ロールプレイ・ディスカッションとシナリオ・プランニング
ロールプレイ・ディスカッション
自分がすごく好きなこともあるし、授業に取り入れることがままあります。昨年度は、生成AIを活用したりもしながら実践してみましたが、これはこれですごく可能性を感じました。
「合意形成を目指して議論する」こと自体、すごく大切なことだと思うし、その経験を学習者に積んで欲しくて、色々な設定を考えては、実践をしてきたわけですが、捨て切れない違和感というものがありました。
何かというと、「合意形成を図る」ということを、教師の側が目標設定することです。
理由としては、教師の側に、合意形成を目指すことを押し付けられているという感覚が拭えない学習者や、ぶっちゃけ面倒だからか、いわゆる教師の望みそうな結論ありきの浅い議論へと脇目も振らず突っ走る学習者が出てしまうこと。
この辺り、どうしたらいいものか、と考えていたところで、「合意形成を図る」という目標設定から、「合意形成は可能か」という形に変更し、実践をしてみることにしました。
シナリオプランニング
ここでは、8枚のカードでシナリオを描き出すという手法を取ってみることにしました。参考にしたのは以下の書籍です。
テーマとしては、国際河川・ナイル川のダム開発をめぐる議論、としてみました(東京大学の個別学力試験「地理」でも出題されたことがあります)。
シナリオを考える際、「合意形成は可能か?」からスタートしてみたわけですが、学習者たちが、さまざまシナリオを想定する中で、頭の中がグチャグチャになって、結局1枚目で止まってしまったり、何パターンもシナリオを描き直してみたり…やってみて、学習者たちがパンクするくらいに、深く議論しているように見てとれる瞬間がありました。
ただ、授業者の覚悟が必要だなと思ったこととしては、何の躊躇もなく最悪なシナリオへと突っ走っていく学習者たちや、ふざけという形に近い破綻したシナリオを描き出す学習者たちがどうしても出てしまうこと。
すぐさま学習者を非難するのは簡単なんですけど、これだと彼らにとっての実りは一つもありません。毎度、こちらのファシリテーターとしてのスキルがすごく問われる瞬間だなと思っています。
ここで、語る言葉を手にしたい。うーん、ムズい…といつも反省です。
今回は、「想像力」ということを語ることしかできませんでした(これでも精一杯だったなと思います)。
その先の世界を自分たちに寄せて考えることができるか?
ここからがシステミックデザインの本領発揮なのかもしれません(的はずれなのかもしれないですが、この先の実践も結構イメージできました)。
教師の側が用意すれば見えてこなかったかもしれない、そもそも合意形成というフェーズに踏み込む手前の部分に、学習者に(限らず教師の側にも)、大きな課題があるのだろうなあとはっきり見えてきた時間ともなりました。
シナリオ・プランニングまたやってみたいと思います。