スクリーンショット_0029-08-13_20.25.27

「ラ・ラ・ランド」のデューデリジェンスレポート【93点/100点】

みなさま、おはようございます。
クリデリ(クリエイティブデューデリジェンス)のモッズです。

本日は、数々の映画賞を総なめして、興行収入$443,902,182を叩き出した2016年最高の映画との呼び声も高い、映画「ラ・ラ・ランド」をデューデリしていきたいと思います!

〜Movie サマリー〜

■あらすじ

『ラ・ラ・ランド』(英: La La Land)は、2016年に公開されたアメリカ合衆国のミュージカル・ロマンティック映画。ピアニストの恋愛を描いた映画。(ウィキペディア

■制作チームなど

監督:デミアン・チャゼル
脚本:デミアン・チャゼル
製作:フレッド・バーガー、ジョーダン・ホロウィッツ、ゲイリー・ギルバート、マーク・プラット
出演者:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ローズマリー・デウィット
音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
撮影:リヌス・サンドグレン
編集:トム・クロス
製作会社:サミット・エンターテインメント、ブラック・レーベル・メディア(英語版)、TIKフィルムズ、インポスター・ピクチャーズ、ギルバート・フィルムズ、マーク・プラット・プロダクションズ
配給:アメリカ=サミット・エンターテインメント、日本=ギャガ/ポニーキャニオン
公開:イタリア=2016年8月31日(ヴェネツィア国際映画祭)、アメリカ=2016年12月9日、日本=2017年2月24日
上映時間:128分
製作国:アメリカ
言語:英語
製作費:$30,000,000
興行収入:$443,902,182
ウィキペディア


〜映画評価データ(※クリデリチームの主観です)〜

■ストーリー:(19点/20点)
ストーリーの構成は完璧としか言いようがない。2時間という時間をこれほどまでに無駄なく、全てを濃密で意味深い映像に仕上げられる作品は、数年に1度しか生まれないほどの傑作ではないだろうか。ストーリーを春夏秋冬という表現でパート分けしており、季節の進捗とともに物語の起承転結が流れているという演出。非常にたくさんの伏線が、次々と大きな意味を持って、わかりやすく回収され続ける。現実と妄想の世界の往来を違和感なく実現させることで、現実の登場人物の葛藤や想いがより深く表現されることを達成した。

■キャスト:(17点/20点)
ミュージカルムービーという難しいカテゴリの映画ではあるが、歌、ダンス、演技と大変素晴らしい作品となっている。また主役級ではないメンバーも一貫して、ダンス・歌ともに高いパフォーマンスを見せており、ストーリーの展開や登場人物の感情にアダプトさせるように、動きのスピード・表情・歌声をデザインしている点は通常の映画では要求されない難しさだったが、素晴らしい仕事だった。

■人生への影響度:(18点/20点)
理想と現実のせめぎ合いの中で戦っている方にとっては、共感と感動を与えること間違いなし。理想を追いかけることで襲い来る数々の壁。一人では乗り越えられなくても、同じ意思を持つもの同士で支え合い、時にはぶつかる。それでも、相手の志を真に応援しあっているからこそ、相手が道を間違えそうになったときは、全力で怒り、本当にやるべきことをやるべきだと伝える。人のつながりと信念の重要性を、すぐにでも心に刻み込んでくれる作品です。

■映像クオリティ:(19点/20点)
ミュージカルを織り交ぜるシーンでは、数分の長い尺のシーンをワンカットで取りきっている。役者・撮影スタッフともにプレッシャーのかかるシーンが連続しているが、完璧に仕上げている。また妄想と現実の往来を違和感なく実現させる描写クオリティは素晴らしい。また登場人物が自分の世界にフォーカスし、周りへの意識が薄まり、演奏や演技に全神経を集中する、いわゆるゾーンに入る描写が何度もあるが、とてもシンプルに表現し、集中が解かれるシーンとの出し入れも見事だった。

■サウンド・ミュージック性:(20点/20点)
本作品のサウンド・ミュージック面は最高の評価がされるべきだろう。主人公であるジャズピアニストが本当に追い求める音楽とは何か緻密に表現し、現実に打ちひしがれ、葛藤・迷い・混乱と言った感情を抱く描写では、力強くも嘆かわしい音楽・歌詞・ダンスを見せてくれる。また惹かれ合う者同士が、最初は個性が強すぎて、少し反発しあっていたが、徐々に理想を追求する姿に勇気をもらい、愛情が芽生え、大きくぶつかり合いながらも、お互いの道を突き進むプロセスごとに、完璧にマッチする音・歌詞がデザインされている。本作品の味わいに深みをもたらしているのは、間違いなくサウンド・ミュージックの部分であろう。

■総合得点:(93点/100点)
全ての要素で、本当に優れたクオリティを実現した作品だと思います。人生における本当に不思議な縁で結ばれた出会いの尊さを改めて実感させてくれます。また、本当に挑戦したいことに全力を捧げることの美しさや、壁を超えるために力を与えてくれるパートナーの大切さを再確認させてくれる作品でしょう。勇気と愛情をもらえる素晴らしい映画なので、ぜひご覧になられることをお勧めします!


〜クリデリレポート(映画レビュー)〜

この作品でとりわけ素晴らしい部分は

・物語が後でつながって、全てが綺麗に落ちていく構成
・ミュージカルのメリットを最高レベルに生かし続ける演出

この2点に詰まっていると思います。

二人の登場人物、セブとミアの出会い方や、衝突するシーンがあるのですが、そのシーンが1回だけ使われる「ただのワンシーン」で終わることがありません。

後々のシーンでも回想として、少しの妄想も混ぜながら、違う角度で再度活用されていたりします。

過去と現実のつながり感、何気なく話したセリフが重要な意味を持つことを表現するシーン、現実と妄想をおりまぜていくスタイル。

いろいろなシーンが繋がっていくのは、見る側としては納得感を持ちながら、登場人物の行動を理解することができ、感情移入を深いレベルで実行することができます。

また、本作品はアーティスト同士であるセブとミアが理想を追求する話です。二人はお互いに理想を追求する姿を応援しますが、現実という困難に打ちひしがれて、それぞれ志がブレてしまいます。

その志の揺れに、お互いがお互いの弱い心を見ているようで、「負けるな」と励まし合い、なんとか理想を追求する心を取り戻し、実現へと向かっていきます。

最終的に二人が手にするのは、もともと願っていた理想的な自分なのですが、その過程で他にも大切なことに気がつきます。それは、辛い状況も一緒に乗り越えてきたことで芽生えた、お互いに想い合う愛情です。

しかし、その愛情を手に入れることを選択してしまうと、願っていた理想的な自分になることはできません。だからこそ、二人は愛情は心にしまって、それぞれの道に進んでいきます。

自分の本当にやりたいことは実現したものの、途中で気がついた愛情は身を結ぶことができませんでした。しかし、それが「理想を実現した現実」であり、二人に一切の後悔はありません。

少し寂しさも漂いながらも、アーティストとしてそれが重要なことだとお互いに悟ったような笑顔は、極めて深い哀愁と愛情がにじみ出た最高の表情でした。


また、本作品はミュージカルによって彩られた作品です。

各シーンに散りばめられたミュージカルシーンは、音楽・歌詞・表情・ダンスが登場人物の感情に合わせてデザインされており、同じ歌詞を何度か使いまわしているシーンがあるのですが、その一瞬一瞬の登場人物の心の中を映しているため、全く別の曲のように感じます。

ミュージカルムービーを見たことがない人は、ぜひこの作品を見て欲しいです。ミュージカルは、単なる誇張した表現手法ではありません。

リズムに載せることによって長さを感じることなく、喋り言葉より多くのセリフを紡ぐこともできます。

それに、通常は言葉のニュアンスや間によってのみ感じ取ることができるような繊細な表現も、綿密に設計されたダンスや歌詞、音によって、より多くの理解を実現することができます。

本作品はそのようなミュージカルならではの価値をわかりやすく、最高に活用した作品です。

・理想と現実の間で苦しみながら努力されている方
・アーティスト、ものづくりをされている方
・ミュージカル好きな方
・ミュージカルを見たことがない方
・本当の愛情を感じたい方
・本レビューを見て興味を持っていただいた方

これらの項目に該当する人にはオススメの映画です!
ぜひご覧になってください。


長いクリデリレポートを最後までご覧いただきありがとうございました。
もしよろしければシェア・いいね!していただけると嬉しいです。
次回もどうぞ宜しくお願い致します。

気に入ってくださった方は、↓から「スキ」「フォロー」してください!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?