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制作日記:白紙からの制作


休めない悩み


白紙が不安。
何も「制作」をしていない時間が不安。
詩画集掲載後の空白にソワソワしてしまう。

詩画集「胡蝶の夢」の制作・執筆・編集に数ヶ月を費やし大変でしたが充実していたのかもしれません。
制作する、何かを作る過程が好きなので何かを終えるのが怖い時があります。制作する過程は目標だけしか見ないので、ほかの事を考えなくていいから終わると不安になるかもしれませんね。
「一ヶ月ぐらい休んでみよう」
「半月休んでみよう」
「一週間休んでみよう」
制作を休んだのは思えば半日、一日もたなかったですかね。

精神的に絵が描けなくなった事がある。
身体を壊して描く事を諦めた日々がある。
生活的に絵を辞めようと思った事がある。

そんな経験があるので、止まる事を焦る自分がいる事も理解できます。
なので、最近は詩画集制作中に思いついてメモした事や、集中する為に頭の片隅に置いていたイメージや言葉を引っ張り出して形にできるか試しています。
共通して出てきたワードは「表情」
それをどう表現するか試行錯誤しています。

模写

「表情」について抱えていた悩み

絵を描いていれば「表情」を描く事は当たり前の事のように思います。
思うのに、描いてこなかった。
「構造が難しい」
「印象を植え付けてしまう」
いろいろ理由を上げればきりがないですが、私が描かなかった理由は
「あえて見ないように生活してきた」
それが描かない理由だったのではと最近思います。

多感な頃に少し心が荒んでいた時期があります。
「笑顔」が嫌い。
感情表現が面倒、楽しい訳でもないの「笑っている人」が苦手。
いつしかその思いが顔に出たのか【能面】と言われるようになりました。

そして、目つきも怖かったらしく【狼】とも言われたことがあります。
遠視と乱視、目が疲れやすかった事もあります。
他人が怖いので【観察癖】が行き過ぎて睨んでいたかもしれません。
表情がなく、目つきが悪い。
「何を考えているか分からない」
そのせいで苦労したことがあります。
睨んでいないのに、睨まれたと責められたことがきっかけで、今度は
「表情を見る事」を辞めました。
相対する人を見ずにその後ろの風景を見る。
話している時は【口】を見る。
社会に出て接客などをしている内に技術的に「笑顔」になり「人と接する」ことを学んで生活は出来ても【他人を見る事】はしてこなかったように思います。
そんな年月が長かったので【表面】より【内面】、【造形】より【心理】で制作してきたのであまり描こうとは思わなかったかもしれませんね。

模写:富永愛さん、途中


転機:思えば些細なきっかけ

さて、そんな人がなんで「表情」に興味を持ったのか?
興味を持った自分自身が不思議でならず「なにか、きっかけがあったのかな?」と最近を思い出してみたのです。

「明るくなったな」

油絵を知った美術部の部員が久しぶりに集まる機会があった。
コロナ過や介護があったので5年以上ぶりか・・開口一番に聞いた言葉だ。
〈制作〉の楽しさを教えてくれたその恩師は、少し私が心配だったらしい。

「他人を寄せ付けようとしなかった」
何かに警戒しているような目つきで、表情も乏しい。
描く絵も思い出すと怖かったかもしれない。
あまり笑ったところを見たことが無かったと話してくれた。
「人が変わったようだ」
何度も嬉しそうに言われるので、少し照れてしまった。

「明るくなった」という言葉を素直に受け入れるようになったのは、笑わなかった期間が長く感情が足りなかったと気付いた事が出来たからだと思う。

大きなきっかけは昨年末に色彩心理を受講した事だろうか?

「自分を変えたい」という覚悟のもと、色彩心理で自身を掘り下げる中でいつもの悪い癖がでてしまった。
〈人の顔を見ないで話をする〉
十何年も生活してきた癖は抜けずに、やはり対する者の表情や反応が怖く自然と人以外のモノを見るか視線を合わせないようにしてしまう。
オンライン授業なのに・・
これは失礼だと講師に謝罪をしたことがある。
【他人の顔を見ない】聞いてくれる人を見ないのは失礼。
オンラインならなおさらである。
簡潔に理由を話し謝罪をしたところ「大丈夫ですよ」と言ってもらった。
「そんなに気にならないですよ」
そう言ってくれる人もいるのだ。

思いつくのは些細な事。
しかし、その些細な事が無かったら「表情を描こう」など思わなかったかもしれない。
言葉と言うのは「呪い」のもなるし「祝い」のもなる。
安易な一言で数十年縛られることもあれば、何十年も悩んでいた事が一瞬で解決することもある。
そんな二つの出来事を経験したことがあるので、「表情」というものを受け入れるようになったのかもしれない。
この些細なきっかけを大事にこれから改めて制作していきたいと思います。


とにかく、一枚が描きたい

一つの制作を終え、新たに白紙から行動するのには〈きっかけ〉が必要。
「胡蝶の夢」でも一枚の作品が描きあがってエンジンがかかった。
現在はその〈きっかけ〉を描けるように考えている。

個展の在廊時に「君の描き方は画家とは違うね」

といわれて落ち込んだこともありましたが、思い返せば漫画や小説や脚本の投稿や勉強をしていたので〈文系〉かもしれない。
でも、絵を描く事が好きだし〈描く〉テーマがきまったら起承転結を考えるのであながち間違ってはいない気も最近します。

文章では「一行目」が一番肝で大事なものですが、なにかを描いて綴る前にとにかく一枚描きたい。
文章での「一行目」のような「一枚」を今、制作しています。

「無」にみえそうな構図。
唇の形で何かを表せないか?と思って制作
とりあえず好きな色で「描いてみよう」と浮かんだ表情で始めて見た

制作日記


追記


〈エッセイ〉を始めて見ました。
言葉にできない事を〈絵〉で描き、制作しながら解読した〈言葉〉をエッセイと作品で構成しました。

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卯月螢 /心の風景を描く「心象画」
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