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エンタメ感想日記 ドカ盛りSP【九日・ニンジャガ2・Pentiment・メダリスト】
人は本音をぶちまけようとすると言葉が汚くなる。しかし本音をぶちまけなけばそのうち爆発四散してしまうのも事実だ。
昨年末から精神的なストレスによる喉の病を患ってしまった。現在漢方にて治療中だが、故に人と話すことや歌うことが難しく、一人何かを静かに嗜むことしかできない。しかし私はおしゃべりさんなのでフラストレーションが溜まっている。
私は鬱病であるため積極的にオタクをすることは難しかったが、かろうじていくつかエンタメを楽しむことはできた。
だが私は逆張りオタクであるため、流行のバンド女子作品とか異世界で悪役令嬢をやるオジサン作品などを触れられない病もある。そうなると自分が触れた作品たちについて話す相手があんまりいない。しかし悲しいかなオタクは好きな物の話をしないと爆発四散する生き物だ。
そこでnoteというサイトを思い出す。コイツはクリエイターという言葉で我々を弄びつつ文章を書かせ、botによるいいねでさらに気持ちよくさせる恐ろしいサイトだ。だがオタクの本音をぶちまけるのには最適だ。
ここ2ヶ月で2つのアクションゲームをやり、1つの漫画とADVゲームを一気に読んだ。今日はそれらについてお話したい。見出しごとに独立しているので興味あるものを先に読むことも可能だ。
「九日 ナインソール」が教えてくれたSEKIROライクにおける難易度のお手本
昨年の末、私は「九日 ナインソール」という素晴らしいゲームに出会った。私はSEKIROが戦闘アクションゲームで一番好きであり、そのフォロワーたる本作に目をつけていた。
探索横スクロール(メトロイドヴァニア)×道教+サイバーパンク+SF+ケモ×弾きを主体にした戦闘(SEKIROライク)という普通であれば胃もたれを起こしそうなレシピを、見事に極上の電子遊戯に昇華させた傑作であった。このゲームの魅力は誰でも触ればすぐに伝わるだろう。
私は斬新なストーリーやキャラクター、音楽、デザインなどに感動しながらも、何よりも感動したのが戦闘だ。40時間ぶっつづけてやってしまった。嘘です1週間くらい休み休みやりました。
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さて話が変わって、先日「エンダーマグノリア」という2Dアクションゲームの発売に先駆けインタビューが行われ、ある一文が話題になった。
メインプログラマーに「何でも死にゲーにするのはやめませんか」と言われまして、それが僕に刺さりました。彼が言うには「ユーザーとしては、死にゲーは年に1本でいい。それはフロム・ソフトウェアのゲームでいいんです」と言うんです。
素晴らしい考えだと思う。エンタメにおいて難しくも面白いというのは魅力の一つになるが、難しいということはそれだけ間口は狭くなる。大手が地道に築き上げ信頼が根付いた難しさを安易に真似ても、それが功を奏すことは難しいだろう。
九日というゲームは難易度調整が素晴らしく良かった。本当にSEKIROくらい難しいボスは2つほどしかなかったのだ。勿論すべて簡単ではないが、少し頑張ればクリアはできる塩梅だ。ステージの難易度もあるステルスエリアと電流イライラ棒エリアを除いては、それほど難しくはなかった。
SEKIROライクのゲームにおいて難易度曲線で本家に挑むのは難しい。なぜならば本家が原体験のプレイヤーには本家こそ至高だからだ。ならば快適にその戦闘システムを楽しんで貰う方に舵を取るのは、フォロワーとして良い采配だろう。
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九日の戦闘は難しさではなくそのシステムの楽しさを、程よい歯ごたえによりプレイヤーをのめり込ませる魅力があった。加えて刀ではなく手で弾くオリジナリティも良し。何よりメチャかっこいい。
全機種でリリース済みであり、現在サブスクのXboxゲームパスにて今すぐにやれるので触ってみて欲しい。そしてクリア後にサントラ付きで購入しよう。私と同じように。
達成感と爽快感のどちらを取るか?「NINJA GAIDEN 2 BLACK」
ニンジャガイデン 2 BLACKなるものが突如リリースされたので触ってみる。こちらは正統派の3Dアクションゲーム。難易度は高いが忍者アクションの決定版として語られているシリーズだ。
このゲームはデビル・メイ・クライ的な正統派スタイリッシュコンボアクションであると同時に、敵の四肢が飛ぶとすぐにトドメをさせるシステムで独自の爽快感が特徴だ。似た物にSEKIROの忍殺やDOOM(2016以降)のGloryKillがある。本作は2008年に出たニンジャガ2を現代向けリメイクしたもの。私は「これがインターネットおじさんたちが大好きニンジャガ2か〜」と2BLACKを楽しんでいた…のだが。
かのおじさんゲーマーたちは『これはシグマ2【2を低難易度化し欠損描写や血飛沫を減らしたリメイク】の改善版であって2じゃない!』と涙を流しながら爆発四散していた。
それに気圧された私は2無印(以下原作と呼ぶ)を、正確にはそれを再現したMODで触ってみた。下は原作と今回使ったMODの参考映像。
プレイしてすぐわかった。なるほど確かに原作仕様の方が諸々アグレッシブだ。まず敵の数が多すぎる。闇雲に操作して囲まれでもしたらいつだって命取り、緊張感だらけ。ヒリヒリ感たまんねーと口ずさんでしまう。だからこそ苦境を切り抜けた後には強い達成感が伴っていた。
しかし不思議なことに、私としては2BLACKの方が楽しいと感じられた。諸々の利便性が向上しているからかもしれないし、私がニンジャガ シグマ(1のリメイクで難易度を調整したもの)をヒーヒー言いながらクリアした程度の実力ゆえか。
乱暴に言えばシグマ2もとい2BLACKは敵の数が減っているためプレイヤーは敵を倒す爽快感に全振り出来るのだ。
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ニンジャガ1での戦闘は格ゲーイズムであった。ガードが要であり反撃コンボのタイミングもまた格ゲー的な捉え方だった。そして2からはハイテンポアクションにシフト。素早く強攻撃を差し込み四肢をぶっ飛ばしたらすぐトドメを刺せる"攻め"のスタイルとなった。これが大量に湧き出る敵に対して決まり、大掃除を完了した暁には最高の充足感をもたらす。
原作は緊張と緩和を繰り返すレベルデザインだが、2BLACKはボタンを押せばコンボが決まり四肢が飛び散る爽快感の方に全振りしている。より現代的で快楽的とも言える。それは私のようなニュービー向けとも言えるだろう。ただ趣が原作から変わっているので原作派からの批判は正当だと思う。
そしてこのデザインがシグマ2時点では中途半端だった事もわかった。四肢切断と爽快なフィニッシュを彩る視認性もクソもない量の血飛沫、それらを減らす調整はこのゲームが持つ魅力と食い合わせが悪い。
敵を瀕死にしたのち最高のトドメを刺すというのはゲームとして気持ちが良い。その難易度が程よく演出が豪華なほど快感は増える!敵をひんしにした後に狭き玉に捕え好き勝手使役する恐ろしいゲームが世界で何千万と売れていることからも明白だろう。
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私には本作のほうが合っていたといえ、2無印の亡霊たちはもう十数年も彷徨っているのだ。亡霊達の気持ちは十二分にわかる。私もSEKIROがより遊びやすくなってリメイクされたら、原作こそ至高なんだけどなァと言うに違いない。数多のヒリつきを乗り越える快感は後から中毒性をもたらすからだ。
コーエーテクモは2BLACKにおいて原作と同等にスポーンする(かつ原作の理不尽だった点を潰した)ゲームモードを追加すべきだろう。それが亡霊達への餞になるはずだ。
NINJA GAIDENΣ1,Σ2と3REは全機種でリリース済、2BlackはPS5,XBOX,PCにて発売中。すべて現在Xboxゲームパスにて気軽にプレイできる。
モダンなストーリーテリング 漫画「メダリスト」ADVゲーム「Pentiment」
他にも小学生とコーチを主軸に描くスケート漫画「メダリスト」を全巻読み「Pentiment」という西洋歴史ADVゲームをクリアした。おいメダリストは流行作だろ話しが違うと思っただろうか。しかし私は逆張りオタクとは言ったが話題作すべてを避けているとは言っていない。卑怯とは言うまいな。
この2つからは「何らかの無心で築かれる概念や信仰」について批判的かつ提言を備えた見方をしていたのが心に残った。
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漫画「メダリスト」は端的に言えば「モダンなスポ根」である。スポーツについてある種つきまとう「精神論」「努力」について熱く魅せながらも、現実的な見方やサポートについてもしっかり触れている。我々が知らないうちに持ってしまう「頑張れば報われる」という信仰に切り込んでいるのだ。
それでいて嫌味はなく、多種多様なキャラクター群像劇により、様々なスポーツにおける考え方やスタイルを尊重しているように感じられた。その思想の対立すらも熱く描いている。
加えて各キャラクターが大人も子供もすごく魅力的だ。作者がアイマス畑出身なためか師弟の関係性も絶妙に描写されており涙を誘う。なによりセリフの力強さがとても良い。私はそういう作品が大好きである。
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現在放送中のアニメでも良いし漫画も現12巻と手に取りやすい。ぜひ味わって欲しい。米津玄師がついつい曲とファンアートを提供してしまう程のパワーを感じられること間違いなし。
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ゲーム「Pentiment」はキリスト教と歴史がテーマの作品だ。信仰、芸術、歴史とは様々な人物の選択、それがもたらす変化の上に成り立っていることを描く。つまりクソ難しいテーマの難しい物語ゲームである。ただ文章はセリフばかりなので非常に読みやすかった。
選択する、信じる、疑う。そのメリットとデメリットを、自身も殺人事件の解決という名目で、限られた選択肢から最良を選ばんとさせ、その選択肢次第で細やかな分岐をもたらすゲーム性によって、ある意味で皮肉的に描いていた。
モダンと感じたのは"功罪"の塩梅が上手いところだ。悩んで掴んだ選択は常に皮肉めいた結果を伴った。同時にその選択ゆえ成せたこともあるという描写もあったのだ。
ネタバレしないで言うのであれば「無知の知」についてどうあるべきか考える作品だった。
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システム面で言えばRPG的な出自システムが攻略に役立つ点や、ミステリーでありながら自身の選択についてモヤモヤが残る点がモダン的に思えた。つまり逆・逆転裁判だ。ただ移動は逆裁式のほうが便利だと思う。
とここまで評論してきたが、実は私はカタカナ名を覚えるのが苦手で世界史を脱落した人間なため、顔でキャラを覚えていた。なので稀に誰のこと言ってるのかわからなくなってしまった。物語の細かなところはボヤけながら読んだことを白状する。キリスト教の家庭で育ったのでそっちの名称は補えた。
余談。この作品についてキリスト教的ハードルは漫画「チ。」が読める程度ならば楽しめると思うが「チ。」より専門的用語や描写は多い。ただ脚注機能もあるため賄える範囲もある。そしてPCで翻訳改善MODを入れて遊ぶほうが確実に良い。なのでプレイのハードルは高い。しかしPCゲームパス版でもMODは適応されるため、気になった人は触れてみてほしい。
この洋ゲーを日本の漫画と並列に語るのも変だけど、どちらもモダンな物語として楽しかったことを話したかったのである。
まとめ
鬱憤のままに書いていたらめちゃくちゃ長い文章になってしまったが、極力読みやすいものを目指して校正した。私が上げた作品の一つにでも興味を持っていただけたら幸いです。
余談、今回は慣れないライターめいた文体にチャレンジし、結局鬱憤が溜まったので私はしめやかに爆発四散!!サヨナラ!!!!