出会い
私は頭が悪いからと言うと勉強することはいくつになっても出来ることだし怠慢なだけだと言う人がいた。言い訳も聞かない人だったので口にはしなかった。
若くても老いていても、心はすり減り身体はクタクタで毎日戦うような長い時をやり過ごすしかない人もいる。
本を開きタイトルのフォントを何度も眺めページをめくりはしたものの気付けば一行を読み難くことも出来ずぼんやりと何度も繰り返し読んでいて少しも集中出来ないことに焦り少し休もうと自分を慰めている人もいること。
人は頑なに自分の世界で生きているだけでは安易に人を傷付けてしまうこと。
それは私も同じなのだと気付いた。
人に対して厳しいなら自分には更に厳しいのだろうかと思いをはせる。
私にも自分を教えてくれる少ない出会いがある。
初対面の人になぜあの子はあんなに言葉遣いが悪いのかと陰口を叩かれた。
私は育ちが悪い。その事実を隠したくなかった。ただそれだけの理由だった。
相手と仲良くなりたくて距離の取り方を間違えた結果その後もその相手と会うたびに嫌な思いをすることになったが今はこう思う。個人が思う「こうあるべき」に驚くことが多い。その当たり前という考えに至るまでの理由は少し気になるけれど自分にはその決まりはないなと思えばそれはそれでいいと思う。だから嫌な気持ちになるなら嫌でよかったし無理に好きになろうとする必要はなかった。
新しい出会いに期待する機会も減りどんな出会いにもがっかりしてばかりいると人も自分も嫌になり小さな世界に閉じこもる方が気楽になった。
波長の合う人と出会うことは奇跡だと感じる。
それほど私も許せない事が多い自分勝手でわがままな我の強い人間なのだと思う。
初対面でとても好印象だったからといってその後深く付き合えるとは限らない。
どちらかというとその場しのぎの事が多く付き合う期間も短いように思う。
相手の仮面が溶ける頃には合わせる事が苦痛になってしまう。
私は仮面を外さないからね。
私にはその仕事は合わないと言うと私がその仕事に携わった経緯がある事を知っている人に簡単に合わないと口にする人は好きじゃないと言われた。
私に忍耐と努力がないからだというのだ。成る程確かに私はあなたほどの忍耐力はない。
自分が嫌いな相手にはとことん冷たく接する人がいる。
私なら嫌いな相手には近寄らないけれど。
私は人に興味があり人を知ることが好きだった。
今は興味を失っている。
近頃の私は人と過ごす時間に消耗するし帰宅して武装を外すと寝込んでしまう。
時間をかけても変わらないものは変わらないし何もない所には何もないと知る。
私のこと嫌いでしょ?と聞いてくる人がいた。
確かにとても苦手だが、嫌いだと口に出来ないでいたら苦笑いでバレていた。
相手は傷付いてはいないように見えたが本当のところは分からない。
わざわざ確認してくる人もいるんだね。
#出会い #コラム