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ハンブレ武道館の話

2024年10月9日
大阪のロックバンド、ハンブレッダーズの記念すべき初武道館公演に参戦した。
終演直後に言葉を失ってしまうほど素晴らしいライブだったので、忘れないように感想を書き起こしておきたいと思う。

※記憶を辿っての感想のため、セットリストやMCの順番が違うかもしれません。ご了承ください。

1.DAY DREAM BEAT

通常のライブでは、SE「おはよう」のサビ終わり「君の声が好きなんだ」のタイミングで全員で音を鳴らして始まるのだが、今回は違った。
SEをムツムロさんが手を挙げて止め、ピンとした空気の中鳴ったのは、聞き慣れたイントロのリフだった。

涙が溢れて止まらなかった。
高揚感と多幸感で胸がいっぱいだった。
タオルで涙を拭いながら拳を突き上げた。

ラスサビ前、全員での大合唱。
私がアリーナ後方中央で観ていたこともあり、会場中の声がステージに向かって響いていてとても感動した。同時に、きっと全員が「これは自分のための曲である」と思えているのだろうと感じた。
メンバーの緊張した面持ちも少し溶けた気がした。

2.ギター

「武道館にギター鳴らしにきました!」
ムツムロさんが声高々に言って始まったギター。
城ホールと同じく炎の演出が入り、会場の熱気も急激に上がっていく。歌詞の通り全部ギターの音でぶち壊せそうなくらいだった。
「あの日からずっと待っていた時が今来た」
本当にそう思えた。

3.ワールドイズマイン

好きなライブアレンジTOP3に入るイントロ前のベーススラップ。でらしくんが縦横無尽にステージを駆け回り、たどり着いたステージ最脇で奏でる音はいつもに増して最高だった。
そして「ド派手なエレキギター」もまた最高だった。私の好きなバンドの中で、ダントツにギターソロが上手だと感じるうきくんの鳴らす音は、どの曲でも歌っているように思う。ギターを弾いているというよりギターを使って歌っているという表現が非常に似合う。
ユニゾンリスペクトであろうフォーマルな衣装とは裏腹にロックなギターをかき鳴らすうきくんは素晴らしく格好良かった。

4.再生

いつかのライブで言っていた、
「俺たちの曲を再生している間だけは17歳に戻してやる」「再生さえしてくれればいつでも会える」という意思を体現した1曲。
私にとってはすでにハンブレの曲が特効薬的役割であり、まさに「人混みの中でひとりになる為の秘密兵器」である。

この曲の1番好きな部分は、サビの全員でのコーラス。複数人で歌うことで無敵感が増しているように感じるからである。歌いながらまっすぐに観客を見つめる目は、モニター越しでもキラキラと光っていた。

5.いいね

いつもは木島さんに聞く「今日のこの感じどう?」のフリ。今回は珍しくでらしくんだった。
おっきな声で「いいねぇ!!」と言って始まったこの曲では、観客もこぞってグッドポーズを掲げた。SNSで気軽にするいいねとは比べ物にならないほどの心の底からのいいねが武道館中に溢れていた。

6.常識の範疇

お決まりの「引き続き常識の範疇でお楽しみください」で始まった。歌ってもらえるだけで、楽しい感情になると共にマナーやモラルも守らなければと気を引き締めてくれる一石二鳥な楽曲である。ギターのカッティングや軽快なドラム、韻を踏んだ歌詞に跳ねるようなベースが非常に心地よかった。

7.席替え

突如武道館に衝撃が走った。
「いいね」の時に感想を聞かなかった木島さんに対して、ムツムロさんが「この景色どう?」と聞くと「ムツムロの頭で見えへんわ」と返答。
そんなに見えないのか…大変だな…と心配していると、「じゃあする?席替え」(じゃあ席替えする?だったかも)と言い放つ。全観客が疑問を持った次の瞬間、今やYouTubeでしか聞けない伝説の1曲「席替え」を演奏し始めた。
普通に意味が分からなかった。
空いた口が塞がらなかった。
周りにも固まっている人が多数いた。
誰も予想してなかっただろう選曲。流石である。
今後聞けるか分からないので、噛み締めるように1音1音聴く。心地よい素朴感があり、後半には衝撃も溶けほっこりした気持ちになっていた。

8.十七歳

「おっ、次は十七歳か〜」と思うと共に気がついた。モニターを出すために開いていた幕が閉じている。さっきは曲の衝撃が強すぎて気がつかなかった。
ここでピンときた。
このパート、高校での文化祭ライブを再現しているのではないか?
幕の閉じたステージはまるで体育館のステージそのままだ。
鳥肌が立った。なんて粋な演出なんだ…
演奏している曲もまさに高校生活時代を歌っているしもうなんとも言えない気持ちになった。
武道館に立っても初心や原点を忘れていない所、
大好きです。

9.見開きページ

イントロのギターだけで観客がわっと沸く。それほど人気曲であるこの曲が始まると同時に、幕が開いてモニターにみずすさん描き下ろしのイラストが現れる(とってもかわいい。バスドラにも同じイラスト貼られててよかった)。表紙のようにめくられたと思うと、次々に漫画のページのようにメンバーが映し出されて行く。城ホールではコマ割りのような演出だったが、今回のも味がある。
「大好きなものに大好きって言わなくちゃ!」
あなたたちに大好きだと叫びたいと心底思った。

10.名前

イントロの優しいギターと同時に映し出されたのは、MVのイラストの映像。久しく見ていなかったことを後悔するほど、幻想的で良い映像だった。ステージのライティングを控えめにしてモニターを目立たせることで、白い絵の具が本当に星のようにみえて、すごく感動した。心に染み渡る柔らかな音と「どこにいても君を必ず探し出す」という強いメッセージ性が相まってよりグッときた。

11.AI LOVE YOU

「名前」の良さに浸っていると、聞き慣れた電子音のノイズが鳴った。
会場がざわめく。
いや、まさかね。
ライブじゃできないってどっかで言ってたし。

そのまさかだった。
誰も予想しなかった選曲Part2である。
えっ、できるんだ。武道館パワーってすごい。
そう思っていたら歌い出したムツムロさんの声が不思議だった。
ケロケロしているではないか。
えっ、ケロケロしてる。
でらしくんのコーラスまでケロケロしてる。
しかもなんか映像がサイケデリックになってる。
異様とも言える空間に思わず少し笑いが込み上げてしまった。
アウトロでドラム前に集まったメンバーも、モニターを見てめっちゃ笑ってた気がする。
音源では、サビでまるでAIがハモっているようなケロケロ音が入っているのだが、まさかムツムロさんが全編ケロケロ音で歌い上げるとは思っていなかった。
ケロケロ言いすぎてよくわからなくなってきたが、新たなハンブレを見れた気がして嬉しかった。

12.DANCING IN THE ROOM

「自由に踊ってください」その言葉通りに会場が一気にダンスフロアに成り変わる。規定のノリ方も手拍子も振り付けも無いハンブレのライブ。各々が体を揺らして曲に聴き入っている姿はとても開放的だった。

13.サレンダー

「じゃあ、後半〜」
とMCで言われる。
え、もう前半終わった?体感3分なのに?
と思ったが、始まったのが私の大好きハンブレかっこいい曲パートに入ったのでそんなことはすぐに忘れてしまった。
この曲のうきくんギターソロがたまらなく好きである。唸って歪んでもう最高。
「俺は俺のスピードで 
お前はお前のスピードで」
この部分のハモリもきれいでお気に入りである。
木島さんのドラムも荒ぶっている感じがして(特にハイハットの音に現れている気がする)とてもよかった。

14.フィードバックを鳴らして

来た。イントロ大優勝曲。
ラジオで初めて聴いた時は良すぎて思わず口元がニヨニヨしてしまった。
ライブでやるとさらに格好いい。
とにかく手数が多いまるで音ゲーのような曲だと本人たちは話していたが、その手数によって疾走感がより表現されているように思う。
全てのパートに良い部分があるのでもう語りきれない。この曲だけで1つnote書き上げられる。
演出も火が出るわレーザーも出るわでもう最高以外の言葉が出ない。

いやぁカッコよすぎたな…
そう余韻に浸っているとドラムの音が響いた。

ここで来ましたSUPER KIJIMA TIME !!!
この流れで来るのはもはや反則である。
最近のライブで恒例になってきたこのドラムソロ。直近ではDJっぽい感じで電子音も交えたりしていたので、今回はどんな路線だろうかとワクワクしていると、ドラムのみのソロだった。
流石である。ドラマー木島を堂々と見せつける、技術の暴力とも言える魂の連打は、今までのどのソロよりも熱かった。

15.弱者の為の騒音を

木島さん以外のメンバーが再登壇し、ムツムロさんが「もっとギター上げて!!」と叫ぶ。
耳が割れそうなギャンギャンの音が響く中始まったのは「弱者の為の騒音を」。
ああ、もう幸せすぎるなと思った。
「こどものままでおとなになろう」
年齢なんて関係なく青春を歌い続けるバンドのこの言葉は、絶大な説得力と安心感を持つ。
武道館にいる全員が「こども」に戻れた瞬間であった。

16.東京

雰囲気がガラリと変わり、今生きている日常をストレートに描いた「東京」が演奏される。
ムツムロさんは、今までのMCやインタビューなどで何度も「続けることの大切さと難しさ」を話している。日々の何気ない繰り返しは淡々としていて無意味だとも思えてしまうことがあるけれど、続けないとその先には何も見えないし、その続けるという行為は簡単に見えてかなり難しい。
モニターに映し出される歌詞に沿った情景も相まって、ムツムロアキラという人間が特別な人なのではなく、私たちと同じように生活を繰り返しながら生きているごく一般人であると改めて表現されていた。ステージに立っているから、楽曲が作れるから、歌が上手いから、私たちはどうしてもアーティストを自分とは違う人間だと思ってしまうが、それを見事に覆し、また安心感を与えてくれたのであった。

17.CRYING BABY

イントロのギターのフェードインで、もう泣いていた。
個人的だが、初めて行ったハンブレのライブでこの曲が演奏され、楽曲の温かみに号泣した思い出がある。その後中々ライブで聞けることはなかったので、偶然の再会ですごくグッときてしまった。

この曲の1番の歌詞に、私はいつも救われる。

まるで0ダメージみたいな顔でやり過ごして
心は未曾有の大洪水
月明かりが今日も 土足で部屋に上がり込んで
ひとりぼっちにしてくれないよね
優しさのせいで君は傷付いて
「間違ってしまったのはわたしだ」
と世界の肩を持つけど
ベイビーベイビー思い出してくれ
こんなに愛してるってこと
君が涙を流さなきゃダメなんて クソ食らえだ
 「平気平気」って笑わないでくれ
嘘だとわかってしまうから
涙の理由を僕にだけ話してよ

日々の私を観察して書いたのかと錯覚するほど、心情を的確に描写しているこの歌詞がひどく泣けるのである。
やっぱりハンブレはいつでも自分の味方であると確信できた瞬間だった。

18.⚡️

またまた来ました。イントロ優勝曲。
モニターにMVと同じタッチのイラストが映し出される。すごくかわいい。
鳴らないと思い込んでいた私の好きなタンバリンの音も鳴っていて、よりビリビリ感が増していた。まさに武道館で素晴らしいステージを見せられてビリビリしている最中に聴くこの曲は、さらに私の脳内を刺激し、この瞬間のために生きてきたし、これからもこういう瞬間のために生きていくのだろうと思わせてくれた。

「ビリビリした?」
楽曲終わりのムツムロアキラのこの言葉。
不覚にも、キュンとしてしまった。

19.光

アニメとうきくんが加入した新体制のハンブレッダーズ、両方のオープニングテーマとして作られたこの曲。前半が彼らの高校時代を彷彿とさせるものだったため、後半のこの位置に「光」を入れることで、今を生きている現在のハンブレッダーズに戻ってきたという感じがした。
後半で黄色い紙吹雪が舞った。ライトではない光がキラキラ舞い落ちてくる光景は、忘れられない一瞬になった。

20.はじめから自由だった

大量の紙吹雪が中々落ちきらない中、鳴らされる「はじめから自由だった」。最新のアルバムのリード曲でもあるこの曲は、コロナ禍を経た私たちにとって勇気がもらえるものだと思った。
色んなものが制限された。音楽は不要不急だと言われた。ライブハウスが過剰に問題になった。フェスなんて行くものじゃないと言われた。
それでも私たちはハンブレッダーズの音楽を聴くことをやめなかった。そうして一緒に手に入れた日本武道館のこの景色の中、全員で「はじめから自由だった」と叫べることはなんと幸せだろうか。
キラキラと光ったテープが空中を舞う。
青く天井を埋め尽くしたそれらは、私たちにこれから羽ばたける空を用意してくれたようにも思えた。

21.グー

「今日はありがとうございました!!」
そんなMCから始まったこの曲。
ファンクラブ先行でチケットを当ててからの半年間待ち望んでいたこの公演が、もうすぐ終わってしまうという少しの悲しみとともに拳を突き上げた。
観客全員が待ってましたと言わんばかりに体を揺らす。歌詞に合わせてグー、チョキ、パーと手を掲げる。そんな決まりはないのに同じように手を挙げる姿から、全員が歌詞を読み取って同じように理解しているのだろうと推察できる。考察が必要な歌詞ではなく、万人にストレートに届く歌詞の持つ力は絶大だと感じる。
「これから僕が作らなくちゃ」
武道館にいる誰もがそう思えただろう。

22.フェイバリットソング

「グー」で終わりじゃなかった!!!
曲間もほぼ無く始まったこの曲は会場のボルテージを最大に上げた。
流石ハンブレッダーズのことを愛している人たちが集っている会場である。声量がハンパない。
「あなたたちの曲私大好きなんですよ!!」
そう伝えるがごとく大声で歌う。
ステージを駆け巡るカメラマンさんによってモニターに映される躍動感ある映像、観客も主役だと言わんばかりに会場全体を照らしてくれた照明さん。そして最後の力を振り絞りガンガンに音をかき鳴らすメンバーの音を聞きやすい最大ボリュームで調整してくれるPAさん。もう全部ありがとうと思った。でらしくんも何回も言っていたけれど、ほんとにありがとうしか出てこなかった。
巨大なシンガロングと、綺麗でグシャグシャな楽器の音が響く中、武道館公演本編は幕を閉じた。

En.1 BGMになるなよ

いつもより気持ち早めに再登壇したメンバー。
これから武道館公演がスタートするのかと錯覚するほどの観客の大歓声に迎えられた彼らが演奏したのは「BGMになるなよ」。
アンコール一発目にこれはズルいと思ってしまうほどの格好いい演奏。こんな人達に生きていてなんて言われたら、嫌でも人生を歩んでいく勇気がもらえてしまう。ハンブレッダーズが音楽やる限り、私は生き続けられるみたいである。

En.2 ライブハウスで会おうぜ

お決まりグッズ紹介コーナーと、城ホール公演と武道館公演が円盤化される(死ぬほど嬉しい…)特大発表を終えた後に始まったこの曲。モニターにはハンブレにとって思い入れが強いであろう各地のライブハウスが映し出される。会場のキャパを全く無視して、全ての会場を大切にするハンブレの精神は、観客からもライブハウスからも愛されるひとつの理由なのだと思う。武道館公演がゴールではないし、これからもライブハウスで普通にライブしますと宣言しているようで、すごく嬉しかった。

En.3 チェリーボーイシンドローム

「全部ぶち壊して帰ります!!」
そう叫んで始まったのは逃避行でもTHE SONG
でもなく確かに「チェリーボーイシンドローム」だった。
え!?締めくくりにこれ!?大丈夫!?
と一瞬思ったが、自らのMVをオマージュした映像が流れた瞬間、全部どうでもよくなった。
この曲も現在YouTubeでしか聴くことができないが、自分の中でかなり好きな曲なのでテンション爆上がりである。周りの観客も大叫びだった。
この曲の何が良いって、ちょうどよい気持ち悪さである。決してディスっている訳では無くて本当にそれが魅力なのである。モニターに明朝体でデカデカと映し出される歌詞とその内容はどちらも思春期ならではの好きな人に無我夢中である様をありありと表している。それらは目を背けたくなるほどリアルであった。
全員でサビを大合唱。綺麗なバラードやメッセージで終わらせず、ハンブレッダーズはロックバンドであるということを完璧に証明して見せていた。最強最高の終わり方だった。
ハンブレッダーズを好きで、本当によかった。

最後に

ムツムロさんがMCで
「ロックバンドとは何でしょうか。
俺はギターやベースやドラムがいることでは
なく、声を出せない人の声を代弁するのがロックバンドだと思います。」
と言っていた。
ハンブレにはどの楽曲にも通ずる一貫性があると常々感じていたが、この考え方を元に全ての楽曲が作られているからこそ、「ハンブレッダーズの音楽に救われた人々」が多く存在しているのだろうと思った。
過去の出来事や現実味のない理想論ではなく、思ってるけど言えないこと、行動に移せないことをギターにのせて歌い続けてくれることに、私たちは絶対的な安心感と信頼を抱いているのかもしれない。
高校生のあの日、シャッフル再生でファイナルボーイフレンドが流れていなかったら、私はこの公演にいなかっただろうし、そもそもハンブレッダーズという存在を知らなかったかもしれない。
様々な偶然が重なって今ハンブレを応援できていることがとても幸せだし、誇りである。

私に生きる意味をくれて、本当にありがとう。
そして、これからも歌い続けてください。

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