『海に眠るダイヤモンド』最終話感想。とっても好きな作品なんだけど・・・!(ネタバレあり)
自分は野木亜紀子脚本、塚原あゆ子演出の作品がとても好きです。特に『MIU404』なんて一番好きなドラマと言っても過言ではないです。
『海に眠るダイヤモンド』も例に漏れず、毎週毎週心待ちにし、一話見るごとに早く続きを見たいという気持ちに駆られていました。最終話も楽しく拝聴させて頂きました。
ただ・・・ただ、どうしても! 「なんで?」と思う要素が、自分としてはこうあってほしかったと思う箇所が二つあるので、見たあとの勢いそのまま、記事を書きます。
鉄平のプロポーズシーン
最終話後半で、記憶と希望が混ざりあったような映像の中での鉄平の告白のシーンです。
鉄平が告白するのはいい、そりゃするでしょう大好きなんだから! しかし、朝子は受け入れないで欲しかった!!
だって朝子は虎さんと結婚して、紆余曲折はあったにせよ幸せな人生を歩んでいるのだから。もちろん、プロポーズを受けたのは現代の朝子ではなく、若い姿の朝子なので、応えたことを含めてifの話として受け取ることもできます。しかし、それではどうしても「こんな幸せな人生があったのかもしれない」という過去に向かうお話になります。
うろ覚えですが、途中で和尚が「良い過去も悪い過去も全て背負って一生懸命生きていくしかない」という主旨のことを言っていました。さらっと出てきたセリフですが、自分はこの話にとってとても重要なセリフに感じました。『海に眠るダイヤモンド』は過去の端島の物語を紐解いていくドラマなので。
ifの話として朝子がプロポーズを受けるエモさも分からないではないです。でも自分としては、現代の朝子が「私にはもう今の人生があるから」と断って、今の人生を肯定するほうが、物語全体の主旨に沿っていて、感動的ではないかなと思います。
玲央がツアーガイドに就職したこと
これも、自分は心が過去に向かっているように感じます。
軍艦島という現代は廃墟になっている場所が、かつてものすごい活気があって、そこに暮らしていた人がいた、ということをこのドラマは私達に教えてくれます。視聴者とともに、その過去を一番受け止める存在が玲央です。その玲央が、過去を受け止めて、どう今を生きるかが、とてもこの物語で重要だと思います。
そんな中、選ばれたのがツアーガイド。理由は「いろんな行っていない場所があり、そこに鉄平がいたかもしれない」という鉄平とのつながりを感じてです。
鉄平という偉大で魅力的な人がいて、端島という切なくて愛おしい記憶があり、ただそれに向かっています。つまり、これも心が過去に向かっているように感じます。
外勤として生きた鉄平がいて、その鉄平が大好きだった朝子が、外勤のように玲央に話しかけ、結果として玲央は空虚感を感じていた状況から救われました。また、玲央は前の話でアイリを救いましたが、それでもホスト時代に誰かを不幸にするかもしれない行為をしていた過去があります。
であれば、外勤として生きた鉄平を知り、自分の過去の罪を知り、それを踏まえた職を選んでほしかったです。昔の玲央と同じように行き場がなかったり空虚さを抱えている子に話しかけてあげるような仕事です。(自分の拙い想像力では、生活安全課の警官とか、若い子が行きやすいお店をやるとかぐらいですが)
最後に
自分が気になった二箇所はどちらも、今まで話を見てきて端島や、そこに住む鉄平、朝子、賢将、百合子などの登場人物を好きになっていると、嬉しくなるようなシーンでもあると思います。でも! でも自分はその上で、今を生きていく現代の朝子や玲央が見たいんだ!!
自分はこの話を、端島というダイヤモンドのような過去があり、そしてその上に成り立っている現代がある、というお話だと受け取りました。そうすると「すごい・・・すごいんだけど! どうしても!!」という気持ちになる部分があり、感想を書かせていただきました。
この記事としては非よりの内容になりましたが、『海に眠るダイヤモンド』には心に刺さるセリフがたくさんあり、感動的な演技や映像があり、これだけ色々考えさせられ、心を動かされました。自分にとってとても大切な作品です。素晴らしい作品をありがとうございました。