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1本満足のジレンマ

1本満足バーを2本食べた。
そう。1本で満足できるバーを2本も食べてしまったのだ。

僕は普段、極力お昼ごはんを食べないようにしている。食べ過ぎると眠くなってしまう気がするからだ。あくまで気がするだけだ。
別に食べないからといって眠くならない訳でも無いし、結局午後には睡魔に襲われてしまう。いわばジンクスのようなものなのだろう。

でも、何か入れなければお腹は減るし、減りすぎるとそれはしんどい。
そこでお菓子のような栄養調整食品を摂るようにしている。1日中テストの日なんかは、板チョコ1枚の時もあった。

最近のマイブームは1本満足バーだ。お腹に溜まるし味も美味しい。変に健康感丸出しの味ではなく、チョコレートバーを食べている感覚で摂食できるのが好きだ。しかも1本だけで満足できる。なんてコスパのいい食品なんだろうと思っていた。

だが、今日の昼あることに気づく。

いつも通り1本満足バーを食べる。
普段なら食べ終わったあたりで、程よい満腹感と少しの優越感に包み込まれる。この優越感は空腹に打ち勝ち、お弁当の誘惑を払い最小限の摂食で済んだという達成感なのかもしれない。

いつも食べ終わる頃にはこの感情に包まれ、余韻に浸りながら一服する。これがきっと満足という感情なのだ。

だが今日は食べ終わっても、その感覚が一向にやってこなかった。

口に残るのは、ただチョコレート菓子を食べた後のほんのりとした甘さだけだ。
まだ空腹を感じる。
これでは意味が無いと、急いで追加の1本を購入し食べた。
そこでやっと空腹は紛れた。お腹に溜まった感覚も得た。

だが、何かが足りない。
ここでやっとその感情の正体に気がつく。

「満足をしていない」

そう、1本満足バーを2本も食べたにも関わらず満足をしてないのだ。

でも何故か。
いつも通りお弁当の誘惑に打ち勝ち、達成感はあるはずだ。
そして空腹も満たされている。

何かが足りないのか。
いや、いつもより多めに摂っている。2本だ。
足りないわけでなない。

では、いつもより1本多かったこと自体が原因なのか。

何故1本多く摂ることが不満足になってしまうのか。

そもそも食べた物はなんだ。

1本満足バーである。

1本満足バーは1本で満腹感を得ることができるお菓子だ。

2本食べたら、より満足?

ここが今回の見落としであった。

1本満足バーが1本満足バーたる所以は
1本で満足できることにある。

1本=満足(効用Max)なのだ。

そして2本で満足するバーは、2本満足バーであり
それは1本満足バーではない。

今回食べたのは間違いなく1本満足バーだ。
2本満足バーではない。

この気持ちを理解してもらうため

わかりやすい効用関数のグラフで説明しよう。

仮に1本満足バーの効用(満足度)の最大値は10とする。
それはx=1本の時である。
(ちなみに2本満足バーの効用の最大は2本の時で10、
1本と4本の時が5である)図参照

すなわち、1本で満足できないからといって
2本、3本食べていくと満足度は逓減していく。

1本満足バーを2本食べて満足できないのは、いわば当たり前で
1本満足バー2本の効用は0.5となる。

今日の満足度の最大値は、1本を食べた時点である。

これは自分が満足していること(効用=Max)に気づかず
1本満足バーの効用関数を見誤り、財を無駄に消費してしまった
自分が悪いのだ。

1本満足バーという食べ物は欲張ってはいけない。
最初に手を出したその1本目こそが、最大の満足なのだ。

∴明日はカロリーメイトにしよう。

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