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好きなワケ

万年筆を愛用していると、必ずといっていいほどされる質問
「なぜ万年筆をつかうのか?」
または
「なぜ万年筆が好きなのか?」

そんなこと、考えたこともなかった
嫌いになるには理由があるが
好きになるには理由はない 

が、それでは答えにならないので
「個性が出せるから」とか
「書いた文字がきれいにみえるから」とか
そのときどきで 思いついた回答をしていた

校正に使われたのは、こんな万年筆かな?

ある日の昼下がり
図書館で借りた本読んでいたときに
その言葉が飛び込んできた

ゲラの修正に万年筆を使うの?
その辺に売ってる、赤いボールペンじゃなくて?
と尋ねられ、こう答える

「人生、文房具を使える機会は限られているじゃないですか。
文字を書く回数だって、同じです。
私は手に馴染んだ、最高の万年筆で、美しい字を書きたいんです。
その辺に売っているボールペンなんて、とんでもない」
(村山早紀 著 PHP研究所『桜風堂ものがたり』下巻 p32-33より引用)

読みながら、大きくうなずいていた
文字を書く より  文字を打つ ほうが
圧倒的に増えてしまっている今だからこそ
お氣に入りの筆記具を使って書きたい

このくだりの印象が強すぎて、小説の内容が
あまり記憶に残っていない
私の読書あるある である

📝つむぎの ひとこと ふたこと🖋
作品中に登場した「赤を入れる」という表現。
文章を添削することである。
これを私はずっと「朱を入れる」と覚えていた。
小学生の頃に通っていた書道教室で、
書いた文字を先生が直すときに使う、朱色の墨のイメージ。
そして今回は、朱色のインクで書いた文章に「赤を入れる」と、
修正箇所がわかりづらいので、青いインクを使用した。
だけど、「青を入れる」とは表現しないわけで。
ああややこしい。

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