あわや香港旅行消滅のすったもんだ②関空の混雑を舐めちゃいけない2024年2月〜いや、それは自業自得やろ編【6,000字】
【登場人物】
ぼく・・・この旅行の首謀者。今日休み。
"G"・・・旅行の前日、予約していた航空券が一方的なキャンセルを受けたことに気づく。今日は職場から直行。
"M"・・・初めての海外旅行。前日の会議で寝落ち。"G"と同じく今日は仕事。
前日のすったもんだで、出発時間が前倒し!
友人2人と香港・マカオ旅行を計画していたが、旅行の出発前日にすったもんだあり、出発時刻が1時間半前倒しになった。
⇨すったもんだはこちら。
出発地は大阪、関西国際空港。
香港エクスプレス20:25出発の便。
出発日である今日、ぼくは休みを取っており、友人2人は仕事をがっつりこなしたあと空港に向かうことになっていた。
国際線を利用する際、空港に着くのは2時間前くらいが妥当だろうか。航空券は昨日のオンラインチェックイン後自分で出力をしているので、航空会社のカウンターに行く必要はないが、関空の混雑は余りにも有名。
早く空港に到着するに越したことはないが、彼らは17:00まで仕事があり、目安となる出発2時間前の18:25までに空港に到着できるかどうかはかなりの賭けだった。
元々予約していた便の出発は22:00台だったので多少の余裕があったが、前倒しになったため彼らはかなり無理をして仕事を終わらせ、空港へ向かわなければならない。
僕はといえば呑気なもんで、17:00三宮発のリムジンバスに乗るまで時間があるので、お昼頃に外出し、美容室に行ったり旅行用の小物を購入したりしていた。
また関空の混雑状況がHPで確認できるので、出先でこまめに覗いていた。午前中はかなりの混み具合だったが、昼過ぎになると落ち着いてきた。
直近の関空の混雑状況を調べると、12月に国際線出発エリアの改装が終わり、混雑が緩和されているとのこと。このままいけば多少遅れても何とかなるかもしれないと安堵した。
外出から帰宅した頃、彼らに仕事の進捗確認のLINEを送ってみた。
が、返信がない。LINEも確認できないくらい集中して頑張っているのだろう。
1時間くらいして、束の間の安堵をかき消すように"M"から返信があった。
「やばい」
‼️
彼の状況が一発で把握できてしまう一言だった。
これはやばいのだ。
安堵が一気に焦りに変わった。
その返信があったのは15時ごろ。普通ならある程度仕事終わりの目星が付いている時間帯である。この時点で終わりが見えていないと、そもそも定時ダッシュで退社しても2時間前に空港に着くかどうか、というスケジュールなので、ここからのタイムロスはデッドラインを超えることになる。
「頑張れ!」と応援しつつ、あらゆる事態を想定しながら準備をすすめた。次第に時間に間に合う者だけで先に出発する選択肢が頭をチラつき始めたが、それでは楽しさが半減してしまう。
時間になり考えがまとまらないまま、バス停へ向かった。
舐めちゃいけない夕方のラッシュ
定刻通り関空行きのバスは出発した。出発後すぐに高速に乗るのだが、早々に渋滞に巻き込まれた。まもなくルート変更のアナウンスがあり、その時点で数十分の遅れが想定された。
ここで心配なのは"M"だ。"M"はぼくと同じく三宮発のリムジンバスに乗る予定だった。関空までの所要時間は約1時間。ただでさえ仕事が遅れそうななか渋滞に巻き込まれると完全にアウトだ。
時刻は17:30。今からバスに乗っても出発の2時間前には到底間に合わない。
既に"M"の仕事の定時はとうに過ぎていたがまだ連絡はない。「今バス渋滞中」とLINEを送ると返信が返ってきた。
「いま、タクシーで家に帰ってる」
‼️‼️
家に帰ってるだと?
てっきりぼくは"G"と同様、会社から空港に直行するものだとばかり思っていた。
‼️‼️
急に激しい動悸を感じた。
これは本格的にヤバい。いよいよ先ほどの選択肢を実行しなければならない可能性が高まってきた。三宮発の次便は17:50だが、"M"が間に合うであろうはずがない。
その次は18:20。これに乗り運良く渋滞が緩和されていれば到着は1時間前。また奇跡的に関空の混雑さえなければどうにかなるか。
ここで追い討ちをかけるように"M"からLINEが来る。
「めっちゃ渋滞してる」
普段は電車通勤をしている"M"だが、少しでも早く帰ろうとタクシーに乗ったことが仇になった。バスに乗る前に夕方のラッシュに巻き込まれるとは・・・
いよいよ動悸が止まらない。半年かけて企画した親友2人との海外旅行。人生のなかでもそうそうないチャンスなのだ。昨日のすったもんだをクリアしたのに、「飛行機に遅刻」なんてことでパァにするわけにはいかない。何か少しでも時間が短縮できる方法がないか。バスに揺られながら必死で考えた。
神戸から関空へ行く交通手段として、バス以外にベイ・シャトルという高速船があるが、次に乗れる便は19:00発〜関空19:40着。
香港エクスプレスの搭乗ゲート締め切りは出発30分前の19:55の予定。どんなに上手く行っても間に合わない。他の手段はないか?とにかくどんな形でも良いから彼を間に合わせたい。
そう神にも祈る思いで、いろんなシミュレーションを練っていた真っ最中、彼が面白い報告をしてくれた。
「おれチケット出力してない」
この子は置いていこう。
そんな思いが頭の8割を占めだした頃、僕が乗っていたバスは20分遅れで関空に到着した。
するとそのタイミングで"G"から18:50頃に到着すると連絡が入った。今から約30分後である。彼は電車で空港に向かっているため、ほぼ確実な時間だろう。ゲート締め切りまでは1時間余裕があるので、よほどのことがない限り間に合うはずだ。
そう高をくくっていた。
そこで目にしたのがこの光景。
オフシーズンでも舐めちゃいけない関空の混雑
バスのなかでは"M"をいかにして関空に導くか考えることで頭がいっぱいで、関空の混雑状況確認まで頭が回らなかった。
恐る恐る関空のHPを覗くと・・・
「非常に混雑」を頂きました!
少し分かりづらいかもしれないが、上の写真の壁側はシートで覆われている。事前に調べた情報では国際線の出発エリアの改装は終わったとのことだったが、がっつりと改装中だった。
後でわかったことだが、改装が終わったのは保安検査場より先のエリアで、出発口は未だ改装を継続していたのだ。それでも事前に調べていた際に見た、昨年夏頃の行列に比べるとまだマシだった。
急ぎ"M"に連絡を取ると、家からは出発しタクシーで三宮に向かっているとのこと。しかしバスにせよ高速船にせよタイミングの良い便がなく、それらに乗ってると明らかにゲートの締め切りに間に合わない。
最悪間に合わなければ、翌朝の便を新たに取ってもらうしかないが彼の負担額はかなりのものになる。ここは心を鬼にして彼に伝えた。
「タクシーで関空までおいで❤️」
そんなやり取りをしている間に"G"が関空に到着した。合流早々2人同時に口を開いた。
「なんであいつ家に帰るん?」
"M"への愚痴はさておき、「3人とも飛行機に乗れない」ということは何としても避けたかった。しかしこれからの行動を決断する上で大きなネックがひとつあった。
"M"がチケットを出力していないことだ。
彼がどれだけ早く関空に到着しても、空港での発券可能時間を過ぎる(そもそも発券してる時間などないが)。つまり彼を乗せるには、念のためにぼくが出力していた彼のチケットを直接渡さなければならない。
そして目の前のこの行列だ。ぼくが空港に到着した頃に行列に並び始めた人は、30分経ってもまだ出発口(保安検査場の入り口)にたどり着いていなかった。
チケットを渡す方法はあとで考えるとして、このまま待っていても共倒れになるだけだ。"G"と相談のうえ、まずは行列に並ぶことにした。
関空の国際線の出発口は2つある。
近くにいた関空のスタッフさんに尋ねると、若干「出発口1」の方が対応できる人数が多く、多少行列が長いようでも、出発口1の方が早く進むとのことだった。(あくまで僕らが行った日の話しだが)。
出発口1に並び始めてしばらくすると、指示通りタクシーでこちらに向かっている"M"から連絡が来た。それを見たぼくらは目を疑った。これが実際にLINEに放り込まれた文章だ。
⁉️⁉️⁉️
この後に及んでこの子は、お買い物できる時間があると思っているらしい。ひとまず無視することにした。
並び始めたのが19時。行列は一向に途絶えない。保安検査場にたどり着くまでの時間はやはり30〜40分というところか。
本当にヤバい時は人に頼れ!
実際に並び出すと思いのほか前に進む。そして後ろからもどんどん人が押し寄せてくる。このような状況でどうやってチケットを渡そうか、しばらく考えていると周囲が慌ただしくなった。
どこかの航空会社のグランドスタッフが乗客を必死で探している。おそらくチェックイン済みで未搭乗の乗客がいるのだろう。
待てよ?
ぼくらは既にオンラインチェックインを済ましている。"M"が時間に間に合わなければ探しにきてくれるのか?海外のLCCだしそこまで親切な対応をしてくれるかわからないが、可能性はゼロじゃない。
幸い先ほど出発口のことを教えてくれた関空のスタッフさんが、ぼくらが並んでいる方へ歩いてくるのが見えた。そこで思い切って現在のぼくらの状況を説明し、応急対応をしてもらえないか尋ねてみた。
すると、
「間に合わなそうな場合は、お声がけ下さい。優先的に対応します」
とのこと‼️
これが公式な対応だったのかは不明だが、航空会社の対応としてではなく空港としての対応をしてくれるようだ。とにかく望みは繋がった。
それから少しスタッフの方と話した内容から察するに、現在も続く改装工事の影響か、空港利用者へ充分な対応ができていないことに対する配慮のようであった。
よくよく検査場の入り口の様子を見ると、複数ゲートがあるにも関わらず起動しているのはそのうちの半分もない。
さて、あとは"M"が何時に到着するかだ。時刻は19:20になろうとしていた。"M"が神戸からタクシーで向かい始めてちょうど1時間が経とうとしている。
彼の状況を確認すべく電話をかけた。
"M"「もう着くよー」
こののんびりやさんめ❤️
保安検査場での一悶着
それから10分ほど経過し、ぼくらがようやく出発口にたどり着いた頃、"M"が現れた。
"M"には先ほどの優先対応のやり取りの内容を伝えているため、彼は言われた通りにスタッフさんに声をかけた。保安検査場の入り口まで来ていたぼくらとの距離は5mくらいしかなかったので、すぐにスタッフさんは状況を把握してくれたようで、速やかに"M"をこちらまで誘導してくれた。
"M"はニコニコしながらこちらに歩いてくる。人の気も知らないでと思ったが、どうやらその笑顔は運転手さんのテクニックのおかげ(決してスピードのおかげではないと信じたい)で思いのほか早くついたことと、タクシー代が思いのほか高くついた(2万)ことによるものらしかった。
ぼくらはスタッフさんに感謝を伝え、保安検査場に向かった。搭乗ゲート締め切りまであと25分。最大の難関は乗り越えたが、ここから搭乗ゲートまでは距離があり余裕は無い。
保安検査場に入ると、複数の列に数名が並んでいるだけですんなりと列は進んだ。
手荷物検査のために所持品をトレーに出していると、ふくらはぎから太もものあたりに何か硬いものがあたる感触があった。
この保安検査場はあまり広くなく、狭いスペースに人が並んでいるので、人の荷物が当たったのだろう。
そう思い、軽い気持ちで振り返るとスーツケースをもった50代くらいの男性が怒気を含んだ顔で、こちらには目を合わせずに立っている。
気にせず所持品を出していると・・・
ガン❗️ガン❗️
2〜3回立て続けに当てられた。今度は少し痛い。わざと当てているのは明らかだった。
続けて男が底意地の悪そうな声で、ぼくの背中に吐き捨てるように言った。
「こっちはどんだけ待ってると思ってんだよ、早くしろよ」
おそらく"M"がショートカットして保安検査場に入ってきたのを目にして、癪に触ったのだろう。こちらは旅行を成立させるために必死で、周りが見えていなかった。
それは一言言いたくもなるし、スーツケースも当てたくなるだろう。ぼくは怒りよりも申し訳なさが先立ち、「ごめんなさい!」という気持ちで彼に背を向けたまま、
かかとでスーツケースを蹴飛ばした。
保安検査場に入ってしまうとあとは早い
そんなホットなコミュニケーションを挟みつつも、保安検査場の所要時間はわずか5分程度。そこからはあっという間だった。
ちなみに先ほどのスーツケースアタックはぼくだけでなく"G"も"M"も食らっていたらしい。済まない気持ちは猿にもあるとか言うけれど、蹴飛ばしといて良かった!
保安検査場を出るとすぐに出国検査のエリアとなる。パスポートをかざすだけで終わる顔認証ゲートのおかげで、所要時間は1分程度。拍子抜けするくらい早い。
そこから数十秒で、リニューアルした出発エリアに入る。国内最大級と言われるきらびやかな免税店や飲食店のエリアには目もくれず、一目散に搭乗ゲートを目指した。
目指すゲートは北ウイングの1番奥。各ウイングへの移動は「ウイングシャトル」なる乗り物(関空は電車ではなくエレベーターと言い張っている)で移動する。
上の地図の下部左側がエリアの入り口(出国検査に必ず出てくるところ)。そこから向かって左側が北ウイングとなる。北ウイング行きのシャトル乗り場は、地図の上部左側からエスカレーターであがったところにある。
シャトル乗り場へ到着したのが19:45。ゲート締め切りまで残り10分。
乗り場に着くと間もなくシャトルが到着。ウイングシャトルはひっきりなしに往復しているようだ。
すぐに出発し、ものの2〜3分程度で北ウイング「先端駅」に到着。ホームからエスカレーターを降りると目的の搭乗ゲートの前へ出る。
ぼくらがゲートの前に着いたのは19:50。なんとかミッションコンプリートすることができた。
雰囲気的にまだ余裕がありそうなので、目の前の物販店で軽食を購入した。というのもゲート締め切り間近だというのに受付がのんびりしており、なぜかだらだらとぼくらの後にも乗客が続いていた。
無事予定の便に乗り込むことが出来て何よりだったが、不思議なことに結局20:20くらいまで乗客が乗り込んでいた。
また前日の予約時には3分の1程度しか座席が埋まっていなかったが、見事に満席になっていた。
状況から察するに、ぼくらが当初予約していた便が欠航になったことに対する応急処置なのだろうか。
元々は別の航空会社の22:00台出発の便だった。ぼくらはかろうじて前日に欠航に気付くことことができたが、ひょっとすると先ほど空港に来て、そこで始めて知った人もいるだろう。その人たちは慌てて代替えの便を探すはずだ。
乗客が少ないと欠航になるくらいだから、逆に満席でなければ、出発時刻のギリギリまで欠航になって困ってる人を乗せようとするのは当然なのかもしれない。
少し拍子抜けしたが、なにはともあれぼくらの旅はようやくスタートを切った。ここから怒涛の2泊4日が始まるのだ。旅を乗り切るには機中泊が必須だった。
しかし夕方まで仕事があり離陸早々爆睡した友人2名とは対称に、"M"をどうやったら飛行機に載せられるか考え続けてアドレナリンが出過ぎたぼくは全く寝ることができないのであった・・・。
つづく。