今日もあの人を
恋をした。今日もその人に会いに行く。
話したことはない、が、目が合うことはある。いつも微笑んでいる。
私は耳を研ぎ澄ます。あの人から音が聞こえるわけではない。聞こえるのは雑踏である。雑音だ。ふたりだけの音になればいいのに、うるさい。
あの人はひとりだ。いつもひとりだ。紅茶を飲んでいる。必要というわけではない。なくても困らないものを、当たり前に飲んでいる。私は、のどが渇いている。
あの人には華やかさがない。それでも満足しているように見える。綺麗だ。私はそんなあなたが欲しくてたまらない。
瞳に、自分の顔が映った。濁っている。そんな瞳も、美しいと思う。見惚れている。誰がだろう?あの人が、わたしに見惚れている。あの人は、満たされていると私は知っている。あの人が、わたしに見惚れている。私はきっと、満たされている。
今日もあの人のことを考えている。
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