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Pflueger Microcastのドラグ修理とか

 ちょっと前からワカサギ釣りにスピンキャストリールを使っている。これは、Pflueger (フルーガー)のMicrocast (マイクロキャスト)という機種で、まあ持っている人もちょっとあんまりいないだろうな、と思う。

 特に性能的に優れているわけでもないのだが気に入って使っている。小さくてズッシリした感触がなんとも「イイモノ」感があり、持った時にころん、としていてなんとなく使ってみたくなるヤツなのだ。金属感のあるボディでハンドルノブが木製なのも趣があり、4 lbが70 yd (60 mくらい)巻けるというのもあって、ワカサギぐらいの肩肘張らない釣りに非常にマッチしている。手袋をしていても扱いやすいというのもあるだろう。ギア比は4.1と多少遅いが用途的にまったく問題ない。

 ドラグも弱いところからそれなりに効くので、3 lbナイロンを巻いて使っていた。ところがどういうわけか、ある日突然ドラグが全く効かなくなった。まったくスプールが滑らず、常にフルロック状態。ワカサギしかないない釣り場であればこれでも問題ないのだけれど、大体はウグイだのコイだのちょっと大きな外道もかかってくるので、ドラグ機能が無いのはやはり不安である。

 というわけでバラして修理することにした。実際やってみるといくつか難航した部分もあったので、今回は備忘録的にその記録を書いてみる。


 まず、分解図がなかったのでネットで検索してみた。ところがほとんどヒットしない。本家Pfluegerのサイトからも無くなっている(後継はPresidentという機種のようだ)。

 困っていたのだが、ついにeReplacementというサイトで分解図を見つけた。というわけでこれを見ながら分解・組み立てすればよさそうである。パーツ数はかなり少ないので楽そうだ。


 まずカバー(33番)を外す。単純に反時計回りに回せば取れる。

次に、ピックアップピンのついたカップ(30番)を外す。これはハンドルを固定したまま反時計回りに回せば取れる。少し固い。

カップが取れたら、スプールを抑えているEリング(29番)を取り外す。Eリングは隙間にマイナスドライバを入れてこじって外す。

Eリングが取れたらその下にある金属製のスペーサー(26番)とテフロン製っぽいスペーサー(25番)が取れる。金属の方は分解図だとわからないが、突起があって軸の切りかけにおさまるようになっている。

次にスプール(28番)を取る。ここが最も難航した部分である。正常な状態だとそこまで苦も無く引っこ抜くだけ。しかし、今回はこのスプールと本体(1番)がガッチリと嵌まり込んでいてなかなか抜けない。

そこで、スプールを左右に少しずつ少しずつ揺すっていく。そうするとなんとか引っこ抜くことが出来た。本体の軸部分とスプールの穴のクリアランスがほとんど無くなってしまって、軸に対してスプールが回らなくなっていたのだ。どうやらこれがドラグがロックした主な原因のようである。おそらく経年劣化で本体の軸部分が太ってきたのだろう。本体はまるごと樹脂でできているので、長年の使用に伴って水を吸って多少膨らんでしまったわけだ。軸が樹脂ではなく金属だったら多少マシだったのだろうが、まあいわゆる普及品の安物なので仕方ない。

 ということでここのクリアランスを広げる必要がある。とはいえ本体の樹脂の材質自体があんまり良くない感じなので、削っていくと割れそうで怖い(というか既にヒビも入っている・・・)。そこで本体側ではなくスプールの穴を削ることにした。スプールはわりとガッチリしたアルミ合金のようなので多少削っても問題なかろうもん。

スプールの内壁を削る

ワリバシにスポンジやすり(240番)を挟んで、気が済むまでひたすら研磨していく。時折やすりを替えてYoutubeで動画でも見つつ小一時間ほど削ると、だいぶんクリアランスが出来た。

で、一旦スプールを洗い、再度組みなおしてみる。これでかなり回るようになったものの、まだドラグが強すぎる感じがある。そこでスプールの下をもう少し分解していく。

 スプールの下には上と同じように金属(27番)とテフロンっぽいスペーサー(26番)がある。この下にばねスペーサー(25番)が入っている。このばねでスプールを押し付けているわけだ。ということはこのばねの張力をキャンセルすればドラグが弱くなると考えられる。あんまり力技は嫌なんだけど、他にドラグが強くなっている理由もわからないので、ほとんど平らになるくらいまでペンチで曲げてしまう。


ばねスペーサー
これくらいまで平らにした

 これで再度組みなおす。せっかくなのでシマノのドラグ用グリス(ACE-0)を各所に塗り込んでおく。これが良いのかは知らない。置いておくと成分が分離するのと容器から漏れてくる以外は、まあ普通に使えるグリスである。

漏れてくるので容器が黄ばんできて汚い

 で、結果から言うと3 lbラインでもそこそもまともに使える程度のドラグ調整幅が得られた。めでたしめでたし。

 作りは雑で簡素だけど、そのかわり簡単に修理できるっていうのは利点と考えてもいいかもしれない。こんなもんでいいんだよ、って割り切っちゃえば十分に楽しめるものだ。

 今年もよろしく。


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