山奥で無茶ぶりしたら家族があったけぇ話
私はよく林間学校の様な施設にボランティアで参加している。
この日は家族で1泊2日のキャンプをするという取り組みの全体的なサポートをした。
前日からの雨であいにくの天気だったが、小雨に変わりキャンプ場でテントを張る事ができた。
しかしこの湿度と気温が凄まじい。Tシャツが肌に引っ付いて不快感が常にある。参加者全員イラついてたに違いない。
夕方を過ぎると気温が下がり、だいぶマシになる。
その時間からはレクリエーションがある。
私の担当は、山に登ってきた家族に
【親は子供に、子供は親にそれぞれの良いところ、好きなところを言い合ってもらう】
という家族の絆、愛を深めてもらう狙いの内容だ。
聞いてみるとそれが本当にあったけぇ
「いつも美味しいご飯を作ってくれる」
「テストで悪い点をとってもそんなに怒らない」
「なんか買ってくれる」
「頑張り屋さん」
「明るくて優しい」
「ポジティブでおもしろい」
モジモジしながらも好きなところを話す子供も居れば、素直になれずふざけてしまう子供もいた。
言い終えた後に抱き合う家族もいた。
両親も普段子供から聞くことの無いであろう言葉をもらって笑顔が溢れていた。
あったけぇ
もうすぐ社会人の私が親の好きなところを向かい合って話し合う事は恐らく無いだろう。
それでもいつか手紙にでも書いて伝える事ができたら。
私が親の立場ならそれが嬉しい。なんとなくだが分かる。
もし私に将来家族ができた時、この日山奥で出会えた温かさが少しでもあればきっと幸せだ。