ツンデレあざらしを飼ってみた①(人間視点)
※独自設定注意
※本小説ではあざらしがペットとして飼えるようになった世界を描いています。かなり人間にとって都合のいい生態になっているので苦手な方は閲覧を控えることを推奨します。
最近、飼いあざらしがブームらしい。
元々あざらしはペットにするのは向いていない生き物だったが、品種改良の結果、日本のような四季がある土地でも生きていけるようなあざらしが生まれたらしい。
飼いあざらしの特徴は、体長が10センチ前後で生態も人間に近いのでかなり飼いやすいとの事だ。
近所にもこの間あざらし専門のペットショップができたので仕事帰りに寄ることにした。
ペットショップの中に入るとミルクのような甘い匂いが漂ってきた。人間の赤ちゃんのような甘いミルクの匂いだ。
「いらっしゃいませ、当店が取り扱っております飼いあざらしは、みんな体臭がキツくないのですよ。ですから、マンションでも飼いあざらしなら大丈夫だという物件が増えているのですよ。」
店員が話しかけてきた。
私の住んでいるマンションはどうだったっけと思った。後で大家さんに確認してみるか。
店員に案内され、もっと奥に進む。構造は普通のペットショップと変わりは無かった。
ガラス張りの小さな部屋にあざらしが一匹ずつ入れられてる。
あざらし達は寝ていたり、ピョンピョン跳ねて遊んだり、餌を食べたりとしている。
「こちらのあざらしは毒舌あざらしという品種です。ちょっぴり毒舌な性格ですが人懐っこいので人気があります。」
毒舌あざらしは目がクリクリしてて犬みたいな顔をしていた。体長は10センチ前後らしい。これ以上大きくなることは無いとの事だった。
毒舌あざらしはこっちを見るとこう言った。
「お姉さん!ぷく〜」
ほっぺたを膨らませて変顔をしている。
思わず吹き出してしまった。
店員曰くこの子は毒舌あざらしの中でもひょうきんな部類らしい。
「こっちはツンデレあざらしという品種です。こちらも最近女性の方に人気なんですよ。」
ツンデレあざらしは毒舌あざらしよりつぶらな目をしていた。毒舌あざらしと違ってヒゲは生えてないらしい。顔文字の(´・ω・`)を連想させるような顔だ。体長は毒舌あざらしより小さい子が多いらしい。
「敬語あざらしという品種と毒舌あざらしという品種の間にできた種類なんですよ。」
「ツンデレあざらしは毒舌あざらしよりまったりしてて甘えん坊なんです。結構寂しがり屋さんなので目が合ったら甘えてきますよ。」
実際、ツンデレあざらしが入っているガラス張りのケースの前に行くと、ツンデレあざらしが抱っこ抱っこと言いながら手足をパタパタしてきた。
あざらしを飼うべきか迷ってきた。最初は興味本位で寄っただけだった。でも実際見るとどの子も手のひらサイズで愛らしい。
特にこの、ツンデレあざらしはショボーン(´・ω・`)みたいで愛くるしい。
社会人になり、実家を出て見知らぬ土地で住むことになった私はかなり心細かった。
彼氏ともだいぶ前に別れている。
癒される存在が欲しかった。
値段を見ると30万円でローンも組めるらしい。
定期的な検診や予防接種、その他あざらしを飼うための初期費用も含まれている。
ローンで少しずつ払えるなら今の貯金でも大丈夫だ。
「すいません、大家さんに飼えるか確認したいのでちょっといいですか?」
「はい、大丈夫ですよ。」
一旦ペットショップの外に出てスマホを取り出し、大家さんにかける。
確認したところ飼いあざらしならOKとの事だった。
「最近、飼いあざらしは大丈夫なのかって電話が多いのよ。みんな可愛いのが好きなのね〜。私も最近ツンデレあざらしって子を飼ったんだけどもう可愛くて可愛くて!」
「すいません、大家さんに確認したら大丈夫だったのでこのツンデレあざらしがいいです!」
もちろん、私を見た時抱っこ抱っこと甘えてきた子だ。
名前はツンデレあざらしから取ってツンちゃんにしよう。
こうして私とツンデレあざらしとの生活が始まった。