複雑に乱雑し行進する

特殊で複雑で乱雑で具体的で無駄の無いセリフが書きたい。それをすることさえできれば、生活や、将来や、恋愛なんかはどうなってもいいと思えるほど、美的なセリフが好きだ。美を追求することは、己を取り戻す作業である。自分を崇める修行である。だから俺は俺の美を探求するのである。
4分だか5分だかのコント(キングオブコントは尺が4分か5分なのだ)にきっちり収まった、綺麗なセリフが好きだ。セリフに不足や、過度な装飾がないのに、哀愁が漂っているとなお良い。私のセリフへのこだわりは、完全にコント由来だ。輝くセリフを聞くと、はっとする。好きなセリフ、Aマッソのピアノのコント。「右手終電間に合うけど左手ガストで始発待たなあかんやん」。左手は、漫画喫茶に行く金もないのか。それとも節約家なのか。
嗚呼、セリフ。ぴかぴかのセリフ。それをちゅるちゅるの俳優が言う。演劇という宇宙で。コントという海で。そこには上も下も、差別も貧困もない。

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