見出し画像

【雑感】微かな違和感、川口に限った話でもないような。

埼玉県川口市に在留するトルコの少数民族クルド人らが働く解体工事の資材置き場をめぐり、近隣住民などからの苦情や要望が過去2年間で70件超にのぼることが、市のまとめでわかった。最近では業務に伴う苦情だけでなく、資材置き場で集団で大音量の音楽を流す迷惑行為で警察が出動する騒ぎもあり、クルド人の一人は「日本人の理解が足りない」と話したという。市は迷惑行為を含めて規制する新条例の制定も視野に検討を始めた。

出典:「<独自>川口クルド100人超、資材置き場で大音量騒ぎ警察出動「日本人の理解足りない」」
(『産経新聞』2024年8月18日)

少し前にネット上で「写真が捏造ではないか」と話題になっていた記事ですが、写真自体は昨年のモノで5月頃の記事などでも使いまわして使用されているようですね。

こちらの写真は読者提供との事ですから、産経さんも「独自」と銘打つのであれば現場で新しく過積載車両の裏付け写真くらい用意すればよいのに、なんて思いながらも、、

こちらの記事が提起している問題の本質はそんな表層ではなく、先ずは「近隣住民などからの苦情や要望が過去2年間で70件超にのぼることが、市のまとめでわかった」ではないかな、とも。

なお産経さん、昨年の6月に川口市議会で出された「意見書」も扱っていたりと、それなりの期間に渡り、本問題を追いかけ続けています。

埼玉県川口市議会が昨年6月、クルド人問題を念頭に可決した「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」を求める意見書に賛成し、れいわ新選組を離党した元市議、小山千帆氏(49)が立憲民主党の次期衆院選愛知15区の公認候補に内定した。ところが、支持者らから「立憲の党理念と違う」などの異論が相次ぎ、朝日新聞が同党の泉健太代表の記者会見で擁立の経緯などについて質問。同紙の報道がさらに波紋を広げている。

出典:「クルド人意見書賛成、れいわ離党の元川口女性市議、立民擁立で炎上 朝日記者の質問が波紋」
(『産経新聞』2024年8月7日)

なおその「意見書」に賛成された小山さん、今はれいわからは離れて、立憲共産、、もとい立憲民主党の公認を受けられているようですが、アサヒが叩いているようですね、なにか都合の悪い事でもあるのだろうか。

小山氏は昨年4月の統一地方選で、れいわ公認で初当選。意見書が可決された際は、立民・れいわの共同会派が反対する中で起立採決に立ち上がって賛成した。小山氏は当時、関係者に「私の自宅の前でも毎日、暴走車両が通り抜けて、近所から苦情が殺到している。到底見過ごすことはできなかった」と話していた。

出典:「クルド人意見書賛成、れいわ離党の元川口女性市議、立民擁立で炎上 朝日記者の質問が波紋」
(『産経新聞』2024年8月7日)

個人的には、れいわ、立民とのご所属の流れを見るに大枠での政治信条は合わない方と思いますが、それでも「近所から苦情が殺到している。到底見過ごすことはできなかった」との姿勢は地場で活動されている市議さんとして、党派問わずに評価されるべきではないかと思いますが、さて。

「いまは日本人の理解が足りないけど、10年後はわれわれを理解する日がくる」

出典:「<独自>川口クルド100人超、資材置き場で大音量騒ぎ警察出動「日本人の理解足りない」」
(『産経新聞』2024年8月18日)

実際に、問題となっているクルド人がここまでの事を話していたのかどうかは複数視座からの裏付けを待ちたいところですが、どちらかというと個人的には、、

市や関係者によると、この地区では十数年前、イラン人がテニスコート約22面分の広さとなる約5700平方メートルの土地を地主から取得。クルド人らが代表を務める解体業者の11社に分割して貸し出し、周辺にもクルド人らが経営する資材置き場が集まってきたという。

出典:「<独自>川口クルド100人超、資材置き場で大音量騒ぎ警察出動「日本人の理解足りない」」
(『産経新聞』2024年8月18日)

ここで「イラン」とのフレーズが出てくるのかと、気になりました(”イラク”ではないですよ、念のため)。

出入国在留管理庁によると、正規の在留者は約1300人、難民認定申請中で入管施設への収容を一時的に解かれた不法滞在状態の仮放免者は、直近では約700人という。

クルド人の来日初期から支援を続ける松沢秀延さん(76)によると、川口にクルド人が住み始めたきっかけは、先に来日していたイラン人の存在だったという。

「80年代半ばから、市内の造園会社の下請けで不法滞在のイラン人がたくさん働いており、その中にイラン国籍のクルド人が混じっていた。90年代に入り、彼らを頼ってトルコからもクルド人が来日するようになった

民主党政権時代の2010(平成22)年には、難民申請から6カ月たった申請者に対し一律に就労できる運用を始めた。目的は申請中の自活のためだったが、「申請すれば働ける」と、目的と手段が逆転。10年に全体で約1200人だった申請はピークの17年には約16倍の約2万件に急増した。

出典:「川口のクルド人はなぜ増えたか きっかけはイラン人、民主党政権で難民申請激増」
(『産経新聞』2024年5月2日)

クルド人、問題となっているトルコ国籍、勘違い?されているイラク国籍の他に、大元としてはイラン国籍に端を発している、そしてそれを2010年頃にブーストさせたのが悪夢の民主党政権、、ため息が出てきます。

トルコのクルド人地域を現地調査した元国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表で、東洋英和女学院大の滝沢三郎名誉教授(76)は「トルコ国内でクルド人に対する政策的な差別は全くない」と指摘し、さらにこう続けた。

「クルド人の中でもイスラム教の宗派によっては一部に社会的経済的な差別は残っているようだが、条約難民の定義である『迫害を受ける恐れ』があるとまでは言えないのではないか」

出典:「川口のクルド人はなぜ増えたか きっかけはイラン人、民主党政権で難民申請激増」
(『産経新聞』2024年5月2日)

まぁ、トルコ国籍のクルド人、普通に行き来してますしねぇ、、大使館で選挙への投票もしているようですし。少なくとも不法滞在されている約700名の方は本国にまずお帰りいただくのが筋ではないかと。

埼玉県川口市で昨年7月、クルド人約100人が市立病院周辺に殺到した騒動のきっかけとなった殺人未遂事件で逮捕されたクルド人男性(25)が強制送還後、今年5月に再入国し、いったん川口市内に滞在した後、再び強制送還されていたことが19日分かった。2度目の入国の際は入管施設で「帰りたくない」と叫んで暴れるなどし、送還時にはクルド人仲間ら約20人が集まる騒ぎもあったという。

出典:「<独自>川口クルド人病院騒動の逮捕者が再入国「帰りたくない」日本滞在も再び強制送還」
(『産経新聞』2024年6月19日)

さて、一口に「クルド人」といっても、、

・イラク:約 585~780 万人(総人口の15~20%)
・トルコ:約 1500万人(総人口の19%)
・シリア:約 126~180 万人(総人口の 7~10%)
・イラン:約 560~820 万人(総人口の 7~10%)

参考:「(クルド問題についての緊急レポート)特集にあたって(今井宏平)」
(「アジア経済研究所(IDE-JETRO)」2017年10月)

と、大枠では4か国にまたがって分布しており、また「民族」としての独立国家樹立の傾向も見てとれるとのことです。

イラク、イラン、シリア、トルコに跨って暮らすクルド人は国を持たない民族として知られている。そのため、クルド国家の建設が悲願とされてきた。4カ国のクルド人居住地域からなる国家が理想とされるが、イデオロギー、宗派、言語が異なり、さらに非常に細かく分類できてしまうクルド人をまとめるのはほぼ不可能である。そうなると、各国のクルド人が個別に国を作るというアプローチの方が現実的である。

出典:「(クルド問題についての緊急レポート)特集にあたって(今井宏平)」
(「アジア経済研究所(IDE-JETRO)」2017年10月)

少し前(7年前)のレポートですが、単純な「川口のトルコ系クルド人」として焦点だけを置いておくのでは、ややリスクヘッジが不足していくとの懸念もあるのかな、と個人的には。

概して、クルド人が直面するいかなるリスクも、その性質又は繰り返しを踏まえ、たとえ累積的に解釈しても、迫害及び/又は重大な危害という現実のリスクに相当するほどではない。別段に実証する義務は当人に課せられる。

過去には様々な差別的慣行が歴史的に、一部のクルド人が公の場でクルド語を話したり職場で昇進する能力に何らかの影響を及ぼしていたが、現政権では閣僚の多くがクルド系の子孫であり、トルコにはかつて少なくとも1人、部分的にクルド系子孫の大統領がいた。政府はいくつかのクルド人集会の開催を禁じ、他にも制限的措置を採用してきた。しかし、概して、クルド人は私生活と市民生活の両方に普通に参加できる

出典:「国別政策及び情報ノート トルコ:クルド人 第4.0版 2023年10月」
(「法務省HP」2023年10月12日))

トルコとしては「トルコ系クルド人」をトルコ国民として扱い、統合させていて、それはほぼ成されているとも見てとれますが、では「日本にいるトルコ系クルド人」の「実体」がどうなのか。

個人的には各国の「クルド人」たちの振る舞いとあわせて、「川口のトルコ系クルド人」の振る舞いを眺めておきたいところですが、、『想像の共同体』も久々に引っ張り出してみるかな。

そういった意味では「民族としてのクルド人」の視座から各国(イラン・イラク・シリア・トルコ)での振る舞いと実状を分析されている有識者の論考を探してみたいところですが、、とりあえず上記レポートを書かれた「今井宏平」さんの著作をいくつか手に取ってみようかな、、

あとは(地方・国会問わず)真っ当な議員さんであればSNS上で「左右の全体主義者(団体)」相手にレスバはしないだろう、時間の無駄なので、、との補助線も引いておこうかな、なんて、こちらのポストを眺めながら。


いいなと思ったら応援しよう!