眩しい恐怖
近寄らないで
涙色の湖に浮かぶ一基の棺
その頭部辺りに重厚なクリスタル製の天秤が沈黙
中央には瑞々しいスズランの花が添えてある
天秤右側には恐怖
左側には悲しみが
満ち満ちて平衡を保っている
水、黄、藤、桃、まばらに色付く大地は静かに見守り
白い二枚貝の様な蝶がふらりふらりとさまよっている
一歩の振動で溢れてしまう
柔らかな綿毛が誕生し嬉しげに舞い
デイジーの花は気ままに歌っている
棺の中で震えているのは誰
紫すみれは知っている
天秤の水は雨で溢れるだろうか
それとも
癒し乾かすのは月の光か陽光か
怯え続ける必要はない
天秤は大きくバランスを失って
そこからが始まり
崩壊か沈静か
終焉か再開か
怖がっていい
悲しんでいい
心配していい
肩の力を出来るだけ抜いて
そう何度も息を吸い込むの
集団も裏表も
苦手
何もかもそのままでいい
あなたに似たわたしが寄り添っている