天誅在中劣等感
四人テーブル席の手前左側
私はだいたいその場所に座る
弾み膨らみ止めどなく笑いあう
右側の席からも前席からも
顔が近づいてくる
正確に言えば耳を寄せられる私
店内のBGMや各席からの談笑に負け
かき消されている
その完敗ぶりは想像以上のようだ
歌う事やお喋りは幼少の頃から大好きで
それは今も変わらない
楽しい会話やゲラゲラ笑う事も大好き
けれどやはり運負けしている私
元来虚弱体質で喉も非常に弱く手術も経験した
日常的に喉を腫らしては熱を出している
親を恨むまでもないがとても面倒で辛い
「え?」「ん?」「なになに?」は日常茶飯事
腹から声を出しても全然響かない
届かない
大声が出せない
私はどんどん苛立ち消耗していく
伝える事が面倒になり途中で諦める
「で、続きは?」対応する事が酷く面倒で
人間関係に影響を及ぼす程に話す事が怠くなる
そのせいか地声が大きな人には本気で驚いてしまう
こんなに近くにいるのにそんな大声で話さなくも
十分聞こえるよと、つい言いたくなるし
怖い。
私の声はとても、とても
とても小さい。
この悔しさは十分なコンプレックス
病み付きコンプレックス
文字にはボリュームがない
その静かなる幸せへと逃げ込む私