恋人とのその後などだった気がする。
ドMに見せかけたドSタイプと言われ、なるほどなと納得できた。恋人とのその後はあまりいいものではなかったが、当時不仲だった為それも納得、楽しい時間を過ごせた。
そしてその1週間後、また同じ占い師の元へ向かい、どうしても仕事が辞めたくて、辞めてもいいのかを尋ねた。
私はその占い師には仕事を辞めるべき時期ではないと言われた。他の占い師のもところでも同様だ。あと2ヶ月頑張れと口を揃えて言われた。
占いに行った事のない人は、占いとはその人の言うことをはいはいと聞くだけの仕事だと思うかも知れない。
しかし私自身が占いを志してから分かったのだが、(まともな)占い師は占い結果と異なる事は言う事ができないのだ。
しかし毎日泣きながら出勤し、泣きながら帰っていた私の精神は占い師に言われた通り2ヶ月待つ事なんて出来ず、2週間後には退職届を提出していた。
これだけ見ると、結局辞めたなら占いって当たらないじゃんと思うかも知れない。
その通り、占いは当たらない事もある。というか、あくまでも占いは運気の流れを見るものであって未来予知ではないのだ。だから当然外れる事もある。
私は占いは流れるプールの分岐点の予測にしか過ぎないと考えている。何もしなければ、そっちの方面に行く流れだよーという事を見る仕事だ。
そこから流れに逆らって別の未来に行く事は可能だし、それができないのであれば占いなんてものは意味がないのだ。
そして、この話には続きがある。
私が会社を辞めて2ヶ月後、なんと職場の大改革が起こり、私の最も苦手とする業務がアウトソーシングにより対応しなくて済むようになったと聞いた。なるほど、2ヶ月待てとはこの事だったのかとその時とても驚き、そして占いというものを信じようと本気で思ったきっかけになった。
しかしながら私は仕事を辞めた事を後悔はしていない。確かに2ヶ月後、仕事内容は私の求めるものになったのかもしれない。だが、私はその苦手だったら仕事以外も好きな業務が何一つとしてなかった。
上に書いた以外にも数カ所の占いに行ったが、どこも私にその業種(営業だった)に適性があると頷いてくれる人はおらず、みな一様に苦笑いをするのみだったのも印象深い。
結果的に、占いは全て当たっていたと言える。
2ヶ月後には仕事は楽になった、しかし占いの結果では適職は営業ではなかったのだ。
だから私は仕事を辞めた。そこに後悔はひとつもない。
もちろん占いが外れる事もままある。一番変な占い結果を紹介しよう。
無職になった私はすぐに占い師の元へ向かった。そこで言われた適職は「ホストなど女性を接客する仕事」
うーーーーーーん?????ニッチ過ぎる………
というかそれ外見見て決めただろの一言。
(私は宝塚みたいな雰囲気があるねと一年に数回言われる外見をしている。)
そもそも私は酒が飲めない。ほろよい一缶で吐く程にアセトアルデヒド分解酵素を持っていない体質だ。そんな人間が酒を飲む仕事には就けないだろう。コーラでシャンパンタワーをする男装ホストって、それはもはや文化祭の仮装か何かだ。
念の為男装ホストの求人を一応見てみたが、やはり私は酒を飲みたくないし、誰かに何かをねだる事が苦手な私にホストが向いているとは思えず応募もしなかった。
これが一番外れている鑑定結果だった気がする。他にも沢山外れた鑑定結果があったかもしれないが、外れた鑑定結果というのはなかなか記憶に残らないものだ。
この適職がホストの話は面白い結果だったので、記憶に残らない鑑定結果よりは有意義なものだったとも言える気はする。
当たった話で驚いたのは、就職時期の話だ。
ホストになれば?と言われた後、私は知人とまた別の占い師の元へ向かった。
そこで就職時期を聞くと、6月が一番強く縁があって、そこを逃すと12月に若干縁があるかなぁという結果だった。
貯金もなく無職をしていた私は、12月まで無職は流石に厳しいので5月には決めたい…と思った。しかし、私は貯金もせず突発的に辞めた為、5月就職は金銭面的にほぼ不可能で、せめて4月には働き始めたかった。(当時は1月)
しかしせっかく会社を辞めたのだからしばらく働きたくはない。その葛藤から、ギリギリの3月後半に仕事探しを始めた。
そして現在のバイト先に就くのだが、採用されたのは4月の後半で、5月のシフトを提出させられた。
「6月に縁があるっていう占い当たらなかったな、という事は縁が弱いから即辞めちゃったりするのだろうか…」
などと若干不安に思っていたところ、なんと向こうの都合上5月からは働かせられなくなってしまったので6月から勤務してくれ、5月のシフト分の給料は払うと言われたのだ。
ひぇえええぇぇぇ!!!!!!となった。
そんなレアケースなかなかないだろと…。これこそ6月から働き始める運命の流れだったのだなと心底驚き、そしてこの職場が合っている場所なんだとも思った。
そして私は今もアルバイトとしてだがそこで働いており、ストレスフリーな生活を送っている。
このように、占いは当たる時は驚く程当たるし、当たらない時は引くほど当たらない。
だからこそ占いは楽しいのだ。当たらなければなーんだで済ませられ、当たれば最高の感動が待つ。
純粋に娯楽の一つとして、占いはおすすめである。