I認定子ども園
お憑かれ様です。 怪談師 ピオーネです。
この話は母がI認定子ども園で現役の保育士として働いていた頃の話である。
現在の母は、待機職員として、人手が足らない時に子ども園に勤務するのだが、今でも"それ"は、起こるらしい。
季節は残暑が少し残る秋口。その日も普段どうりの勤務日。母が子ども園の倉庫に道具を撮りに行き引き戸を開けると倉庫の中が異様なニオイであることに気がついた。
まるでそこに獣がいるような臭いが充満しているのである。
最初は鼠か何かが死んでいるのかと思って掃除をしたが、死骸などは見当たらず、原因はわからない。
何日か経って、倉庫に行く用事があり、戸を開けると匂いが違う。
とてもいい匂いだった。まるで澄んだ洞窟のような良い匂いがした。同僚にそのことを伝えると共感してくれる人、しない人何故かはっきり分かれるのであった。
また何日か経ち職員室で事務仕事をしていた。ふと外を見ると、換気のため網戸にしていた窓に目がいった。なんとなくじっと見ていると、
その網戸がヒトリデにガラガラと動き、開いたのだ。
唖然として見ていると、隣に居た職員に「見た?」と聞くと、
「見た」と頷いた。
誰かの悪戯かとも思ったが、窓の向こうは墓地であり、フェンスで仕切ってあるうえ、施錠もしているので誰もいるはずがなかった。
しかし、考える間もなく忙しい時間帯に入り、その件はあっという間に忙殺されてしまった。
また何日かたったある夜。
母がホールでお子さんを寝かしつけていると、
カラン・・・コロン・・・カラン・・・コロン
という音が聞こえてきた。見ると、
片付け忘れていたであろう”起き上がり小法師”が、ゆらゆらと左右に揺れていることに気がついた。
母は「遊んであげられないから、あとにしてね。」と起き上がり小法師の方へ向かって言った。
すると、
カラン・・・コロ。
と、無理やり両手で止めたようにピッタっと真ん中で急に動きを止めた。
そのようなことが起きる中、さらに
職員全員が職員室で事務をしていると、機械の調子がオカしくなったと言い出した。その後、パソコンやエアコン、職員の携帯電話さえも調子が悪くなった。
このようなことが、立て続けにあったため、いよいよお祓いをしようと言うことになった
原因は、過去のある出来事であることを知った。
この場所は、こども園が建つ前、役場が立っていた。そして、その横にはとある慰霊碑が立っていたのだという。
その後、役場が取り壊すことが決まったが、その慰霊碑も一緒に取り壊すことになった。しかし、当時の業者はあまりその慰霊碑に気を使うことなく、いっさいの弔いをせずに取り壊した。
大きな重機で、砕くように取り壊したのである。
その時の破片が今でもこの土地の地中に混ざっているようで、そのことによって、成仏できないモノが地縛的にとどまっているという。
それを聞いて以降、”日の初め”と”中頃”にお線香とお供えをしているとのこと。
たまに、こども園に行くときがあり、倉庫に行くと
あの臭いがただよってきたり
誰もいない部屋から、
カラン・・・コロン・・・
と音がするような気がするという。