ブルーフラッグで海を守る。NPO法人湘南ビジョン研究所
近年は世界中で持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて各企業や団体も動いています。
金銭的利潤に加えて、社会性・資源・人・環境といったあらゆる方面での利潤を追求することが、持続可能な世の中を次世代へ繋げられると言っても過言ではありません。
今回紹介するコミュニティが活動とされている軸は、SDGs達成の項目にもある「海の豊かさを守ろう」に関係の深い、「海の保全」がテーマです。
神奈川県藤沢市で「海を守り、未来をつくる。」をスローガンに活動をしている「NPO法人湘南ビジョン研究所」を紹介させていただきます。
『ブルーフラッグ』という言葉を初めて知る方も多いと思いますので、湘南ビジョン研究所さんの活動を知りながら、ブルーフラッグのことや海の保全について興味を持っていただけると嬉しいです。
33項目の基準すべてを達成=ブルーフラッグ
ブルーフラッグというのは、国際機関が定めた基準を設けた認証制度で、基準を満たした海水浴場にはフラッグを掲げることができるものです。
デンマークに本部があり、国際NGO FEE(国際環境教育基金)による世界で最も歴史ある国際認証制度になり、2021年度時点で世界47ヶ国、4,671ヶ所のビーチ・マリーナがブルーフラッグの認証を受けています。
認証基準33項目すべての基準をクリアする必要があります。大枠で4つに分けると以下になります。
1、水質
2、バリアフリー
3、安心・安全
4、環境教育
湘南ビジョン研究所さんでは、ビーチクリーン・バリアフリー化への取り組み・海水浴場でライフセーバーの適正な配置・「湘南VISION大学」で海の環境教育などを取り組まれています。
日本がブルーフラッグを取得している海水浴場は現在5箇所です。
・福井県高浜町「若狭和田海水浴場」
・兵庫県神戸市「須磨海水浴場」
・千葉県山武市「本須賀海水浴場」
・神奈川県鎌倉市「由比ガ浜海水浴場」
・神奈川県藤沢市「片瀬西浜・鵠沼海水浴場」
NPO初のブルーフラッグ取得宣言へ
湘南ビジョン研究所さんは、湘南海岸からアジア初のブルーフラッグ取得を目指し、NPOでは全国で初めて宣言されました。
後に鎌倉市長がブルーフラッグの趣旨に賛同され、2016年4月に神奈川県鎌倉市「由比ガ浜海水浴場」が認証され、2021年4月には「片瀬西浜・鵠沼海水浴場」でのブルーフラッグ取得を取得されました。民間団体による取得は国内初となります。
湘南の未来を次世代へ受け継ぎたい思いから発足
湘南ビジョン研究所さんの理事長、片山 清宏さんです。(写真左側:手に持たれているのが、ブルーフラッグの認証マークです。)
神奈川藤沢市のご出身で、大学時代は年間で300日はサーフィンをやられ、海を通して仲間もたくさん増えました。
かけがえのないものを与えてくれた湘南の海を守り、次世代の人たちへ引き継いでいきたい。
この思いを胸に、2011年5月に地元で10人程の仲間たちで始めたビーチクリーン活動から、湘南ビジョン研究所さんが発足しました。2013年12月にNPO法人として設立されています。
「みんなで湘南の未来を考えよう!」
湘南ビジョン研究所さんが掲げている思いです。
湘南地域は海や緑に囲まれ、多彩な産業や研究所や教育機関もあり、人口も約100万人が住まれています。住む環境が充実していて移住先には候補として挙がっても申し分ないです。
ですが湘南の海や河川には問題点もありました。
河川や海岸の環境問題
自然災害対策
地域経済の停滞
少子高齢化
地域コミュニティの低下
財政問題
そこで湘南ビジョンさんが立ち上がった2011年5月に「湘南都市構想2022」を策定し、湘南地域の10年後の理想のまちづくりビジョンを掲げました。
目指す将来像は、
「人と人がつながり、地域がつながり、そして湘南全体がつながることによって、湘南の魅力を最大限に活かしたまちづくりが実現され、住民が元気で幸せに暮らすことができる光輝く地域」
詳細は、湘南ビジョン研究所さんのホームページで見れます。
湘南VISION大学で海の教育
湘南ビジョン研究所さんは、「海」の環境教育に特化した学びの提供もされています。
学びの場の名称は「湘南VISION大学」
「海をもっと楽しもう!」をテーマに、海を体感するアクティビティやワークショップを通して、海の生き物や環境・歴史・海の楽しみ方を学んでもらいます。
ジョギングしながらゴミ拾いする「プロキング駅伝」・ウニ殻を使ったランプ作りを通して海の環境問題の学び・海釣り体験・海辺の緊急法・海洋プラスチック問題の学びなど、数多くのカリキュラムが用意されています。
(湘南VISION大学のパンフレット)
開催している内容は、随時Facebookにアップされています。
社会活動や海の保全に興味がある人へ
筆者も湘南ビジョン研究所さんを知るまで、ブルーフラッグの言葉も知らなかったです。
理事長の片山さんとオンラインで取材してブルーフラッグや湘南ビジョン研究所さんの活動内容をお教えいただき、海の保全は大事なものであり、保全状況が日本の自然や文化をどれだけ大事にしているかの度合いを反映しているものだと気づきました。
海の保全は街の元気を象徴し、未来の人達へ継がれ続けてくためには欠かせないことですよね。学びの機会をいただけた理事長の片山さんに大変感謝です。
世界でESGやSDGsが謳われている昨今、経済を回しつつ環境保全や社会保全の取り組みを行うことで付加価値が付いてくる時代となっています。
社会活動や海の保全に興味がある・実際に参加してみたい
そう思っている方がいたら、日本でブルーフラッグ取得へ先駆された湘南ビジョン研究所さんの活動に触れてみてはどうでしょうか。
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