オープニング・ネジネジの木⑵

ネジネジの木03 {奇跡の旅路}

長い長い旅路の間も、王子様はネジネジの木の世話を忘れず、そして独り言のように母国の話を延々と聞かせてくれるのでした。途中、荷馬車の車輪が外れるという騒ぎがあり、運ばれていた荷物ごと土砂に投げ出されたりもしましたが、そんな出来事も些細に思えるほどネジネジの木は、自分の身に起きた出来事を疑うような安心したような溢れてくる幸せな気持ちをもてあますような、とても不思議な気持ちで胸が詰まり、涙が止まらないのでした。
ようやくたどり着いた王子様の暮らす宮殿。その広大な庭には、目を見張る光景が広がっていました。空に届くかのような大きな大きな ねじくれた立派な木がたくさん……。ここが私の居場所……。眩しい太陽の下、ふくふくと栄養たっぷりの土の中。仲間達に囲まれ、出会う人すべてから愛を感じる。
ネジネジの木は、生まれて初めて心が温かく和らいでいく喜びを、力強い陽光の心地よさを全身で感じていました。

ネジネジの木04 {感謝の祈り}

ある夜、ネジネジの木は すっかり習慣になってしまった夜空を見上げていました。そして初めて空に次々と流れては消えていく たくさんの星達を見たのです。それはまるで……まるで神さまが初めて私に気付いてくれたような、そんな美しい夜空の光景でした。
母国での私は、枝がどんどん上へ上へと伸びてゆく。神さまは私の命を奪う事なく天へと近づけてくれた。命の喜びを下さった。
この幸せは、また次の命の幸せへとつなぐ事が出来る……この私が!この私が命に感謝できる日がくるなんて……願いは届く。本当なのですね。
神さま、私はこれからも毎晩祈る事でしょう。
私は、命への感謝を忘れない。ありがとうございます。

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