【MTG:Pauper】『ダスクモーン:戦慄の館』 コモンカードレビュー
こんにちは、角とうふ(@TunoTofu)です。
ついに新弾!というよりはもう来たの!?の感覚が強い販売ペースの速さですが、日本の紙パウパープレイヤー的には来週末(2024/9/28)に迫った第8期パウパー神決定戦が新弾発売日の翌日という方が怖いですかね。
というわけで、今回もパウパー目線で新カードを見ていきます。パウパー神に出場する方はぜひともこの記事を参考に、環境上位の赤系デッキがさらなる強化を受けたので、そこへのガードを上げていただきたいと思います。
【カード評価について】
私の評価記事では以下の3段階で評価していきたいと思います。
【A】:即採用圏内。
今後よく見ることになりそうなカードについてはこの評価。
【B】:試したい・試されそうなカードについてはこの評価。
このカード評価記事では多くのカードがここにくる予定です。
【C】:惜しい!もう一声あれば採用圏内に入りそうだと思うが、結局使われなさそうだと感じたカードにはこの評価。
『白』
ジャンプスケア
普通に使っても十分な性能のコンバットトリックだが、ことパウパーではカード・タイプを参照する《Embiggen》との相性は破格。現在は緑単or青緑の方が主流の”感染”デッキだが、このカードと《Embiggen》を《敗残のレオニン》につぎ込むと、10/9飛行感染の一撃必殺コンボができるようになる。
直近のブルームバロウのコンバットトリックの《食べかす争い》も合わせ、白緑感染がパウパー界にメジャーデビューするのもそう遠くないかもしれない。
なお、《Embiggen》との一撃必殺コンボといえば《遺物の咆哮》もあるが、あちらは重ね引きしたときに意味がないのに対して、こちらは+修正のため、連打がそのまま勝ちに直結するのが嬉しい。
画面の中への幽閉
《忘却の輪》がすでに全く使われていないパウパーだが、アーティファクトランドも追放できるし、護法②もついてくるとなれば……いや、それでもか?
マナコストが重いのが何と言っても壁になるが、《ケンクのアーティフィサー》が本当に苦手な白系デッキは5枚目の《未達への旅》として1枚くらいなら入れられるかもしれない。
鍛えられた随伴者
低パワー/タフネスの多いパウパーにおいて、膠着しがちな《コーの空漁師》対面などを突破できるのは面白いかもしれない。見た目は現代人っぽいがしっかりと兵士なので、《バラリシュの旗騎士》などの恩恵も受けられる。
『青』
うつろう亡霊
3/1/3飛行警戒の決定力の無さは気になるが、"現実の酸コントロール"とはコンセプトがあっているような気がして気になる一枚。
もちろんそんなアーキタイプは現代パウパーでは消失したし、これが出たからといって復活するわけもないのでこの評価。
声も出せない
表向きにできないのは100試合中1回でも有効であれば大したものだが、除去としての性能がパウパーではユニーク。青のこの手の能力といえば《証人保護》を思い出すが、低パワー/タフネスが主戦場のパウパーでは1/1も立派な壁で、特に《月回路のハッカー》と相打ちになるのが何より許せなかった。
なお、青単フェアリーなどでは忍者の攻撃を通すことが大切なので、1回ブロックされるのも煩わしいので、結局タップ除去が今後も使われる気配を感じる。どちらかといえば、統率者を封印し続けることに需要のあるPDHには引っ張りだこの可能性が高いか。
食肉用冷凍室 / 冠水した食堂
まず初めに断っておきたいが、筆者は麻痺カウンターが好きだ。
リミテッドで相手をハメ殺したり、突然のダメージレースの逆転が狙えてコンバットを支配する感じがとても好みである。
その上で評価するが、除去兼ドローソースになるこのカードは、増殖により麻痺カウンターを増やして大量のドローソースが必要な”ポイズンストーム"にてワンチャンを感じさせてくれる。まあ筆者はポイズンストームを使ったことはないのだが……。
『黒』
ひび割れた頭蓋骨
2マナだったら《コーの空漁師》で使い回して最強のハンデスだったが、3マナだと泡を吹くレベルで弱く感じるカード。おまけで除去しやすくなるデメリット付与の効果があるが、相手がクリーチャーを出していない場合は単に使いにくいハンデスとなるので使い勝手は最悪。
たまたまどっちも刺さったときだけ最高だが、基本的にはハンデスは取り回しの良いものを選ぶのが得策だろう。
幽体の分捕り屋
護法でのディスカード要求は、相手の除去を1:2交換にするのでかなり強いが、土地サイクリングの1マナと2マナには雲泥の差がある。リアニメイトした際にはこちらも追加で1枚以上のカードを使用していることを考えると、殴り性能的にも《カザド=ドゥームのトロール》とは比べものにならないだろう。
抜歯への恐怖
よく似た効果の《脚光の悪鬼》は"黒単サクリファイス"での採用実績があり、赤マナからは出せなくなったが黒単ならゲイン分だけ単純に上位互換と言える。持っていて損のないカード。
最後の復讐
よくある生け贄コストの除去にエンチャントも使えるようになったことで、《望み無き悪夢》のおまけ能力が最大限に発揮される。また、ちゃっかり追放になっていたので、ソーサリー除去が弱いにしてもワンチャンはあるかもしれない。
無害なネズミ
戦慄予示は個人的にはかなり注目のキーワード能力。上2枚から好きな方なので、狙ったカードにもアクセスしやすく、墓地も肥えるのでデッキビルドに精が出る。
特に黒では《死せざる邪悪》のような不死系インスタントと相性が良く、うっかり《カザド=ドゥームのトロール》が蘇ったときには相手の度肝をぬけるだろう。是非とも使ってみたい一枚。
『赤』
ガラス工場 / 粉々の作業場
クリーチャーに4点火力は1マナの《炎の斬りつけ》と、毎ターン1点バーンは2マナの《貫かれた心臓の呪い》と同価値なので、いくら何でもマナがかかりすぎている。
《税血の刃》と比較する声もあるが、あちらはソーサリー布告の標準である2マナと、毎ターン1点ドレインは起爆能力こそないものの4マナの《不正相続》とほぼ同等のマナコストになっていることにご留意いただきたい。
どちらのモードからでも使えるのが利点ではあるが、長いレンジは赤の得意とするところではないのが一番相性が悪い点だろう。
機械仕掛けの打楽器奏者
環境王者の"カルドーサレッド"に新戦力。
1/1/1速攻自体は大したことないが、除去を食らってもリソース回復ができるのが何とも嫌らしい。次の自分のターンが終わるまで使えるので、低コストで固まった構成のカルレでは衝動ドローしたカードが使えないことはほぼないだろう。
さっそくプロキシで対戦してみた感想としては除去には滅法強いが、ふんわりキャッチされ続けると1/1/1という殴り性能の低さが響くので、《カルドーサの再誕》以外にもサクリファイス手段があると嬉しいかも。
ちなみに、《ゴブリンの手投げ弾》はこのカードには使えないので《命知らず》を試してみましたが、ソーサリーの動きは少しもっさりするので、相手ターンから一気に仕掛けられる《間に合わせの棍棒》の方が奇襲性と衝動ドローとの相性が良く、オススメです。
目標の強奪
あまりにも"ブラッドバーン"好きが作ったオリジナルカードにしか見えない。2ターン目に《こそこそサクサク》をコストに打つのは今季の黄金ムーブに間違いなしだろう。デッキの構成がほとんど変わらずに、純粋にデッキ内の総火力が8点増えているのはバーン系デッキでは異例の強化といえる。
《街道筋の強奪》で土地をサクる動きは強かったかもしれないが、そもそもルーティングに火力がついているのであればゲームレンジは自ずと短いものとなり、土地をサクるゲームにはなりにくくなる算段なので、その選択肢が減るデメリットはそこまで気にしなくてよいだろう。
裏の裏まで
このカードの効力を最大限に発揮するなら、トランプルでコンバットダメージを叩きつけつつ、相打ちで戦慄予示を行いたいが、相性の良いカードが特に思いつかないの残念。カードパワーは低くないが、入るデッキが特にないか。
食べるほうの手
昂揚さえ達成してしまえば、2マナでは強すぎるアタッカー性能を持つこのカード。《炎の印章》や《大焼炉》など、カード・タイプを散らしてもある程度パワーのあるカードを採用できるパウパーだが、真価を発揮させるにはデッキビルダーの登場を待ちたい。
……もしかすると、《黄金犬》や《盗み癖》などの多様なカード・タイプを使う"スティッキー・フィンガーズ"と相性が良いかも?
『緑』
怪物的出現
《凶暴な一振り》や《強行突破》など優秀なおまけ能力つきのビームや格闘呪文がある中で、手札からビームが飛ぶとはいえソーサリーでおまけなしは悲しい。"緑単ランプ"が序盤の格闘除去が打てないとき用としての採用をするならわからなくもないが、"緑単ストンピィ"のような、ビーム呪文の競合相手の多いところには採用できる枠はないか。
戦慄予示
緑のETBで墓地を肥やせる2/2/2と考えると、意外かもしれないがパウパーに対抗馬は存在しない。変身能力や前述した不死系インスタントとのコンボを考えるとデッキ構築をするのが楽しみになる。
特に《滑り頭》や《瓦礫帯の異端者》などの攻める墓地活用や、2マナで5/4という、とんでもないマナレシオを持つ《湿地帯のグロフ》などと相性が良いか。
朽ちゆくジム / ウェイトルーム
3マナの土地加速は標準性能。それにおまけが付いているのだから使い勝手は悪くないだろう。また、続唱系で部屋カードが捲れたときは合算マナが参照されるので、このカードの場合は9マナ扱いとなり、不必要な土地加速をヒットさせないのも嬉しい。
個人的には《沼》を伸ばす構成の"黒緑ランプ"が好みでたまに使っているのだが、戦慄予示で+1/+1カウンターの乗った《墓所のネズミ》が捲れたときには宇宙が見えるかもしれない。
肉潜り虫
2/2/2接死は"緑単ストンピィ"が切望していたアタッカー枠。ダスクモーンで個人的に一番収録が嬉しいカードです。
"緑単ストンピィ"はかねてから2/2を高速展開して殴るデッキでしたが、2/3以上のブロッカーが出るとたちまちコンバットが苦しくなっており、特に1マナ5/5の《トレイリアの恐怖》を展開する"テラー"デッキが苦手でしたが、接死付与を合わせてガンガン殴れる状況が増えるのは嬉しいです。
また、接死は攻撃クリーチャー以外にも与えることができ、いわゆる"ティム能力"と相性が良いです。さて、緑系デッキのティムといってピンと来る読者の皆さんは"緑単ストンピィ"識者のようですね。
はい、《ヴィリジアンの長弓》です。何でもティム化する装備品はこのカードと非常に相性が良く、もちろん本人に装備しても良いですし、《イラクサの歩哨》と合わせれば、緑の呪文の分だけクリーチャーを倒せます。
このカードだけで"緑単ストンピィ"が環境に戻れるかは怪しさもありますが、試してみたい性能はしています。
『無』
交霊灯
一見《祖先の刃》を想起させる装備品だが、あちらは白マナを要求する代わりにトークンに装備がついてくる。ETB持ちならと出し入れすることも頭に浮かぶが、パウパーでそれをするなら白の《コーの空漁師》を使いそうなため、結局《祖先の刃》に回帰してしまうので、使い先が難しく採用されることはなさそうか。
『土地』
剃刀罠の山峡 / 通称"ジェイソンランド"
パウパー界に待望のアンタップイン2色土地!!!
ちゃんと10種全部のカラーリングがあるのも素晴らしいですね。とはいえ条件は結構厳し目の「誰かのライフが13点以下」であること。《殺し》や《通りの悪霊》、その他φマナ呪文で自分のライフを削るのは、赤単がばっこする現環境では怖すぎるか。
とはいえ2色アグロデッキが4ターン目くらいを目安に、相手のライフを減らしてアンタップインしたいという要望にはいささか応えてくれそうな気がするので、"ブラッドバーン"のような直接ライフを攻められるデッキであれば、このカードの採用は問題ないと考えている。それでもタップインしてしまう可能性はあるだろうが、もともとパウパーの2色土地はタップインが基本のフォーマットなので、それならそれと割り切ってしまうのも良いと思います。
逆にコントロールデッキなどでは狙ってアンタップインするのが難しく、赤黒の《剃刀罠の山峡》は評価B、他のカラーに関してはC+とさせていただきます。
ところで、キーワードである13点と、本セットの洋画ホラーの雰囲気から「13日の金曜日」を連想し、殺人鬼”ジェイソン”の名前を貰った”ジェイソンランド”呼びが個人的にはしっくり来ているので、筆者もそれで呼ぼうと思っています。