カンパネルラ~鐘~「四季巡麗」によせて
はじめに
「あれっ・・出てこない」
描く前のラフを描こうと白い紙の前に座って一時間。
何も出てこない。
どうしても出てこない。
今年のはじめ、描きたいイメージのストックが消えてしまったのです。
「自分の絵は日記のようなもの」
それは過去の記憶や思い出や辛かったこと悲しかったことを描く事で気持ちを収めてきました。
コロナ渦と同時に親の介護、他人に託し、突然の別れ・・・
めまぐるしい不安の濁流に襲われても、制作を続けることで乗り越えてこれたのに・・・突然何も描けなくなってしまった。
描けるようになる為に先ずは「今の自分を知ろう」と決心。
過去絵で詩画集を作ったり、雑記を書き、対話で知ろうとセッションを受けたり・・今の自分を知る為にやれることは思いつく限り実行しました。
【自分を振り替える】事は【自分の過去の失敗を受け入れる】事
波風を立てないように固く踏みしめた場所から、何か強い力が溢れる感覚。
今の自分を作っている価値観に違和感を感じる、怖さに近い「戸惑い」
寝静まった「冬」から命が芽生える「春」
信じてきた価値観の変化。
悲しみだけではない。
トラウマだけではない。
今まで思ったことのない「変化」という何か、戸惑いとともに綴った季節の作品です。
プロローグ
季節は巡る
想いも巡る
「変化」という強風
出会いと別れを繰り返し
心に育ててきた「自分」という苗木が変化する
変わることは怖い
変わる為の痛みが嫌い
しかし、痛みの中に懐かしい思い出がある
この人生の中
心に四季は巡る
過ぎ去った昔を偲び
別れたあの人を乞い慕う
後悔の傷に足を取られ、トラウマに心は凍え
しかし、生きねばならぬのは人の理
その別れの季節を見送り
新しい「変化」と共に新しい季節を受け入れよう
限りある人生の中
変わらぬものなどないのだから
冬に思う
寒空に息を吐く
この寒さはいつまで続くかと
この凍える日々は何時まで続くかと
何かを乞い、ひび割れていく自分の手を見て
この渇きの意味を問うた
寒さの終わりを問うことは、その終わりを知っているという事
暖かい春の日々を、知っているという事だ
何時から、忘れたのだろう
何時から、見えなくなったのだろう
その暖かさを感じなくなったのは、何時だろう
寒空に問うてみる
居ないその人に問うてみる
乾いた記憶のその奥に、暖かい体温を思い出す
無くしてはじめて気づくその愚かさに
どうしようもない寂しさと
滲むような後悔を
冬に思う
季節を偲ぶ
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