空飛ぶおふとん②(毒舌あざらし視点)

※独自設定注意
その日から僕達は空飛ぶおふとんで遊ぶようになった。お手伝いさんにカートでゴルフ場まで連れて行ってもらい、ツンちゃんと2匹でお空を飛んだ。

だけど、だんだん飽きてきた。
ゴルフ場はずっと芝生と池と森であんまり面白くない。僕はもっと色んな建物とか見てみたいのに…。

パパには遠くまで行くなって言ったけど…。
色んな所行ってみたいよ。

「ねぇねぇツンちゃん、あのお布団でお家の外にも遊びに行こうよ。」
「え?だめだよお兄ちゃん。パパが遠いところダメって言ってたよ!」
ツンちゃんが首を振る。
「ぼくお空ぶーんするだけで楽しいもん、お外はなんか怖いからいやだよ」
ツンちゃんは少し怖がりさんな所がある。まだちっちゃいからかな?
「えーお外行かないんだー海月遊園地行こうと思ったのになー。お兄ちゃんだけ行ってくるわー。」
ちょっと意地悪を言ってみた。そしたら…
「海月遊園地に行けるの?ぼくも行きたいよ!つれてって!おふとんしゃんで行こうよ!」
あっさり賛成した。こいつチョロ過ぎないか?

次の日。
僕はこっそり空飛ぶお布団を持ってきた。
お手伝いさんの後をこっそりつけてお布団の置き場所が分かった。
屋根裏部屋に巻かれて置かれてた。
ちょっと高い所にいたけど頑丈そうな箱の上に乗ったら取れた。

ツンちゃんと一緒にお手伝いさんに見つからないようにこっそり階段をおり、家の外に出た。
裏庭に回り、布団を広げる。裏庭は狭いけど布団を余裕で広げる程度のスペースはある。
早速ツンちゃんと一緒に乗って命令した。
「「お布団さん、飛んで!」」
お布団がふわ〜と浮き上がる。
「おふとんしゃん、くらげゆうえんちいきたい!」
ツンちゃんが言うとお布団はもっと高くなり家の敷地を出て、海月遊園地の方向に動き出した。

いつも保育園に行く時に見てる風景も上から見ると違う風景に見える。
車や歩いてるあざらし達がちっちゃくて点々みたいだった。

僕はある事を思いついた。
「お布団さん、たくさんたくさん上がってね!」
すると布団はもっと高く上がった。みんながもっとちっちゃく見える。
「お兄ちゃん、怖いよぉ」
ツンちゃんがしがみつくけどお構い無しでもっともっと高く上がるように言った。
するとお布団がいきなり物凄い速さで上へ上へと登りだした。
「お布団さん!もういいよこれ以上高くならないでね!怖いよ!」
「いやぁぁぁぁ!おふとんしゃんこわいいいいい!こわいよおおおおおお!」
ツンちゃんが号泣してる。

…そして、ついに宇宙に行ってしまった…
「おにい…ちゃ…くるし…い…」
ツンちゃんが真っ青な顔でパタパタしてる。
僕も息ができなくて苦しい。
宇宙には空気がないとパパから聞いたことがある。このまま死んじゃうのかな…ヤダヤダ死にたくないよ…もっと色んなことしたい…

その時いきなりUFOが現れてマジックハンドで僕達を掴んで中に引きずり込まれた…

「キュピピピピピピ、キュピ?」
「キュキュキュキュキュン!」
「キュピキュピキュピン、キュピピン!」

僕達はイカのような形をした3匹の宇宙人に囲まれてた。訳の分からない言葉を話してる。

そのうちの1匹がお布団をクルクルと巻いて何か言ってる。ツンちゃんがかえちてね?って近寄ると首を横に振って手でバッテンをした。
もう1匹が箱を2つ取り出して僕とツンちゃんに渡した。開ける仕草をしてきたのでおそらく開けて中を見ろと言いたいのかな?
中を開けたらラジコンカーが入ってた。
ツンちゃんの方はおまるみたいな形の乗り物が入ってた。

「ツンちゃん、多分この人達はお布団さんが欲しいんだと思う。代わりのおもちゃをあげるからよこせって言ってるんだと思うよ。」
そう言おうと思ったらツンちゃんは既にその乗り物に乗ってUFOの中で乗り回してた。宇宙人は拍手したり笑顔で何かを言っている。

宇宙人が地球儀を取り出し日本を指しながら何か言っている。多分僕達が住んでいる所を聞いているのかな?
うんうんとうなづいたらまたなんか話していた。

UFOが動いて地球に向かっていった。
そのまま僕達が住んでいるところに近づいていく。
UFOが近所の海月公園に着地して僕達はそこで下ろされた。
ツンちゃんは乗り物が気に入ったのかブーンブーンしながらUFOを降りた。
宇宙人がツンちゃんに手を振っている。
僕も手を振ったら振り返してくれた。
僕達が降りたのを見届けてからUFOは空へ飛び立っていった。

家に帰るとママが「あんた達どこで遊んでたの?」と聞いてきた。

時計を見ると門限の5時からだいぶ時間が経っていた。
僕とツンちゃんは顔を見合わせた。
本当の事を話した方がいいかもしれないと思って今までのお話をした。
宇宙にまで行っちゃったこと…お布団さんを宇宙人にあげた代わりにおもちゃを貰ったこと…

だけどママが怪訝な顔をした。
「空飛ぶお布団?何それ?」

僕は「空飛ぶお布団をパパが海外のお土産で買ってくれてたじゃん!僕達は宇宙人にお布団をあげた代わりにこのラジコンカーとおまるみたいな乗り物貰ったの!」と言った。

ママがますます険しい顔になる。
「あんた達変な夢でも見てたの??元々パパがあんた達に買ってきてくれたのはそのラジコンカーとおまるの乗り物じゃないの!」

僕とツンちゃんは混乱した。
「でもママ、ぼくたちおふとんしゃんで遊ぶためにゴルフ場に行ったよ?」
とツンちゃんが言った。

ママは「ゴルフ場に行ったのは毒舌あざらしがラジコンカーで遊びたいって言ってたからじゃない、ツンちゃんもおまるの乗り物で運転したいって言ってたの覚えてないの?」と言った。

ツンちゃんが「で、でもぼく宇宙にいったときいきできなくてくるしかったよ?ぼくたちほんとうに宇宙行ったよ?」と言った。

するとママが「それはお昼寝でもしてた時にお兄ちゃんに押しつぶされてたから夢でうなされたんでしょ。あんた達いっつもくっついて寝てるけどたまにツンちゃんが下敷きになってるからママが助けてあげてるんだよ。」と苦笑いしながら言った。

パパはまた海外出張しに行ったから電話をかけて聞いてみたけど「空飛ぶお布団?なんだそりゃ。パパはラジコンカーと乗り物を渡したぞ。空飛ぶ布団はお前たちに買ってあげたくてもそんなの売られてないよ、ハハハ」と笑われた。

僕とツンちゃんはあれはなんだったんだろうね、と話した。ツンちゃんはずっと首をかしげていた。

もしかしたら僕達は夢でも見てたのかな?

僕とツンちゃんはそんな事を話しながら眠りについた。

次の日

保育園に行ったらゲスくまが話しかけてきた。
「毒あざ、おはよう!すごいニュースがあるんだけどさ、海月公園にミステリーサークルって言うUFOが着陸した跡があったんだって!
宇宙人ってやっぱり本当にいるんだね!」

~完~

後書き
毒舌あざらしのママがちょっと冷たいキャラになってしまった…
本当は優しいママです。怒ったら怖くなるだけです。

#毒舌あざらし #ツンデレあざらし #二次創作小説 #Jellyfish




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