もがく。 2020 J1 15th Sec
勝利して喜ぼうが、敗戦によって落ち込もうが、そんな感情に浸る暇もない日程。
そしてまたこの週中、水曜のJ1第15節を迎えた。
このスタメンのチョイス。ここのところ上手くいっていないことを反映してのものなのだろうが、さあ試合を見てみよう。
多くの人が予想したとおり3バック。いわゆるHVがサネとシン。WBにあたる位置に高野とケニーということになった。
システム表記上は3-4-3、中盤はマルコスを頂点にしたダイアモンド形といったところか。
試合が始まると1分と経たないうちに先制。大然が相手を引きずるように持ち込み中央へ入ってきたテルへ。たまらず相手はゴール前に収縮したがそのおかげでサントスが浮いて、それをテルが見逃さず反転しラストパス。そのサナトスは1タッチで体を開き逆サイド方向に流し込むシュート。上手い。
しかしリードは長く続かなかった。2304に失点。
ビルドアップのテンポ感は悪くない。が、ゾーン1でプレッシャーをかけられたらそれこそねずみのようにしゃかりきに動いて1タッチ(と、準じる)パスを出しては受けを連続的に繰り返さなければ脱出は困難である。
やや苦し紛れに前方に出したロブがピンボールのように戻ってくる。それを拾われ持ち込まれクロスからシュートを許してしまった。
一連のプレーのプロセス自体は速くなかったためか、選手が足りていない。結果としてゴール前は疎の状態で、いかにも脆弱と言わざるを得ない。相手の攻撃の最後、守備側としてはゴール前は人数とそれによる密度が必要だが、相手の攻撃全体のテンポがゆっくりだとうちはこうして油断する傾向にあるような気がしている。
WB(と3バック)による守備面での効果はあったようだ。
最前線でサイドに誘導したゾーン2の入口で囲い込める。そのまま戻ってくるウイングとWB、さらにはトップ下と協調して挟み、容易くサイドチェンジさせないといったプレー選択の制限をかけることにまずまず成功した。
また、そのサイドチェンジを許しても逆サイドの該当エリアにWBがいて、最終ラインに4枚いるような状態を作ることもできる。そのため、試合を通じて比較的落ち着いて対応していたのではないだろうか。
それゆえに、相手に勝ち越し点を与えたのは痛かった。
AJは何がしたかったのだろう。シェイプ全体が左に寄っていてかつ、AJの周囲も四方に相手がいて比較的近い距離にいる。右に展開したくても選手はいないし、この位置で持ってもリスクしかない。
相手に絡まれロストしたことで結果として失点の引き金となった。
そして試合は1-2のまま終了。
またも先制しながら逆転負けしたわけだが、ポジティブな面はあったと感じている。
だがリードされ攻めなければならない立場としては、ただでさえシュートが5と少なかった前半よりさらに少ない3という数字に止まった後半、これを重く受け止める必要があると思う。
シンプルに相手の守備は強度・質ともに高かった。あれを掻い潜るのは難しいと見えた。残り10分ほど、ほんの少し前に見たような既視感のある、気迫を感じるマンツーマン気味の守備に押さえ込まれた。これは相手を賞賛すべきである。
1対1も、うちはそこそこのものなら逆に動かして前進できるが、その強度がある閾値を超えたものになると躱せなくなる。イメージではあるが、このことがはっきりした。
被プレスにおいては前述のように「しゃかりきに」動いて受けて捌いてまた受けて、ということを今以上にやらなければならない。
また、今季のイレギュラーな日程から派生した要因。
指摘されているように、トータル5人までの選手交代が可能になり、特に後半のプレー強度の落ち込みが抑えられていること。
かつてうちは、前半に何もできず、後半になってやっと動かせるという傾向が見てとれたものだが、この構図も崩れている。相手が(チーム全体のパフォーマンスとして)落ちてくれない。そのため「待ちに待った」後半になっても得点できなくなっている。
この閉塞感を打破したい。ただひたすらそれを願う。