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【読書メモ】『D-妖殺行』(著:菊地秀行)

先日(2/22)、オーディオコメンタリー的な配信がなされていた2000年(日本公開:2001年)の映画『バンパイアハンターD』、原作となったのは『D-妖殺行』、今でも続いている「吸血鬼ハンターD」シリーズの3作目となります(シリーズ累計で50冊以上出ているようです)。

こちらの発行は1985年とのことですが、私自身は中学生位の時に図書館で借りて読み始め、シリーズ30冊目あたりまでは追いかけていた覚えがあります。今は離脱してしまいましたが「薔薇姫」辺りまではまだ手元に残っていたりも。

シリーズを通して、"貴族"と呼ばれる吸血鬼と人との戦いが描かれていて、舞台は遥か未来の地球、何やらよくわからないSF要素もテンコ盛りなサイバーパンクな設定となっています、西暦1万年とかだったような?

主人公は吸血鬼と人との混血児となる"D"、いわゆる「ダンピール」と呼ばれる存在で「吸血鬼狩り」を生業としています。そして、その"D"の名が示すところの神祖(≠真祖)でかつ父でもある(らしい)"ドラキュラ"を斃すための旅をしている、という背景は今でも健在なのでしょうか。

さて、3作目となる本作『D-妖殺行』での"D"は、比較的初期の頃だからか設定も固まりきっておらず、思ったよりも若者らしい逡巡も垣間見せてくれたりも、、大枠ではストイックってのは変わらないのですが。

なお本作の主役はもう一組いて、それが貴族・マイエルリンクと人間の少女(映画ではシャーロットと名付けられていますが、小説では無名)のカップル、彼らがいわゆる「ロミジュリ」系な物語を展開していきます。

どこか夜を感じさせる静寂とその耽美、深い闇、退廃に囲まれるかのような筆致に包まれて、決して相容れぬから存在同士であるがゆえに、どちらからも石もて追われ、さらなる彼方への安寧の地を求めてのロードムービー、といった感じ。

そしてそれを追うのが、少女を取り戻すように依頼された"D"と、同様に別口で依頼されたマーカス兄妹、相対するはマイエルリンクと彼に雇われた異形の護衛達。今でいうライトノベルに分類されることもあってか、外連味たっぷりな設定がテンコ盛りとなっていますが、物語としてはいたってシンプルに進んでいきます。

原作はロミジュリ準拠な展開で終幕となりますが、映画版はラスボスも含めて少し異なった展開となっています。本当のラストでの「Dの微笑」はどちらも変わりませんが、時代が一気に進んでいるのは映画だからこそ、でしょうか。

2001年公開(日本)の映画も観にいったような覚えも(うっすら)ありますが、冒頭の夜に舞うマントの印象深さとかはやはり、大スクリーンでこその醍醐味!なんて思い出してみたりも、、あれから25年が過ぎているのか、とホント"時"が過ぎるのが年々早まってるなぁ、、なんて思いながら。

そしてまさか今の時代にリバイバルがあるとは思わなかったので、タイミングがあいそうならば行ってみたいのですが、、一週間限定ですか、こればかりは祈るしかないですかね。

で、そのリマスター版の冒頭11分が公開されていたので久々に、、やはりこの雰囲気はいいですね~、やはり大画面で観てみたい。ついでにBlu-rayにはフィルム特典が付くとのことで、ついポチっとも、、上手くのせられています。。

ちなみにこちらのアーカイブ配信は3/14からとの事で、リバイバル上映期間後になるようです。確かに一度は大画面で堪能してからの方がよいかなぁ、と思いますので、ご興味を持たれた方は是非劇場へ。

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