腹を割ったら血が出るだけさ。
私の大好きな作家さん、住野よるさんの最新作が7月27日に発売されました。
心を掻き乱すような、それでいてスッと落ち着けるような、そんな不思議な感覚になりました。
直近でもう一度読もうと決めていますが、初読で思ったことを少し。
感じたことは私だけのもので、あなたとは違う。
「少女のマーチ」という小説を元に話が展開するのですが、本の解釈が人によって違うはなんの。
頭では人それぞれ感じ方は違うってわかっているけれど、実生活でそのことを意識して生きている人は結構少ないと思う。
同じものを見て、同じご飯を食べていても、その瞬間に考えていることは違う。
だから面白い。
どんな風に考えても、感じても、行動しても、それがあなたの自由だって教えてくれる本。
でもきっと私たちは
人と比べて優れているとか、劣っているとか気にして生きている。
でもきっと私たちは
社会の常識とか、空気とかに合わせながら生きている。
そのバランスが崩れたとき、突拍子もない行動、言葉を発するのだろう。
信念と常識。
逢は自分の信念というものを強く持っている。
その信念に基づいた行動が印象的だ。
そして同時に、その信念が周りの人と環境によって変化することも描かれている。
私たちもこの人生の中で繰り返し、自分の信念と周囲との調和のバランスをとってきているはずだ。
でも、そのバランスのシーソーが揺れていることに気がつくことは少ない。
私たちの無自覚の行動の1つだからだ。
茜寧の存在と行動が、逢の感情と行動を可視化していく。
そして、その交わりの中に「性」「恋愛」が折り重なる。
一言でなんか語れないけど、
私たち日本人の心の内を優しく、繊細だけどはっきりと浮かび上がらせてくれている。